飯テロ注意:アルプスの少女ハイジのチーズパンを完璧なシチュエーションで再現した
この記事の登場人物
ニシキド アヤトライター
どうも、ライターのニシキドアヤト(@art_0214)と申します。
最近、チョコレートの「アルフォート」に描かれている船に乗って沈没するという悪夢を見ました。めちゃくちゃに怖かったです。
もくじ
どうも、ライターのニシキドアヤト(@art_0214)と申します。
最近、チョコレートの「アルフォート」に描かれている船に乗って沈没するという悪夢を見ました。めちゃくちゃに怖かったです。
さて突然ですが、みなさんは何か「夢」を持っていますか?
(悪夢の話をしたあとにすみません)
大きな夢から小さな夢。
人は夢を見て生きているといっても過言ではないでしょう。
かくいう僕にも一つの夢がありまして……。
それは……
アルプスの少女ハイジに出てくる、あの「チーズが乗ったパン」を食べた~~~い!!!
これです。
いきなりなんなんだ。という方のために説明させていただきますと、そのチーズパンは、アニメ『アルプスの少女ハイジ』に度々登場する、パンの上に溶けたチーズを乗せたとてもシンプルな食事です。
「アルプスの少女ハイジBlu-rayメモリアルボックス」¥36,000(税別)
発売・販売元:株式会社バンダイナムコアーツ
1974年に放送されたアニメ『アルプスの少女ハイジ』は、母方の叔母に育てられていた主人公ハイジが、アルムの山小屋に1人で暮らしている父方のおじいさんに引き取られ、様々なことを経験しながら成長していく愛と感動の物語。
いつも車椅子に座っていたクララが立ち上がる「クララが立った!」という名シーンは涙なしには語れません。
アニメ界の巨匠である宮崎駿氏と高畑勲氏の初期作品としても知られており、2人はこのアニメを作るにあたって、スイスで現地調査したという……演出面でのこだわりもこの作品の素晴らしいところ。
その中でも僕が最も衝撃を受けたのが、第2話でハイジが山小屋に来て初めての食事をするシーン。
おじいさんが直火でチーズを炙り……
トロッとやわらかくなったチーズを……
パンの上へ豪快にベッ……! と乗せる!!
それだけ!!
それだけなのに、ハチャメチャにおいしそう!!!
めちゃくちゃ素朴な食卓でありながら、僕の心を鷲掴んで離さないこのハイジのチーズパン……何でこんなに美味しそうなんだ……?
めちゃくちゃ気になるし、僕もあんな美味しそうなチーズパンが食べたい!!どうすれば再現できるんだ!?
めちゃくちゃ気になるし、僕もあんな美味しそうなチーズパンが食べた過ぎるので、とりあえずアルプスの少女ハイジ公式に問い合わせてみました。
アルプスの少女ハイジのアニメで、おじいさんがチーズパンに使用しているあのチーズ、ネットで調べると「ラクレットチーズ」ではないか? という意見が多かったんですが、どうなんでしょうか。
食材にチーズを溶かしてかける「ラクレット」という料理がアニメに登場するので混同されがちですが、実はアニメに登場するチーズ名は特に設定されておりません。
え! ラクレットチーズではないんですか?!
ラクレットチーズは牛乳からつくられるチーズで「アルプスの少女ハイジ」では「ヤギの乳からつくった溶けるタイプのチーズ」です。
「ヤギのチーズ」で、しかも「溶ける」「伸びる」となると、中々入手が難しそうな感じがするんですが……?
ヤギ乳はあまり流通してませんし、味も見た目も完全再現するのは難しいかもしれません。あのシーンで監督が描きたかったのは、ご覧になっていただいた方が「美味しそうなチーズから何を感じ取るか」ということでしょう。
何を感じ取るか……。じゃあ、あのびよ~んとチーズが伸びまくるのも演出みたいなものなんですね
実は、アニメ放送当時、日本では「溶けるチーズ」自体まだ一般的じゃなかったので、プロセスチーズを炙って「チーズがアニメのように溶けない」という苦情がテレビ局に入ったこともあったそうです。
そんな苦情ある? まぁ、それほどみんなあのチーズパンを食べたかったんですね。ちなみに、あの黒いパンはどんな種類のパンなのかというのは設定されているんですか?
