読みもの

地元とともに歩んできた豚肉を、 地元で消費してもらうために。

  • #六次化

この記事の登場人物

大山 陽介
ピックファーム大山
" alt="">

チーズの副産物であるホエー(乳清)粉やチーズそのもの、さらにふすまや米ぬかなどを食べて育つ「なかしべつミルキーポーク」。このおいしい豚肉を生産する「ピックファーム大山」の代表を務めるのが大山陽介さんです。北海道中標津町で養豚を営む彼に、地元への思いをお聞きしました。

身近な人々の意見と口コミも、おいしさを育んで。

「ピックファーム大山」の設立は昭和61年。大山さんのお父さんが、ホエー粉をはじめ地域の「副産物」を食べさせる養豚スタイルの礎を築きました。

「中標津町の周辺には大きな乳業メーカーがあり、ホエー粉やハネ品のチーズを豚の餌として再利用するにはもってこいなんです。食品工場やホテルも多いので、廃棄するものを安く譲ってもらっています。餌はいわゆるエコフィードが中心ですね」

大山さんは、今でこそ廃棄される食品の種類や量に合わせ、バランス良く餌を配合する技術を身につけています。けれど、エコフィードを養豚に活用し始めた当初は、お父さんが何度も試食会を開き、どの配合が一番おいしいのかアンケートを採ったそうです。

「父の人柄のおかげでしょうか、近隣で発酵飼料を作っている方や将棋仲間など、多くの人が試食会に駆けつけてくれました。時には辛辣な言葉もあったようですが、身近な方々の忌憚のない意見だからこそ具体的な改善策が浮かんだと聞いています」

「なかしべつミルキーポーク」の販売当初は、地域の人にほとんど知られていなかったとか。けれど、「父の友人のトラックドライバーが無線で『大山のところがおいしい豚肉を作った』と仲間内で宣伝してくれました。こうした口コミがウチのお肉を徐々に広めてくれたんです」と大山さんはにこやかにお話しします。

地元の人に食べてほしいという思いから加工品づくりに挑戦。

大山さんは少しでもおいしい豚肉を追求する一方、地域の環境に育まれてきたからこそ、地元の方々に商品を消費してほしいという思いを抱いています。「地域の人が口にしてきた水や野菜と同様に、ウチの豚肉を食べて健康につなげてほしいと、父は常日頃から語っています」と大山さんは表情を引き締めます。

当初、「なかしべつミルキーポーク」は商社を通じて販売されていましたが、地域の人々にもっと届けたいという思いから、平成9年には直売所をオープン。大山さんのお母さんが加工品づくりを担当するようになりました。六次産業化という言葉もまだまだ根づいていなかった時代だといいますから、かなり先進的な取り組みです。

「う~ん…ただ地元の人に食べてほしいという一心で、加工品も思いつくままに試作していたと思います(笑)。豚のタン、サガリ、大腸、小腸、レバー、ハツ、マメ(腎臓)、トントロ、すね肉といった多彩な内蔵の部位を刻んで特製タレに漬け込んだ『味付ホルモン』が最初の商品にして人気の一品です」

現在は豚バラ肉やロース、ヒレといった精肉の他、ぎょうざやハンバーグ、ソーセージなどの加工品をすべて手づくりしています。毎日のように豚肉を切り、肉質の状態を見ながら、硬さや旨みを確認して飼養に生かしているというから驚きです。

「地元の農業高校の生徒がプロジェクトの一環としてウチのお肉を使った加工品にトライしたこともあります。担当の先生が非常に熱心だったので、加工品づくりも教わりました。こんなところでも地域の人に助けられているんです」

夢は豚肉の全量を中標津町で消費してもらうこと。

ここ最近、「ピックファーム大山」では直売所の売れ行きの割合が大きくなってきているそうです。地元の口コミに加え、お祭りへの出展や学校給食への商品提供といった小さな努力が実を結んでいます。

「ようやく地元の人に広く知られてきたという手応えはあります。けれど、ウチで飼養している豚は800頭程度。もっと中標津で消費してもらいたいとは思っていますが、生産量が追いつかないことが悩みでもあります」

とはいえ、「なかしべつミルキーポーク」のおいしさを生み出すために、一頭一頭に目をかけ、一頭一頭に手をかけるには800頭で精一杯なのだとか。これ以上頭数を増やすには施設を建て替え、工業的な豚の飼い方をしなければならないといいます。けれど、それでは理想の味を届けることができず、豚をできる限り自然体で飼うことも不可能になるというジレンマを抱えているところです。

「昭和61年に父が養豚をスタートし、これまでは農場をつくり上げることにがむしゃらな時期でした。けれど、飼養スタイルと施設がある程度完成した今、僕が地元の人に恩返しするという思いを受け継ぎながら、経営や働き方を見直していく番です。例えば、従業員を増やすというのも策の一つだと思います。夢は、ウチの豚肉の全量を地元で消費すること。そのための課題はまだまだ山積しているんです」

美味しい豚肉を追い求め、何度も改良を重ねてきた地元に愛される「なかしべつミルキーポーク」。少量生産がゆえに全国へ流通することはありませんが、直売店のオンラインストアであれば購入可能です。

>> なかしべつミルキーポークの購入はこちら <<

直売所の前で大山さん一家をパチリ。

なかしべつミルキーポークのピックファーム大山

http://www.milkypork.com 

  • 営業時間:
  • TEL:0153-72-4247
  • 定休日:
  • アクセス:海道標津郡中標津町緑ヶ丘8-1

// こちらもオススメ