食べて楽しむ、その一歩先へ。「チーズとホエイの祭典」をつくる人たちに会いに行こう
この記事の登場人物
山川 将弘株式会社のもり(森林ノ牧場)
2026年10月24日(土)、25日(日)に那須で開催される「チーズとホエイの祭典 Vol.4」。実行委員長・山川将弘さん(株式会社のもり)に、チーズづくりで生まれる『ホエイ』を使い切る思いと、つくる側として関わる楽しさを聞きました。
もくじ
チーズを食べ比べ、ワインとのマリアージュを楽しみ、つくり手と話す。ホエイを使った料理も味わえる。那須で開かれる「チーズとホエイの祭典」は、おいしい出会いが集まるイベントです。けれど、なぜチーズだけでなく「ホエイ」も名前に掲げているのでしょうか。実行委員長を務める、株式会社のもりの山川将弘さんに聞くと、そこには牛からいただく乳を無駄にせず、その可能性をさまざまな人と広げたいという思いがありました。祭典が生まれた背景と、つくる側として関わる楽しさを紹介します。
チーズをつくったあとにも、乳の価値は残っている
「単純にもったいないなという思いが強くて。絶対にこれは使い切ろうと決めたんです」

山川さんがそう振り返るのは、2021年に「チーズ工房那須の森」を事業承継した頃のこと。森林ノ牧場で酪農に携わってきた山川さんにとって、チーズづくりには驚きがありました。原料となる生乳のうち、チーズになるのは約1割。残りの約9割は、ホエイと呼ばれる液体になるのです。
ホエイには乳の成分が残っていますが、小さな工房では使い切れず、処分に費用がかかることもあります。牛が生み出した乳の多くが、十分に生かされていない。酪農家として、その状況を見過ごせませんでした。

「チーズ工房那須の森」では、地域のお店と協力して菓子やパン、ピザ生地の原料に活用し、ホエイを煮詰めたブラウンチーズも製造。それでも使い切れない分は、近隣で豚を飼う生産者に飼料として引き取ってもらいます。山川さんによると、製造過程で回収できない分を除き、ホエイはほぼすべて活用できているといいます。
「酪農家の仕事は、牛の命の価値を高める仕事だと思っています」

乳だけでなく、やがて肉や皮になるところまで、その価値に責任を持つ。ホエイを使い切ることも、山川さんにとっては牛への敬意につながっています。
工房の外へ、ホエイの可能性を広げる
取り組みは、自社の工房にとどまりません。山川さんが関わるGOOD NEWSでは、ホエイを生かした菓子づくりが広がるにつれ、那須の森の分だけでは足りなくなりました。そこで、ほかの工房からも購入するように。使い道に困っていたホエイが、求められる原料へと変わっていきました。

山川さんは、日本の酪農にとって、チーズにはまだ大きな可能性があると考えています。ただ、チーズの生産を増やせば、ホエイも増える。だから今のうちから、さまざまな使い方に挑戦しておく必要があるのです。
そのためには、工房の外にいる人の力も欠かせません。料理人なら、つくり手が思いつかなかった使い方を見つけるかもしれない。食べた人が気に入り、日々の料理に取り入れるかもしれない。まずは知ってもらい、触れてもらう。そのきっかけの一つとして生まれたのが「チーズとホエイの祭典」でした。

山川さんはこのイベントを「ホエイの取り組みを発信するメディア」としても捉えています。商品づくりや工房同士の連携を続けながら、祭典ではより多くの人と可能性を共有する。山川さんにとってこの祭典はホエイの可能性を広げる数あるチャレンジの一つなのです。
4回目となる今年は、ボトル入りホエイの販売も予定しています。会場で味わうだけでなく、家に持ち帰って料理に使ってみる。祭典での出会いを日常へつなぐ、新たな試みです。
まずは、おいしく、楽しく。つくり手との会話もごちそうに
背景にはそんな思いがありますが、山川さんが来場者に望む楽しみ方は、とてもシンプルです。
「飲んで、食べて、楽しんでもらいたいです」

秋の那須で、チーズや料理を囲み、人と一緒に過ごす。会場には全国各地のチーズ工房や飲食店、ワイナリーが集まります。入口では「ウェルカムホエイ」を味わい、チーズの食べ比べや、さけるチーズづくりを体験。ワインとのペアリングを楽しむ企画もあります。
もう一つの楽しみが、つくり手との会話です。どれを選べばいいのか、どう食べればいいのか。普段なら迷うことも、その場で聞けます。「このチーズ、おいしかった」と感想を伝えるだけでも、会話の入口になります。
おいしいものに出会い、つくった人を知る。その先で、原料となる乳やホエイ、その背景にある酪農への関心も生まれる。祭典には、そんな入口がいくつも用意されています。

一緒につくるからこそ、生まれる出会いがある
その時間を、運営する側として過ごすこともできます。祭典では、チーズの食べ比べの提供、ワークショップの補助、出店ブースの手伝いなどを担うボランティアを募集しています。

参加者は毎年30人ほど。地元からも遠方からも集まり、京都から繰り返し参加する人もいるそうです。仕事を分担しながら生産者やほかのスタッフと顔を合わせる、祭典のもう一つの楽しみ方です。
山川さんが、ぜひ参加してほしいと話す時間もあります。
「このイベントで一番楽しい時間は、懇親会だと思っているんですよ」

希望者が参加する懇親会では、出店者とボランティアが一緒になり、普段の仕事や、祭典に参加した思いを語り合います。そこで知り合った工房のチーズを後日買いに行く人もいる。翌年には「久しぶり」と再会できる。祭典を離れても、関係が続いているのです。
畜産に携わる人や、これから畜産を目指す学生にとって、生産者と同じ現場に立つ時間には、どんな発見があるでしょうか。乳をチーズにする仕事、料理に仕立てる仕事、食べ手に届ける仕事。イベントを支えながら、畜産の価値を広げるさまざまな関わり方に触れられそうです。

山川さんが今、大切にしたいのは、集客数を大きく伸ばすことよりも、このコミュニティのつながりを深めること。そこから新しい商品や協力関係が生まれ、日常へ広がっていくことを願っています。
「酪農があってよかったと思ってもらえる状況を、もっと広げていきたい」
その未来に向けた数ある挑戦の一つが、この祭典です。まずは食べて楽しむ。気になったつくり手と話してみる。そして、一緒に祭典をつくってみる。秋の那須で、自分なりの関わり方を見つけてみませんか。
開催概要・参加案内
チーズとホエイの祭典 vol.4
- 開催日:2026年10月24日(土)・25日(日)
- 時間:9:00〜16:00(食事の提供は10:00から)
- 会場:GOOD NEWS NEIGHBORS(栃木県那須郡那須町高久乙24-1)
- 入場料:無料
- 無料シャトルバス:運行予定。詳細は公式Instagramをご確認ください。
運営ボランティアも募集中
活動内容は、出店ブースの手伝い、会場設営など。参加特典としてオリジナルレトルトカレー、終日参加者にはランチチケットがあります。懇親会・打ち上げは実費で参加できます。活動日程・時間などの条件は、応募フォームでご確認ください。
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