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阪神百貨店「食祭テラス」のプレゼンターにどっこいしょニッポンが参戦!「牧場北海道」11/23~29開催【後編】

  • #乳製品
  • #六次化

この記事の登場人物

大友 華苗
おおともチーズ工房
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大阪・阪神梅田本店の1階フロアが、10月から「食祭テラス」としてリニューアルオープン。毎週さまざまな“情熱あふれる食のプロ”=プレゼンターを迎え、新たな食の出会いを届ける食祭テラスで11月23日から開催される「牧場北海道」には、なんと! どっこいしょニッポンがプレゼンターとして参加させていただくことになりました!

前編に引き続き、【後編】では、「牧場北海道」に出店される北海道・浜中町「おおともチーズ工房」大友佳苗さんにお話を伺います。

おおともチーズ工房
大友華苗さんに聞く、百貨店催事の面白さ

おおともチーズ工房は、道東エリアの浜中町にあります。入植から3代続いてきた酪農家の長男である大友孝一さんがチーズ工房を創業したのは1999年。農業大学校で加工を学び、自分たちの牛乳に付加価値をつけて独自のブランドとして出荷できることに魅力を感じ、卒業後、北海道チーズの草分け・こんどうチーズ牧場(現在は閉鎖)へ住み込みで修業に。結婚後は、奥様の佳苗さんがチーズの販路拡大に奔走してこられました。

保険会社勤務から酪農の世界へ
外からの視点が「おおともチーズ工房」を変えた

…おおともチーズ工房さんが百貨店催事に出されるようになったきっかけは、何だったんですか?

大友 私が結婚するまでは主人が一人で製造して、工房を訪れてくださるお客様に販売していたのですが、当時は年間に300万円売り上げたらいいくらいで、材料費などを引くと赤字。牧場の経営の足を引っ張っていて、私も「何てところに嫁いでしまったんだ」という状態でした(笑)。まずは売り上げを増やすため、地元のスーパーなどにお願いしてレジ前で販売させていただいたり、物産協会の商談会に参加するうちに、催事のお声がかかるようになりました。

…もともと佳苗さんも酪農に従事されていたんですか?

大友 私は釧路市の出身で、両親も公務員、28歳で結婚するまでは保険会社のアジャスターをしていたので、まったく畑違いだったんです(笑)。ただ、大きな企業に所属していたのではわからない、原料からお客様の「ありがとう」が聞けるまで、一連の流れを作っていけるお仕事には、とても興味がありました。

▲大友牧場の牛たちは、夏は昼夜放牧され、ミネラルたっぷりの青草を食べて育ちます。

…実際にお仕事に携わられるようになって、一番感じられたことは何ですか?

大友 サラリーマン家庭から嫁いだ私の目には、まず一次産業って、あまりにも人の善意のもとに成り立っているなと思いました。家族の無償労働とか、休みなく働く犠牲のもと、本当「労働基準法って何ですか?」という世界でやらないと成り立たない。そんな仕事に未来があるのか、今後やりたいと思う人がいるのかなという疑問が湧いてきました。だから、主人も含め、継ぐことが当たり前として育ってきた後継者にとっても、一次産業に関わりながら普通の生活ができるのが一番の目標だなと思いました。

…なるほど。外からの視点だからこそ、ですね。

大友 休みもなく子どもたちをどこにも連れて行ってあげられないみたいな生活は、なんとかしなきゃいけない、そうしないと第一次産業はダメになってしまうなと痛感して。そこで、牧場とチーズ工房の経営を分け、2009年に工房の法人化に踏み切りました。工房だけで採算が取れて、従業員の方々がきちんと家族を養える生活を送れることを目標にして。趣味でするならいいと思いますが、人を雇うということは、その人の人生まで背負うということですから、その人たちがしっかりと将来に夢を見られないといけません。農家の当たり前を押し付けるのは違うなと思いました。

大阪のお客様は食べることが大好き!
おしゃべりするうち井戸端会議になることも

…大友さんは、百貨店催事の面白さはどこにあると思われますか?

大友 都心部で北海道展をするとものすごい数のお客様がいらっしゃって、皆さん目でもお買い物を楽しんでおられるなと感じます。コンビニやスーパーでもお買い物ができる中で、こうして百貨店まで足を運ばれるのは、現地の方との会話を楽しみにこられている方も多いと思いますし、北海道情報をお土産に帰られるんじゃないかなと思います。

…それは確かにありますね。北海道の空気を感じに行くというか。

大友 阪神百貨店さんのお客様でも、催事でお話しして、その後浜松町まで来てくださった方が結構いらっしゃるんです。「お姉さんが6月がいいって言ってたから遊びに来たよ」とか。そういうつながりが全国各地にできることが本当に楽しいです。

…大阪のお客さんって、どんなイメージがありますか?

大友 食べることが大好きなお客様が多いですよね。「どうやって食べるのが一番美味しいの?」と聞いてくださるのは、大阪のお客様が一番多いんです。良い意味で知ったかぶりをせずに、好奇心が旺盛で何でも聞いてくださる。だから私たちもお一人おひとり好みやお話を聞いて、「ピザに乗せたいと思ってるんだよね」と言われれば、「加熱すると風味が出るチーズなのでこれがおすすめですよ」などお伝えしています。

…お客さんとしても、気兼ねなく質問していいってことですね。そういった会話を楽しめることも催事の楽しさですよね。

大友 私は聞いていただくこともすべて商品のうちに入っていると思っているので、せっかく来ているんだから何でも聞いてよ! という感じです。忙しそうでも、全然気にせず話しかけてください! お客様との会話を他のお客様も一緒になって聞いてくださって、いつの間にか井戸端会議みたいになることもよくあります(笑)

…ちなみに大友さんはどんな食べ方がお好きですか?

