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大規模&共同経営で成り立つ「フェリスラテ牧場」。新しい酪農モデルとして

この記事の登場人物

田中 一正
株式会社 フェリスラテ
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東北震災後の福島復興事業の一環としてスタートしたフェリスラテ。福島県では随一の大規模経営と、避難休業酪農家5名での共同経営という珍しい事業モデルとして、各方面から期待されています。フェリスラテの経営について代表取締役社長の田中さんにお話を伺いました。

牛に設備、すべてがマックスに揃った状態から始めた異色の農場。

フェリスラテは、2016年に震災復興事業の一環としてスタート

フェリスラテは、震災復興事業のひとつという性質上、一般的な農場とは経営スタンスの面で異なる部分が多数あります。

「一般的な農家さんでは、自己資金や自治体の補助金などを使いながら徐々に設備を増やして徐々に規模を拡大して・・・というやり方をしますが、フェリスラテの場合は、通常ではありえないくらいの補助金をいただいて最新の設備と牛の頭数をマックスに近い状態に揃えてからのスタートでした。そこが、普通の農家さんとは大きく異なるところです。」

搾乳牛舎C棟

フェリスラテは、設立当初から160頭収容可能な牛舎を3棟、80頭収容可能な牛舎を1棟設置し、それぞれに牛を入れて飼育しています。そのため、このスタート時のマックス状態をいかに落とさないでキープし続けるかということがひとつの大きな課題です。

「最初からマックス状態ということは、裏を返せば伸び代はないということ。次の一手を打たなければいずれは頭打ち状態になります。例えば、牛は3産・4産のとき搾乳量が一番多くなりますから、今いる牛がその時期を超えたら搾乳量は落ちる一方になってしまうわけです。」

そこで、不要なコストの徹底削減や作業効率化はもちろん、次世代の子牛の繁殖を行っているとのこと。また、「いずれは、産まれた子牛の肥育も自社でできるようにしたい」とも、田中さんはいいます。

経済牧場としての使命

また、フェリスラテは、震災後の経済復興の一環として、「お金を生み出して周辺地域住民や従業員の生活を豊かにする」という使命を担っています。

「そういった意味で、フェリスラテはいわば“経済牧場”なんです。現在20名以上の従業員がいますから、彼らとその家族を食べさせていかなければいけません。」

このように、復興牧場・経済牧場としての役割を授かったフェリスラテ。その使命をまっとうするためには、できるだけたくさんの牛乳を搾乳し、生産性を上げることが重要です。

経済牧場でもメガファームでも決して忘れてはならないのは、生き物を扱っているということ

田中さんは、自らフェリスラテのことを“経済牧場”とおっしゃいます。

ともすれば利益重視・効率重視の経営に傾いてしまってもおかしくありませんが、田中さんは長らく牧場の仕事に従事されてきた生粋の牛飼い。フェリスラテの根底に流れているのは、「牛が好き」「牛飼いの仕事が好き」というスピリッツでした。

「経済牧場とはいえ、“牛は単なる資産で、数字ですべてを動かしている”というわけでは決してありませんし、そういう農場にするつもりはありません。」と、田中さんは語気を強めます。

「私たちは、生き物、命を扱っています。その思いが経営という意味で足を引っ張ることも当然あります。例えば、生産性だけを考えたら、もう牛乳を絞れなくなった牛は処分すべきなのかもしれません。ですが、私はたとえ牛乳を出せなくなっても“今までご苦労さん、ありがとう”という最期の瞬間まで手放すつもりはありません。たまに、“どのくらいのスパンで牛を更新するんですか?”“全国平均の何倍ですか?” なんてことを聞かれることがありますが、我々は命を扱っているわけですから、そんな数字だけで経営を進める気はサラサラありません。」

経済牧場として利益を生むこと。牛を大切にすること。

ときに対局になりうるふたつの視点ですが、「命というもの、数字では表しきれないものを大切にしながらも、いかに大規模で生産性の高い農場であり続けられるかというところが最大の課題です。」と、田中さんはいいます。

「家族経営の気持ちを持って、メガファームに経営に挑みたい」

現在日本には、フェリスラテのようなメガファームから家族経営の小規模農場まで、さまざまな形態の農場があります。これまでさまざまな経営形態の農場に携わってきた田中さんにとって、理想の酪農業とはどのようなカタチなのでしょうか。

「メガファームも家族経営も、どっちがいいというのはないと思います。日本の牛乳の需要を満たすためには誰かがたくさん牛乳を絞らないといけませんし、たくさんの従業員を抱えている農場では従業員やその家族を守らなければなりません。そうなったら当然効率良くたくさんの牛乳が絞れて大きな収益を上げられる大規模農場が適しています。今は国も大規模酪農を推進しているので、その流れに乗るのもひとつの選択肢です。」

「反対に、仕事が趣味で趣味が仕事で、自分の目の届く範囲で楽しみながら酪農をしたいという人には、数十頭の牛を飼いながら家族経営での酪農をするというのがあっていると思います。どっちも正解であって、要は自分がどこを目指すか、自分の立ち位置をどこにするのかということですよね。私個人としては、家族経営の気持ちを忘れずに大きい酪農業に挑戦したいと思っています。」

株式会社フェリスラテ

http://www.milk.fukushima.jp/csr/reconstruction/#felizte 

  • 営業時間:要問合せ
  • TEL:024-573-5101
  • 定休日:要問合せ
  • アクセス:福島県福島市土船字新林25-17

・事業内容

飼養頭数    573頭(平成29年3月末日現在)
生乳生産量   出荷乳量約14,971kg/日(平成29年3月末日現在)
3月の総出荷乳量464,107kg