“牛ファースト”が根付いた現場の自由な空気とプロ意識が実現する、小林農産の圧倒的な生産性
年間1万トン以上の搾乳量を誇る栃木県那須の小林農産。全国平均を大きく上回る1日平均約40リットルの乳量を支える“牛ファースト”の文化と働きやすい職場づくりを、社長・小林翼さんとスタッフの声から紹介します。
もくじ
2026年8月24日に開催された「畜産に生きる会議2026」で、ビジョンパートナー代表として開会宣言をしてくださったのは、小林農産 取締役社長 小林翼さん。小林農産は、年間1万トン以上の搾乳量を誇るギガファーム。自然豊かな栃木県・那須の大地で、ゼロエミッションを目指した環境にやさしい循環型の酪農を営んでおられます。

従業員アンケートで明かされる生産量の秘訣
この日、スタディルームで小林農産 入社3年目のスタッフ・芦田裕也さんが講演してくださった『小林農産はなぜ1日平均乳量40リットルを超える生産量を維持できているのか?』では、牛群検定に参加する牧場の1日平均乳量が約33リットル、全国平均乳量は約26リットルとされるなか、小林農産が平均約40リットルという圧倒的な数値を誇る秘密はどこにあるのか。その理由を全部署の従業員へアンケートを取ることで、解明していただきました。

まず、小林農産の高い生産性は、「牛が健康であることと密接な関係がある」と芦田さん。
餌や飼養管理、最新技術の導入のほかに、牛が安心して暮らせる環境を、人目線ではなく牛目線で考える。これらがすべて合わさって初めて牛が健康になり、この結果につながっているのだと。
アンケートでは、従業員たちから同様の回答があり、従業員たちに共通した考えがあることが見えてきます。

1つ目は、小林農産には【牛を大切にする文化】があること。

牛のことを第一に考える、“牛ファースト”を誰もが当たり前に行っていること。芦田さんも誰かから言われたわけでなく、代々引き継がれてきたこの文化を空気で感じてきたそうです。牛が毎日健康に過ごせる環境づくりに力を入れ、牛の行動や表情などから少しの変化にもすぐに気がつくからこそ、小林農産の牛はストレスがなく穏やかで人懐っこく、毛並みもいい。
2つ目は、小林農産では【自主性を尊重する働き方】ができること。

従業員アンケートでは「自由に意見を言える」「個人の裁量も大切にしている」「現場にある程度の裁量権が与えられている」といった理由も挙がりました。「生き物を扱う責任感を持ったうえで牛により良いことをしようという思いがあるからこそ、自由と責任のバランスが、従業員のやりがいを最大化しているのだと思う」と芦田さん。人がいい状態だからこそ、牛もいい状態になるのかもしれません。

3つ目は、小林農産は【小さな変化を拾い合うプロフェッショナルチーム】であること。

哺乳・治療・繁殖・餌・繁殖の5つの部門に分かれて飼養管理を行なっているため、各部門の専門性が高く、牛の変化を早めにキャッチし、ストレス軽減や早期治療につなげることができます。また、各自が気づいた牛の変化を「そのままにしない」のが小林農産。自身が得た情報を皆に共有することが当たり前のように行われ、「部署を越えて協力しあう」ことも強みとなっています。
アンケートでは「他の人の意見も尊重する」「報連相を大切にする」といった回答も挙がりました。
小林農産が実践する、働きやすい職場環境

一方、カンファレンスルームで、小林農産 取締役社長 小林翼さんが臨床心理士 酒井真依子さんと対談した『人が辞めない牧場には、理由がある。 〜メンタルヘルスとエンゲージメントから考える、これからの牧場経営〜』では、小林さんが心掛けている従業員への接し方についてお聞きすることができました。
「小林農産では個人面談を年に2回行い、話を聞くようにしています。職場に安心して話せる場所がないとどうしても孤立してしまいます。ですから、日頃から現場ではできるだけ声かけをして、気になった時はごはんに誘ったり、本音で話しやすい空気を作るように、各セクションの責任者の方にも伝えるようにしています」
「あとうちは女性社員も多く、会長の母がよく女性スタッフに声をかけて「女子会」をしているようです。そこでどんな話をしているのかは、僕は知りません(笑)」と小林さん。
未来を思い描く参加者の熱意に感動

最後に、なぜ小林さんが畜産に生きる会議に賛同し、ビジョンパートナーになってくださったのかを伺いました。
「朝霧メイプルファームの丸山純さんなど普段仲良くさせてもらっている方々からお声がかかったので、最初は興味本位とスタッフの経験になればという思いでしたが、本当に参加して良かったです。これまで参加してきたどの企業説明会よりも参加されている方の熱量が高く、皆さんが畜産や酪農におけるさまざまな未来を思い描いていて、その熱量に押されて、感動して、何度も泣きそうになりました。
「産業動物の獣医師になりたい」という方には、「うちの牧場にいつでも遊びに来てよ。臨床獣医師さんを紹介するよ」という話もしました。僕もすごく勉強になったし、たくさん刺激をいただきました」

学生の間にいろんな牧場を体験してほしい
もうひとつ印象的だったのは、小林さんとスタッフさんたちの距離感。
芦田さんは、「社長というと雲の上の存在のように思いますが、翼さんは僕たちと気さくに話してくださる本当にいい社長です。働き手からすると社長と距離が近いのは、とてもありがたく、“この人のために頑張ろう”と思うことができます。もちろんまずは牛のために動いて、それが社会のためになって、結果的に社長のためになると嬉しいというか」。

そんな芦田さんが自身の講演の最後に学生たちに伝えたのは、『挑戦してほしい』というメッセージでした。
「学生時代は忙しいといっても、まだ時間があります。だからこそ、いろんなことに挑戦してほしい。そして自分の可能性をどんどん広げてほしいなと思います。そのためにはいろんなところにインターンに行ってみるといいと思います。僕自身、日本大学 生物資源科学部に通っていた頃に小林農産でインターンをして、“僕が思う牧場の理想。ここでならやりがいを持って仕事ができそう”と思って入社したんです。いい牧場もそうでない牧場も、やっぱり見てみないとわからないですから」
ぜひ体験してみてください。
// こちらもおすすめ
//TOPICS
//新着記事
-
new栃木県“牛ファースト”が根付いた現場の自由な空気とプロ意識が実現する、小林農産の圧倒的な生産性
-
静岡県スタッフから上がる改善案は年間200個以上。朝霧メイプルファームの現場力は【牛乳は愛】から始まっている
-
東京都【畜産に生きる会議2026】これからの畜産業界に飛び込むための20のプログラムをご紹介
-
東京都畜産が好きな仲間たちと出会い、これからの畜産について考える。「畜産に生きる会議2026」レポート・ダイジェスト
-
コラムどっこいしょニッポンがグッドデザイン賞を受賞しました!
-
栃木県食べて楽しむ、その一歩先へ。「チーズとホエイの祭典」をつくる人たちに会いに行こう
株式会社のもり(森林ノ牧場) 山川 将弘