おそらくはライ麦パンという種類になると思うのですが、こちらもチーズ同様、特段の設定はないので詳細は分かりません。重要なのは、ご覧になっていただいた方が「白パンと黒パンとの対比から何を感じ取るか」ということです。
さっきから言ってる「何を感じ取るか」ってなに??? ……まぁ、つまりハイジのチーズパンを再現するには、チーズやパンの種類にこだわるのではなく、シチュエーションや演出のこだわりが大事ということですね。
要するに
ということね!
■いざ実践
ということなので、なぜあんなにおいしそうなのかを紐解く為、今一度あのシーンを振り返って研究してみました。
そして僕が「最高のチーズパン」を食べる為に辿り着いた重要項目がこちらです。
1.大自然に囲まれた山小屋
「アルプスの少女ハイジ」といえば、ハイジとおじいさんが住む、アルプスの大自然に囲まれた山小屋。
草木の香りまで伝わってきそうな最高のロケーションなくして、ハイジのチーズパンを再現することは困難でしょう。
2.無愛想なおじいさんの慣れた手つき
多くは語らず、慣れた手つきで黙々と作業するおじいさん……。頑固おやじ的な無愛想なおじいさん(本当はやさしい)が作るからこそ美味しく見える気がします。
3.チーズを直火で炙って溶かす
こちらも大事なところ。アニメでは、おじいさんが囲炉のようなところでチーズを炙っており、そのチーズが直火によってドンドン溶けていくシーンが、チーズパンをより一層美味しく見せる為に一役買っているということは、紛れもない事実です。
4.伸びまくるチーズ
そして最も重要と言って良いシーンがこちら。伸びに伸びまくるチーズ。
ハイジの顔も「こんなに伸びること、ある?」と言いたげな表情をしています。
僕が求めるチーズパンに、この「伸びまくるチーズ」というのは必須条件です。
5.無邪気な子どもが嬉しそうに食べている
やはり、ハイジという無邪気な子どもが食べ物を美味しそうに食べている姿は、それだけで人に癒しや安らぎを与えるものです。「チーズパン×ハイジ」という組み合わせがあってこその、「美味しそうなチーズパン」なのではないでしょうか?
以上を踏まえれば、憧れのチーズパンを限りなく近く再現できるハズです!
よっしゃー!! やるぞぉぉぉおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
……ということで、大自然に囲まれた、寡黙ながらも優しいおじいさんのいる山小屋にやってきました。
僕のほっぺたも赤くなり、気分は完全にハイジです。
「やるなら徹底的にやれ」
僕の父が事あるごとに行っていた言葉です。お父さん、これでいいんだよね? 教えておじいさん。
溶けるタイプのチーズとライ麦の黒パンも用意しました。
とにかく大事なのはシチュエーション。そして、ご覧になっていただいている方の感じ取る気持ちです。
では、ここからはハイジ2話の食事シーンを思い浮かべながら(できる人は)ご覧ください。
無愛想なおじいさんの慣れた手つき。
チーズを直火で炙って溶かす。
「あ、あ……」
とろ~~り……
パンの上へ豪快にベッ……!
うわあああぁぁぁ~~~!!!
ほら!もう!!これだけでハチャメチャにおいしそう!!! はい!! 優勝っ!!!
あとは、無邪気な子どもになりきって食べるだけ。
ミルクも忘れていません(ヤギのミルクは手に入らなかったので普通の牛乳です)。
はふっ……。
びよ~~ん。
びよ~~~~~~ん。
伸びる……。理想通りに伸びまくっている……。
このシーンを撮るために、上唇は焼けただれて死にましたが、そんなものは小さなこと。
これが憧れに憧れ続けてきたハイジのチーズパン……!!
もうね……。本当に、涙が出るくらい美味しかったんです……。
僕が夢見たハイジのチーズパン、再現するのにめちゃくちゃ時間も手間(あとお金)もかかりましたが、結果的に最高の時間を楽しむことができました。
様々な情報をいただいた、ハイジ公式にも本当に感謝です……!
ちなみに、8月12日はハイジの日らしいです。
今回、「憧れのシーンを再現する」ということにチャレンジしてきましたが、「子どもの頃からの夢を叶える」というのは、大変ながらも本当に良き思い出になりました。見ているか、子どもの頃の僕よ……。
このかけがえのない経験は、ニシキドアヤトの心の中に、いつまでもいつまでも、残り続けることでしょう。(ハイジのナレーション風)
それではみなさん、さようなら……。
※本記事を作成中、「アルプスの少女ハイジ」を手掛けた高畑勲監督がお亡くなりになりました。
数多くの名作を手掛けられた高畑勲さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。