国産豚肉のために、生産者のために。 今、消費者にできること。
この記事の登場人物
塩澤 英一ナイスポークチバ推進協議会
“安全・安心な豚肉を、消費者に安定供給する”―――国内の養豚農家はその情熱を持って飼育に取組んできた。しかし、TPPによる関税の引き下げによって需要が大きいとみられる安価な部位を中心に輸入が拡大することが懸念され、生産者の間では先行きを不安視する声が続出している。
もくじ
“安全・安心な豚肉を、消費者に安定供給する”―――国内の養豚農家はその情熱を持って飼育に取組んできた。しかし、TPPによる関税の引き下げによって需要が大きいとみられる安価な部位を中心に輸入が拡大することが懸念され、生産者の間では先行きを不安視する声が続出している。
生産者側には、産地を挙げての収益力向上やブランド化など、一層の努力を迫られることになると予想される中、消費者である私たちには何ができるのだろうか?
千葉県でご活躍される「養豚生産団体ナイス・ポーク・チバ」の会長である塩澤 英一氏にお話を伺った。
千葉県産豚肉の販路拡大に向けて
海藻粉末やトウモロコシなど植物性の飼料にこだわって生産される豚肉 「房総ポーク」や千葉県産のサツマイモを混合した飼料で育てる「ダイヤモンドポーク」など、千葉県内で飼育されているブランド豚肉は約18種類。生産者が飼育にこだわって育てた豚肉は、最高の肉質と脂身を持ち、極上の美味しさだ。
これらは、主に県内のスーパーや道の駅を中心に販売されている。昨今ではインターネットなどで通信販売する生産者も増えてきた。さらに、ふるさと納税で千葉県産の豚肉をお礼品にしている自治体もあるなど、積極的に販路拡大に取り組んでいる。
千葉県はもとより、国内の養豚農家ではこのようなブランド豚の飼育に注力し、美味しさだけでなく高い安全性を確保するため厳しい品質管理を行っている。
必要なのは子どもの頃からの「食育」
千葉県内の養豚生産団体ナイス・ポーク・チバでは、千葉県産豚肉PR活動の一環として、食育推進のためのDVD『よーい、とん!』を作成。豚肉の栄養面や、いかに衛生・安全に注力して飼育されているかということを子どもたちに伝えるツールとして活用されている。塩澤会長には、忘れることのできないエピソードがある。
「役所の方から、“本来なら我々行政の仕事であるべきものを、肩代わりしてくれていることに対し、非常に感謝している”と評して頂いた。ナイス・ポーク・チバが、自分たちの直接的な利害を超えた活動をしていると理解してくれたことは、本当に嬉しかった。ここまでやってきてよかったと思った」。
TPPにより、低価格の豚肉の輸入が始まる。おそらく国産豚肉は値段では太刀打ちできない上、価格の大幅な下落も懸念される。
その対策について塩澤会長は、次のように話す。
「根本的な話で、子どもの頃からの教育“食育”が基本ではないかと思っている。食べ物が人間の身体を作っていること、地域に生産者がいてそこで食べ物が作られているということ、地産地消の大切さ……。そういったことへの感覚を子どもの頃からしっかりと身に付けておくこと。そこで培ったものが、消費者として“自分が今、何を口にしているのか”“安全・安心とは何か”を考えることにつながってくるのではないだろうか」。
消費者のささいな一言が国産豚肉を食べる機会を拡大する
生産者は、これまでも安全・安心な国産豚肉を消費者に届けようと、行政への働きかけや流通、販売などにおいて奮闘している。では、一般消費者である私たちに何ができるのか?
塩澤会長は次のように述べる。
「国内の生産者にとって、国産の豚肉を手に取っていただくことはもちろん、スーパーや飲食店で“この豚肉の産地はどこですか?”“地元の豚肉はありますか?”と聞いていただけることが嬉しい。お店の方が“消費者のニーズがそこにある”と感じてくれたら、取り扱いや販売面積拡大につながるかもしれないから」。
私たち一人ひとりの声は、とても小さなものかもしれない。しかしそういった気持ちが集まれば、きっと大きな力になる。購入する、言葉に出す、そんな応援からはじめてみてはいかがだろうか。
ナイスポークチバ推進協議会
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会長 塩澤英一