大友 私は夕食が終わった後、家族でテレビを見ながら小さいまな板を持ってきて、ちゃぶ台で切って、つまようじでみんなでつつくのが好きです。かしこまった感じじゃなく、食後にりんごを剥く感覚で食べるのが一番。でも主人は、「ここはちょっと熟成が浅かったな」とか「もう少しpH(ペーハー)を下げておいた方が良かったな」とか粗探しばかりしてしまうから、うちのチーズは食べないらしいですけど(笑)

▲大友牧場で搾られたばかりの新鮮な牛乳で作られるチーズ

現在は1年の半分がホテル生活
各地の催事から指名がかかる

…昨今のお客様のお買い物傾向について、何か変化を感じることってありますか?

大友 商品の製造の背景も含めてお買い求めくださるお客様が本当に多くなったなと感じます。安いものは安いもので、高いものは高いもの、高いものには理由があることをわかってくださった上で、お客様も上手に使い分けされるようになったのかなと思います。

…大友さんも催事にはすべて行かれているんですか?

大友 秋は同時期に開催されることもあるので、主人も含めスタッフ約5名がそれぞれ一人ずつ催事に伺います。私も明後日出発で、最後は11月末まで北海道には帰らないんです。(お話を伺ったのが9月11日。そこから2ヶ月半!)全国転々として、最後は阪神百貨店さんで一旦終わり。主人にも半年ほど会いません(笑)。その間は、工房に残ったスタッフで製造と出荷を行なって、電話連絡を取り合いながら進めています。

…それはすごい! 想像以上でした!

大友 そうなんです。年間で考えるとおそらくホテルに泊まっている期間の方が長いですね(笑)。11月末だと北海道はマイナスになるので、コートも必要。だからスーツケースがものすごい大きいんです。

ハーゲンダッツの原料にもなっている
高品質な浜中町の牛乳

…浜中町のことも教えていただけますか?

大友 人口5000人ほどの小さな町ですが、昆布の生産量とウニの出荷量が日本一で、沿岸部では漁業が盛んで、山間部では酪農が盛んです。ほとんどの方が第一次産業に従事していて、ほぼ農家か漁師か役場の職員(笑)。モンキー・パンチさんの出身地でもあって、「ルパン三世」の聖地のようになっていたり、“花の湿原”と呼ばれる広大な湿原があって、季節ごとにお花が一面咲いて、真っ黄色になったり真紫になったり、真っ白になったり…。釧路から根室にかけて海沿いの道は、バイクでツーリングを楽しまれるお客様も多くいらっしゃいますね。

▲春から秋にかけて約300種の花が咲く、霧多布湿原(写真提供:浜中町役場)

…お写真を見ても、本当に美しい大自然ですね。

大友 全国的に見ても、特に気温が上がらない地域で、夏に「暑いね」という時で25℃くらい、逆に冬はそれほど下がらず、旭川などでマイナス20~25℃になる頃、浜中町は低くてもマイナス15℃くらいです。雪もそれほど多くなくいので、牛にとっては環境のいい場所です。

…大友牧場の牛さんたちはそういった環境で育っているんですね。

大友 夏は昼夜放牧をしているので、搾乳の時間には「おーい」と呼べば牛舎に戻ってきて、搾乳が終わればすっきりした顔で牧草地に帰って行きます。浜中町のミルクはすごく質がいいということでハーゲンダッツアイスクリームの原料にもなっているんですよ。うちの牧場の牛乳もチーズに使う以外は、ハーゲンダッツのアイスクリームになっています。

夏の青草で育った牛のミルクはコクも旨味も抜群!
11月のおすすめは「熟成チーズ」

▲物産展限定!3種類(レクタン・キャラウェイ・ミモレット)の熟成チーズセット(こちらの写真には、別のチーズも含まれています)

大友 阪神百貨店さんでは実演もするんですが、蔵で3~4ヶ月寝かせた熟成チーズはおすすめです。11月の催事だと、ちょうど7~8月に製造したチーズがちょうど出荷されます。7~8月って北海道でも一番良い季節で、牛たちは青草を食べてミルクを出すので、コクも旨味も他の季節より断然いいんです。

…夏と冬での牛乳の味の違いが、チーズにも影響するんですね。

大友 そうですね。特に浜中町は海沿いの町なので、潮風がミネラルを運んできて牧草にすごく良いということで、夏草のミルクは質がいいんです。青草を食べる時期は、青草にカロチンが含まれているので、牛乳の色も黄色くなるんですよ。

…カロチンってあの、ニンジンなどに入っているカロチンですか!?

大友 そうです、そうです。逆にモッツァレラチーズなどのフレッシュタイプのチーズだと、11月頃は青草がなくなり栄養素がギュッとつまった乾燥した牧草を食べるようになるので、ミルクの風味が濃厚になって乳脂肪分が上がります。だから冬場はフレッシュチーズが美味しくなる季節なんです。

…ということは11月末って、もしかしてめちゃくちゃ欲張りな季節ですか!?

大友 そう、11月は熟成・フレッシュチーズ両方の美味しいところが楽しんでいただける、チーズには最高の時期ですね!

「牧場北海道」にお越しの際はぜひ、

阪神百貨店バイヤーから必ずご指名が入るという佳苗さんの人柄にもぜひ触れて、

おしゃべりも一緒にお楽しみください!

阪神梅田本店「牧場北海道」は11/23(祝・火)~29(月)開催1階「食祭テラス」にて詳細はこちら

【前編】(駒ヶ岳牛乳 柴田勝輝さん)も合わせてご覧ください!

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