畜産に生きる人

変化を恐れず、革新的な無数のアイデアで酪農の未来を切り開く

この記事の登場人物

丸山 純
朝霧メイプルファーム
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富士山付近に多く生息し、静岡県富士宮市の“市の木”にも指定されている「楓」。そんな楓(Maple)を牧場の名前に冠した『朝霧メイプルファーム』の代表を務める丸山純さんは、「美しい変化」という楓の花言葉になぞらえるかのように、次世代の牧場経営を牽引する存在として、常に変化し続けています。

// プロフィール

丸山 純 朝霧メイプルファーム 代表取締役

大学卒業後、映像制作会社に勤務。その後、父親の経営する牧場に就職。 10年にわたる酪農修行を経て、朝霧メイプルファーム代表取締役に就任。 酪農業の傍ら、著書「こうすれば農場はもっとうまく回る」を出版し、講演会でも登壇するなど、日本の酪農レベルの底上げに情熱を注いでいる。

就農とともに感じた業界への憂い

丸山純さんは、大学の経営学部でマーケティングを学んだ後、東京で映像制作会社に就職。その後、地元に戻り、2009年から酪農経験ゼロの状態で父親が経営していた朝霧メイプルファームに就農しました。

当時はちょうど父親が牧場の拡大を進めていた最中。純さんは仕事を一から学びつつ、持ち前のフロンティアスピリッツでさまざまな課題に気付き始めます。

「もともとの自分の性格上、遊びでも仕事でも、与えられた環境に満足するタイプではなく『もっと良くしたい』という気持ちが常にあるんです。

家業に入ってからは従業員の労務管理や仕事のやり方など、いろいろなところに改善の余地があるとわかってきました。一つ例を挙げると、酪農に限らず、農業全般で安全に関する観念がものすごく低い。

労災事故が多い業種として、50年前は建設業が1位でしたが、今では10分の1に減っているといわれています。

しかし、農業は全く変わってない。酪農仲間から事故の話を聞くたびに暗澹たる思いになり…自分もこれからの酪農の担い手として危機感を抱いていました」

300の業務マニュアルは、従業員一人ひとりの知識を牧場全体のナレッジに昇華させた“宝”

就農から約10年で父親から牧場の経営を引き継いだ純さん。そのなかで最初に行った改革が、業務のマニュアル化でした。酪農経験のなかった純さん自身が仕事を覚えるうえでも、まずは酪農の基礎である搾乳のマニュアルを作成。それを全従業員に共有し、一つひとつマニュアルを増やしていきました。

「マニュアルを作る以前は従業員それぞれが自分流で仕事をしていたので、僕のやり方に抵抗を示す人もいました。

でも、懲りずに続けていくと『マニュアル化されていた方が効率よく安全に作業できて、人にも教えやすい』と、少しずつそのメリットに共感する人が増えてきました。

5年目くらいからは従業員が主体的にマニュアルを作ったり、更新してくれたりするようになり、現在は300以上のマニュアルが存在します。

今では僕でもついていけないような高度な内容もマニュアル化されていて、逆に助けられていますよ(笑)300のマニュアルは、従業員一人ひとりの知識を集約して牧場全体のナレッジに昇華させた、朝霧メイプルファームの宝です」

従業員の意見を受け入れる仕組みで、一人ひとりの主体性と協調性を醸成

業務をマニュアル化したことで、誰もがジョブローテーションでさまざまな業務を行えるようになった朝霧メイプルファーム。一人ひとりの主体性と協調性を醸成するうえで、あるツールと、それを活用した制度がうまく作用したと純さんは話します。

「従業員同士のコミュニケーションツールとして、リリース当初から『LINE WORKS』を使ってきました。チャットを利用することで、人によっては対面でミーティングをするよりも発言のハードルが下がると気付いたんです。

この良さを活かし、仕事に対する改善提案を好意的に受け入れ、評価対象として仕組み化しました。また、代表である僕の承認がなくても、最低3人の従業員が賛成したアイデアは即採用しても良いと、意思決定のルールを変更しました。

新しいアイデアはすぐにマニュアルにも反映され、日々ブラッシュアップされていきます」

次世代の酪農のロールモデルとして、業界を盛り上げたい

ほかにも、牛の行動モニタリングシステム『U-motion』を導入することで、牛の採食や飲水、反芻といった行動を徹底的に数値化・分析し、改善に役立てるなど、さまざまなイノベーションを進める純さん。

就農から14年が経ち、牧場全体の生産性や経営状態は飛躍的に向上しています。

さらに近年では、企業体としての価値観や行動規範を『クレド』として言語化。そこで生まれた「牛乳は愛」「酪農は楽しい」「朝霧高原が好き」という3つの価値観をもとにホームページをリニューアルしたことで、共感した求職者からの採用に関する応募が大幅に増加したそうです。

飼料代や光熱費高騰で酪農業界がかつてない苦境を強いられるなか、変化を恐れず、しなやかに業界の未来を切り開いてきた朝霧メイプルファーム。純さんは、今後の夢をこう語ります。

「これまで仕組み化やシステム・ツールの導入など、ソフトを変えてきましたが、今後はハード、つまり牛舎そのものをより良くしていきたいです。

また、富士山のお膝元にある朝霧高原という環境の素晴らしさも酪農の仕事を通してもっと発信していきたい。

こんなに豊かな場所で牛を育てるって、最高にかっこいい仕事だと思うんです。朝霧の地から、これからの酪農を牽引するロールモデルの牧場として、業界を元気にしていきたいです」

// この人の職場

朝霧メイプルファーム

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