匠の技と規模拡大でブランドを守る。湯浅ファームがつなぐ「ふくしま・会津牛」のこれから | どっこいしょニッポン

匠の技と規模拡大でブランドを守る。湯浅ファームがつなぐ「ふくしま・会津牛」のこれから

このページを印刷する

一頭から取れる肉の量と美しいサシを求めて日々牧場に立つ肥育農家。
より良い肉質を生み出すには、血統・環境・飼料・管理など、さまざまな要因から最適解を見つけ出す必要があります。

しかし、日々移り変わる自然環境や牛の状況を見極め、肉質をコントロールするのは至難の業。
実際に屠畜するまでは肉質を確認することはできないなど、上質な肉を作り続けるには熟練した技術が必要です。

今回訪れた湯浅ファームの湯浅治さんは、そんな肥育の世界で、常に高い評価を受ける「ふくしま・会津牛」を生み出す肥育農家。これまでにさまざまな賞を受けており、第50回肉用枝肉共励会においては農林水産大臣賞を受賞しています。
JAグループ福島肉牛復興協議会の会長も務める、湯浅ファーム代表「湯浅治さん」に、「ふくしま・会津牛」を生み出す技術、そして風評被害に悩まされる同地方のこれからについて詳しく伺いました。

 

農協職員が日本最高峰の和牛を生み出すまで

湯浅ファームの牛

実は、元は農家ではなく農協の職員だったという治さん。一体どのようにして「ふくしま・会津牛」を生み出したのでしょうか?

農協で牛の担当になって、農家に指導する立場になったんです。畜産の勉強はするんですが、それだけでは農家を指導することはできません。自分で体験して、それを伝えないと意味がないと思い、自分で肥育を始めたんです。それが、肥育を始めるきっかけで今から30年くらいですね。農協が今みたいに合併する前で、それぞれがより良い肉を追い求めて切磋琢磨する環境でした

農協同士が互いを高め合う環境の中、治さんは理想の肉質を追い求めて肥育を学び、全国を回りさまざまな肉に触れたとのこと。そして、肥育に関して学ぶ日々の中で、肉質に最も大切なのは「血統」という答えにたどり着いたといいます。

湯浅ファームの作業風景

飼料や管理などすべての要因が重要ですが、最終的には血統がものをいいます。飼料や管理は、血の持つ力を引き出す要素として非常に重要ですが、飼料や管理だけでは限界があるんです。肉質を追い求めるには、まず血統の良い素牛を見つけることが最優先であることがわかってきました」

治さんは、全国のさまざまな素牛を自分の農場で試し、どの血統が良いのか試行錯誤を繰り返したとのこと。そして、最終的に治さんが選んだのは壱岐、種子島、本宮の素牛。これらの血統が「ふくしま・会津牛」の基盤となっています。

散々試した中で、最も良い結果が出たのがこの3地方の素牛で、壱岐に関してはすでに20年以上の付き合いになります。『ふくしま・会津牛』の肉質は、これらの素牛が持つ血統とそれを引き出す飼料、そして管理によって生み出されているんです

湯浅ファームの牛舎

血統が持つ力を最大限に引き出すために、エサに関しても徹底的なこだわりを持つ治さん。かつてはどのようなエサが良いのかを調べるため、若い農家たちを集め、手作業でエサのタンパク質・ビタミン・カロリーなどの計算を行っていたといいます。

当時を振り返り「管理栄養士みたいなことをしながら、エサの配合を試行錯誤していましたね」と笑う治さん。全国を飛び回り得た知識、そして、管理方法・飼料の度重なる試行錯誤によって、日本最高峰の和牛「ふくしま・会津牛」が生まれたのです。

 

「ふくしま・会津牛」を守り続ける。湯浅ファームの覚悟とは

湯浅ファーム、湯浅治さんと卓也さん

ふくしま・会津牛」のブランド確立に多大な貢献を果たした治さん。これまで農協職員兼農家として長く活躍していたものの、現在は農家一本。2年前には牧場を法人化して、後継者である卓也さんと共に規模拡大、産地形成の強化に尽力しています。

一時に比べると落ち着いたとはいえ、まだ根強い風評被害の影響が残っています。また、素牛の価格が高騰を続けていて、この地方の肥育農家の置かれた環境はとても厳しいものです。幸い、ふくしま・会津牛は全国的にも高い評価を得ていますが、この先がどうなるかはわかりません。だからこそ、規模を拡大してこの地域の肥育をしっかり守る必要があると考えています

湯浅ファームの作業の様子

湯浅ファームが次の事業としてスタートさせているのが、繁殖部門。すでに8頭繁殖用の牛を飼育しており、繁殖から肥育まで一貫して行える体制作りを進めています。

今はあまり状況が良いとはいえません。こんな状態で継ぐと決断してくれた息子のためにも、できるかぎり環境を整えることが自分にできることだと考えています。今の課題は、繁殖部門を作るために建屋を増やすこと。まだ先になりますが、繁殖の専門家も雇用して規模を拡大させていきたいですね

また、このような戦略には、この地域の雇用創出という目的も隠されているとのこと。

湯浅ファーム、湯浅治さん

今でも震災前に比べて出荷頭数が4割も少ない状況です。私たちはなんとか踏ん張っていますが、周りではやめる農家さんも多く、このままでは「ふくしま・会津牛」というブランドがなくなってしまう可能性だってあります。規模を拡大することで雇用を創出し、この地域の肥育の発展に少しでも貢献していきたいですね

 

一代でブランド牛を確立した治さん、そしてそのスピリッツを継ぐ卓也さんによって「ふくしま・会津牛」は、今後さらなる発展を遂げるはずです。

湯浅ファーム外観

▶湯浅ファームのその他の記事はこちらから

 

株式会社 湯浅ファーム

  • 営業時間:ー
  • TEL:ー
  • 定休日:ー
  • アクセス:〒 969-3539 福島県喜多方市塩川町源太屋敷字前畑1572番地

この記事を書いた人児島宏明

株式会社PLAN-B所属のライター。
ジャンルを問わず、さまざまなメディアで原稿を執筆。
現在は、“大人の”堀江を今よりもっと楽しむWEBマガジン「HORIEstyle」の運営に携わり、
解析・企画・撮影など、メディアプランナーとして修行中。
マウンテンバイクにまたがり、野山を駆け巡るのが趣味。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!

新着記事をfacebookでお届けします

関連記事