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自然豊かな淡路島が育む「純国産」卵のおいしさとは?

  • #六次化

この記事の登場人物

北坂 勝
北坂養鶏場
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私たちの食生活に最も身近な食材のひとつ、卵。日本の鶏卵消費量は世界2位。しかし、全国で流通する卵のうち「純国産」と呼ばれるものはわずか6%ほどだといわれています。「純国産」とは、いったい何なのでしょうか? 淡路島の「北坂養鶏場」に、お話を聞きました。

日本の子どもたちに、日本の鶏が産んだ卵を食べてほしい

「日本で流通する卵のほとんどは、海外から輸入した鶏が産んだもの。日本生まれ、日本育ちの鶏、つまり「純国産」の卵が、実は非常に少ないんです」。そう話すのは、淡路島で養鶏場を営む北坂勝さん。

「淡路島さくら」「淡路島もみじ」をはじめとした「純国産」卵を育てています。

「日本人なら誰もが毎日のように食べる卵を輸入に頼るのは、コストの問題が大きいでしょう。ヒナから卵を産める鶏になるまでの半年ほどエサなどに膨大な経費がかかりますから。また、海外の鶏の方がよく卵を産むともいわれています」。

それでは、なぜ北坂さんは「純国産」にこだわるのでしょうか。

「私たち『北坂養鶏場』は、父の代から自然に「純国産」を選んできました。ヒナが卵を産む鶏になるまでの時期、成長に必要な栄養をたっぷりと与え、愛情をかけて育てることがおいしい卵に欠かせないと考えているから、人に任せようとは思えません。鶏に成長してからいくら良いエサや水をやっても、すでに体が出来上がってしまっているから、ヒナの育成過程こそ重要なんです」。

北坂養鶏場で育つ鶏の主なエサは、遺伝子組み換えでないコーンやぬかを発酵させた飼料など。

「日本人になじみ深い、味噌や醤油といった発酵食品は腸内環境を整え、免疫力を上げてくれます。醤油工場で出たしぼりかす、ちりめんの飛ばしカスなど、自然豊かな淡路島ならではの飼料もふんだんに使っています。飲み水は、海が近い淡路島ならではのミネラル豊富な地下水。健康な鶏が産む卵の味わいは、ひと味も、ふた味も違うはずですよ」。

おいしい卵のために、より良い飼育方法を常に模索

おいしい「純国産」卵のため、北坂さんは飼育環境にもこだわっています。

「私たちは約15万羽の鶏をケージで飼っています。しかし以前、お客さまに『この卵は放し飼いで育った鶏のものですか?』と、聞かれたことがあります。品質の良い卵=放し飼いで育った鶏の卵、というイメージを持つ方は多いようです。そこで実際に、放し飼いを試してみることにしたんです。確かに、鶏がのびのびと育ち、ストレスは少ない様子。しかし、地面に落ちた糞などをマメに掃除しなければならず、労力やコストを考えると、卵の価格が上がってしまう。鶏が動き回ってカロリーを消費するため、産卵率も低下してしまいました。一方のケージで飼う利点はまず、きれいなエサと水を安定的に供給できること。2階建ての鶏舎の上階で鶏を飼い、鶏糞は下に落とすため衛生管理もしやすいのです」。

飼育方法によって、肝心の風味に違いはあるのでしょうか?

「風味に差が出るということはないでしょう。一説には、人間が舌で『おいしい』と感じる割合はたった1割で、残りは見た目やにおいといった情報で判断するそうです。実際、ここで「たまご掴み取り体験」をされるお客さまは、産みたてを見て『おいしそう!』とおっしゃいます。エサや飼育方法といった私たちの取り組みを知って、安心・納得していただくことも、おいしさを感じる要素のひとつになればうれしいですね」。

 
北坂養鶏場では、一般客や教育機関、同業者に向けた見学会を開催。自分の手で産みたての卵を取る「たまご掴み取り体験」が特に人気です。

「たくさんのお客様が実際に来て、見て、感じてくださるのはとてもありがたいことです。日本で生まれ育った卵のおいしさをぜひ、多くの方に味わっていただきたいです」。

北坂養鶏場

http://kitasaka.net 

  • 営業時間:9時~17時
  • TEL:0799-70-7267
  • 定休日:
  • アクセス:神戸淡路鳴門自動車道 北淡ICより車で約3分 

淡路島にある養鶏場。直売所では純国産鶏の朝採りたまごをはじめ、北坂養鶏場が取り扱う全ての商品を販売中。

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