阪神百貨店「食祭テラス」のプレゼンターにどっこいしょニッポンが参戦!「牧場北海道」11/23~29開催【前編】
この記事の登場人物
柴田 勝輝さん駒ヶ岳牛乳
大阪・阪神梅田本店の1階フロアが、10月から「食祭テラス」としてリニューアルオープン。毎週さまざまな“情熱あふれる食のプロ”=プレゼンターを迎え、新たな食の出会いを届ける食祭テラスで11月23日から開催される「牧場北海道」には、なんと! どっこいしょニッポンがプレゼンターとして参加させていただくことになりました!
もくじ
北海道は、日本の牛乳・乳製品を考える上で、なくして語ることはできない酪農王国。北海道の生乳生産量の全国シェアは、56.7%(2020年度一般社団法人Jミルク調べ)。この割合は年々上がり続けています。冷涼な気候を好む乳牛にとって、広大な土地が広がる北海道は絶好の環境。酪農家を志し、道外から新規就農して来られる方も多くいらっしゃいます。
「牧場北海道」は、そんな北海道の乳製品にフォーカスします。どっこいしょニッポンのブースでは、『酪農家からの挑戦状』と銘打って、催事に集まるおいしい牛乳やチーズ、ピザ、ケーキの向こうにつながる人たちや牛たちの姿を感じられる食イベントになるよう、さまざまな施策をご用意してお待ちしています!
ここでは「牧場北海道」の出店者の中から、「駒ヶ岳牛乳」と「おおともチーズ工房」のおふたりに、生産者の立場として感じる百貨店催事面白さやお客様とのエピソードなどを伺いました。
ぜひ会期中に、その味を確かめてみてください!
【前編】は、北海道・森町の駒ヶ岳牛乳 柴田勝輝さんのお話をお届けします。
駒ヶ岳牛乳 柴田勝輝さんに聞く、百貨店催事の面白さ
駒ヶ岳牛乳は、北海道・函館からおよそ1時間。駒ヶ岳の麓、森町にあります。酪農家の次男として生まれ育ちながらも、国鉄職員として働いていた柴田さんですが、牧場を継いだお兄さんから経営面での相談を受け、サポートする形で実家に戻って会社を立ち上げたのが26年前。その後、許認可を取って牛乳の宅配をスタート。これが六次化の始まりでした。
敷居の高かった都会の百貨店
お客様に可愛がられ、いつしか常連に
…牛乳宅配から始めて、百貨店催事に出店されるようになったきっかけは何だったんですか?
東京の百貨店バイヤーの方が、函館空港で駒ヶ岳牛乳を飲んで、森町まで来てくれたんです。「北海道展に出て欲しい」と言われて、はじめは「僕田舎者だから、東京なんて行ったら迷うよ」と断っていたんですが、周りの人たちにも背中を押されて出すことになって…正直最初は百貨店なんて敷居が高くて、お昼ごはんを食べる社員食堂の場所もわからないし、「来なけりゃ良かった」と思ったんですけどね(笑)。でもお客さんがすごく可愛がってくださったんです。たくさん話しかけてくださって。
…出店するうちに、ファンが増えてきたんですね。
柴田 僕が他の催事に行って、長らく顔を出せなかった時は、「あなた、しばらく振りね」と言ってたくさん買って行ってくださったり。当時は「2年ごとに新しいことを始めよう」と決めて、3年目にアイスクリーム製造を始めて、アンテナショップを立ち上げました。次は5年目にヨーグルトやチーズ、バターなどを始めて。僕の最初の目標は、貧しくてもいいから、「ユニフォームカッコいいね」とか「あそこ面白そうだね」と興味を持って来てもらえる会社にしたいなということでした。
▲駒ヶ岳牛乳の牛ユニフォームは催事でも目を引く可愛さ!(右が柴田さん)
お客様の提案で誕生した商品が大ヒット
消費者の声には常にアンテナを張っている
…商品を作る時にこだわっておられることはありますか?
柴田 美味しさの基準は人それぞれだと思っています。僕の中では、「後味がよくてすっきりと抜けがいい」ことを大切にしています。最初は少し物足りないくらいでも、食べ終わる時に「まだいけるぞ、また食べたい」と思えるような味。だから僕はよく「(駒ヶ岳牛乳は)味もそっけもない牛乳」と言うんです。
…いえ、駒ヶ岳さんの牛乳は、濃いのに後味はさっぱりした感動の美味しさです! 次々と出されるオリジナル商品のアイデアはどこから出てくるんですか?
柴田 百貨店さんから言われることもありますし、お客様から言われることも多いです。「牛乳、ソフトときたらロイヤルミルクティーでしょ」と言われてダージリン味のソフトを作ったり。これは当たりましたね。お客様からヒントをいただいて、勉強させてもらうことは多いです。お客様はいろんな情報を持っていらっしゃるので、「あそこのお店が美味しかったよ、食べておいで」とか言われて行ってみたり、「こういう組み合わせしてみたら?」と言われて試してみたり。
▲人気の「贅沢ぷりん」。中でも同じ森町の“幻のかぼちゃ”「くりりん」を使った「かぼちゃ~クリームチーズ~」は絶品。
…お客様との会話からも商品が生まれるんですね。商品を生み出す発想の柔らかさ、好奇心には頭が下がります。
柴田 もう大変ですよ!(笑) でも僕だけのアイデアじゃないんです。スタッフのみんなもいろんなところに食べに行って、「あそこのこれが美味しかったよ」といった情報を集めてきます。美味しいと言われる商品を取り寄せてみんなで食べることもあります。アンテナはいつも張っているかな。一度、「焦げないバター」を作ったこともありました。これは僕が“生クリームを主にして濃い原料でバターを作ったらどうなるんだろう?”と思ったところから試作してみて。親戚の間では好評だったんだけど、値段も半端なく、やめました(笑)
…柴田さんはお料理はお好きだったんですか?
