農家、行政、畜産関係メーカー、 さらには消費者も含めて 「運命共同体」だという自覚を持つべき。 | どっこいしょニッポン

農家、行政、畜産関係メーカー、 さらには消費者も含めて 「運命共同体」だという自覚を持つべき。

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他の一次産業がそうであるように、養豚農家もまた、生産者の激減そして高齢化に歯止めがかかる気配はない。国内の生産者を守ることは、しいては食を守り、生活環境を守ることにもつながることを、私たちはどれくらい意識できているだろうか?

千葉県内の生産者が立ち上げたナイス・ポーク・チバでは、生産者同士が集い、消費拡大運動や政策要請活動に奮闘している。その活動を会長である塩澤 英一氏に伺い、国内農家の現状、そして将来への課題を見た。

 

ナイス・ポーク・チバとは?

ナイス・ポーク・チバの塩澤会長

平成11年に、養豚生産者の団体として立ち上がったナイス・ポーク・チバ。豚肉の卸価格や配合飼料から、TPPなどの諸問題まで幅広く意見交換や勉強会を実施。経営安定の強化を図ると同時に、後継者の育成や次世代への対応などに取り組んでいくことを主な活動としている。

その活動のポイントは、むやみに行政の力を借りるのではなく、チェック・オフ組織(養豚生産者自らが資金を出し合う組織)にある。

立ち上げ当初は、生産者間の地域差や温度差も大きかった。しかし、業界全体の先行きへの危惧を共有する生産者が集い、これからの国際化時代に対応し発展していくという強い想いで185名※の生産者が加盟するまでの組織になった。(※…平成26年実績)

塩澤会長は、家族労働プラスアルファの規模で生産を行っている“庭先養豚屋”と自らを称し、これまでも「自分と同じ立場である会員の代弁者として発言してきた」と自負する。

そんな中、平成27年より代表となり「一農家としてだけではなく、日本の産業として農業を、養豚をどうしていくか。自分たちは今、何をしなければいけないか。しっかり考えて行動してく必要がある。まさに今が正念場だ」と会員を鼓舞する。

ナイス・ポーク・チバの立ち上げから11年後である平成22年に発足した日本養豚協会(JPPA)は、「養豚組織を一本にして日本の養豚産業が海外に負けないよう、しっかりした生産基盤を構築していこう」というスローガンを掲げているが、「ナイス・ポーク・チバがそのひな形になったといっても過言ではない」と塩澤会長。

JPPA同様に、養豚生産者による養豚生産者のための自主自立の組織であり、持続的に発展する養豚産業を目指すというビジョンや基本方針を具現化している数少ない組織として、さらなる発展が望まれている。

 

TPPにも一枚岩で対抗していく

ナイス・ポーク・チバの塩澤英一氏

全国各地にナイス・ポーク・チバのような団体はあるが、組織力や発言力といったパフォーマンスにおいては間違いなくナンバーワンであろう。これまでも、頻繁に霞が関へ出向いては行政と交渉を重ね、飼料価格高騰に関する対策や感染症対策のワクチンの早期認可など、様々な要請活動を行ってきた。TPPにおいても前会長である平野 拓歩氏が何度も海外に赴き、交渉の席についてきたという。

「もちろん、細かいことはこれから各政界で決定していくのだろうが、ナイス・ポーク・チバとしても最善を尽くしてきたつもりだ。1件1件の農家としては決して大きな力を持っていないかもしれない。しかし“俺たちの代表としてナイス・ポークがあるんだ”と力強く感じてもらえることが一番大切な事だと思っている」。

 

農家が倒れる。それは即ち食と環境の危機である

要豚舎の前にいる塩澤英一氏農水省の調査では、10年前の平成18年には国内に約7,800戸もの養豚農家があったとされるが、現在では約5,000戸と、減少の一途を辿っている。生産者の平均年齢は年々、高齢化となってきている。

「今後5~10年でおそらく3,000戸にまで減少するだろうと予想される。このままでは、日本の農業それ自体が自然と滅亡するのではないか」と塩澤会長は警鐘を鳴らす。

急務とされるのは、もちろん若手生産者の育成だ。

「それも、ただ後継者としてだけではなく、地域の中核企業であるという意識を持ち、地域のリーダーとして雇用や地域活性化まで担えるような、責任感・使命感の強い人材が必要だ」。

そのためにも、常に危機意識を持って情報を積極的に取り入れることはもちろん、横のつながりを形成してその情報を共有・交換し、互いに高めあっていくことが重要なのだ。

今、国内の農家は国際競争に直面していると塩澤会長は語った。

「このままでは農家が倒れる。それはつまり、農業に関連しているメーカーや企業も倒れるということだ。そして消費者は国産の食品を口にできなくなる。環境にも影響が出るだろう。農地がなくなると里山を管理する人がおらず、イノシシなどの害獣による被害が増える。周辺の住宅地の生活環境を悪化させる。さらに過疎が進む――。そんな悪循環が目に見えている。だからこそ、声を大にして言いたい。生産者同士も、消費者も、みんなが運命共同体であるということを」。

 

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ナイス・ポーク・チバ推進協議会

http://www.np-chiba.jp/

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〒260-0021
千葉県千葉市中央区新宿1-2-3 K&T千葉ビル3階

会長 塩澤英一

この記事を書いた人伊藤 紘子

伊藤 紘子 いとうひろこ フリーライター/広告代理店にてディレクター・ライターを務め、2009年独立。 ジャンルは広告、専門雑誌、Webなど多岐にわたる。 もっとも力を入れているのは「働く人」や「仕事を通した人生」に触れられる人物取材。 これまでに取材した人は600名以上。
2008年(株)リクルートコミュニケーションズ 進学広告審査会にて人物取材原稿が準グランプリ受賞。

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