柴田 いえいえ(笑)。ただ、元々国鉄職員でしたから、最初の1年間は朝行ったらお昼ごはんの蕎麦用にネギを20本くらい切らされていました。男ばかり24人の所帯だったので。おかげで包丁使いは上手になりました。
…何でも極めていっちゃうんですね。
柴田 満足したいんですよ、自分で(笑)。今、旧牛舎を近隣の大工さんや電気屋さんの作業場に使ってもらっていて、そこで僕も技術を教わっていろんな作品を作るんですが、大工さんや電気屋さんより上に行きたくなるんです。365日仕事に出ていますけど、暇を見つけてはそこで何かしていますね。できたら褒めてもらいたいから「ねぇ、見てみて! 上手いと思わん?」ってみんなに聞いて…機械もいっぱい買っちゃうから、女房には怒られてるんですけどね(笑)
…完全に仕事が趣味ですね。
柴田 いや、遊びが趣味です!
…遊びが趣味で、趣味が仕事、ですね。
柴田 そうです、そうです(笑)。楽しいですよ、何でも。重機に乗っていても楽しい。
牛乳の味は気候の違い、餌の違いで変化
それぞれの牧場の味を楽しんで欲しい
…阪神百貨店さんとのつながりはどれくらいになりますか?
柴田 10年くらいになるかな。阪神百貨店は、社員さんたちが優しくて、お客様も優しいです。アットホームで、何でも話しかけられる空気がありますね。
…お客様とは例えばどんな会話をされるんですか?
柴田 僕はお客様には、「うちの商品はちょこっと美味しいからね」と言うんです。
…控えめですね(笑)
柴田 自信があるからね。そうすると、食べて「嘘つきやね!」と言われます。その言葉を待ってます。楽しくおしゃべりして、交流するのが嬉しいですね。北海道のことも聞かれるので、「北海道はもう雪が降ってるよ」という話をしたり、美味しいものが食べられる場所の話をしたり。だから僕らも北海道の情報を集めるようにしています。
…森町のことを教えていただけますか?
柴田 すぐそばに駒ヶ岳があって、大沼国定公園があって…駒ヶ岳は全国に27ヶ所ありますが、僕たちはここが「秀峰・駒ヶ岳」と思っています。関西から移住されている方も多いですよ。でも、ど田舎です!(笑) 学校までは歩いて4キロかかりますし、僕たちの子どもの頃は道も舗装されていなかったので大変でした。学校からの帰りは寂しいから、歌いながら帰っていましたね。
▲森町にあるアイス工房「ピカタの森」
…最近消費者側は、ただ商品を買うというより、その商品の裏側にあるストーリーや生産者さんの顔も含めて求めるようになってきているのかなと思いますが、そのあたりどう感じておられますか?
柴田 怖いですね~(笑)。はっはっはっ! 僕には無理です。そんなことは考えたことがないですね。好きなお客様は好きだし、嫌いなお客様は嫌いというだけ。
…皆さんは最高の商品を出す、というだけなんですね。
柴田 自分が美味しいと思っているだけで、自分のところの商品がお客様にとって最高な商品だとは思ってません。美味しいものはたくさんあると思うから、「美味しい“かも”ね」、というだけ。牛乳もいろんな味があるから、お客様一人ひとりに合う牛乳の味があると思いますし。牧場も道東・道北・道南…それぞれで味は違います。僕たち道南は本州の気候なので、牛の餌になるデントコーンが採れるんです。だから牧草や配合飼料を食べている他の地域とはまた味が変わってきます。
おすすめは「牧場北海道」オリジナル商品
「芸術ソフト~Hokkaidoチーズ~」
▲「芸術ソフト~Hokkaidoチーズ~」(クリームチーズ味)550円(税込)
柴田 今回は小池バイヤーから、「チーズで作って欲しい」というリクエストをもらって作りました。最初はチーズを作る際にできる「ホエイ(乳清)」で作ることも考えたのですが、駒ヶ岳牛乳の場合は毎日作るチーズの種類が異なるので、ホエイの色がまちまちなんです。白かったり黄色かったり。それも楽しいんですが、お客さんが驚いちゃうかなと思ってクリームチーズにしました。白い芸術ソフトもきれいですよね!
情熱を恥ずかしそうに冗談で隠す柴田さん。
皆さん、会場で召し上がった際にはぜひ、味の感想を伝えてあげてください。
きっとワクワクしながら待っておられるはずだから!
阪神梅田本店「牧場北海道」は11/23(祝・火)~29(月)開催
1階「食祭テラス」にて詳細はこちら
【後編】は(おおともチーズ工房 大友佳苗さん)のお話!