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須藤牧場

酪農 群馬県
  • #若手が活躍
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群馬県前橋市で約120頭の乳牛を飼育する須藤牧場。
従業員を「ホテルマン」、牧場を牛たちの「ホテル」と位置付け、「牛さんファースト」の精神で環境を整えています。また、耕畜連携や農福連携、酪農体験など、さまざまな活動に取り組み、地域との共生で持続可能な酪農経営を実践するモデルケースとして畜産業界で注目される存在です。

“牛さんファースト”の理念から生まれる健康な牛乳

白い壁にヤシの木…須藤牧場を訪れると、まるでリゾートのような外観が迎えてくれます。

牧場のコンセプトは「牛さんのためのホテル」。心地良いジャズのBGMが流れる牛舎で、牛たちはゆったりと暮らしています。

代表の須藤晃さんは、以前異業種の経営者仲間に牛の飼育に対する考え方を話したところ「まるで牛をもてなすホテルマンですね」と指摘されたことからコンセプトの着想を得たのだそう。

牛舎に足を踏み入れると臭気が少ないのも驚くこと。「牛、働く人、近隣住民の方にとって、ストレスのない環境を整えたい」という思いのもと、牛舎は常に清潔な状態が保たれています。また、餌には乳酸菌を豊富に含む発酵飼料を使用することで、牛の腸内環境が整い、以前に比べて糞のにおいが軽減するとともに、乳量も増加したと晃さんは話します。

「牛が健康で心地良く過ごせる環境を整えることが、人にとっても快適な環境と質の良い牛乳を生み出す秘訣なんです」

地元の人気飲食店で提供され群馬県民に愛される自家製絶品チーズ

須藤牧場はチーズ工房も運営しています。

晃さんの妻、淳子さんがその日に搾った生乳を使って丁寧につくるモッツァレラチーズは、生食でも加熱しても美味しいと評判。“ピッツァの街”といわれる前橋市のなかでも人気のイタリアンレストラン「PIZZERIA PEACA!」でもそのチーズが使われています。そして、同店の看板メニューでチーズをたっぷり使ったマルゲリータは、群馬県内の「窯焼きピッツァ」の頂点を決める祭典「KING OF PIZZA in MAEBASHI」で2022年に優勝を果たしました。

ますます注目が高まる須藤牧場のチーズですが「酪農で地域を盛り上げたい」という思いから、地元での販売のみで、遠方への配送や販路拡大は行っていません。

「商売はお客さんと顔が見える関係で続けたいですね。食べた人が『美味しい』と喜んでくれるのが何よりも嬉しいです」と晃さんは笑顔で語ります。

【耕畜連携・農福連携・酪農体験】須藤牧場が実践する持続可能な酪農のかたち

須藤牧場は、約15年前から耕畜連携に取り組んでいます。きっかけは、地域の空いている田畑で食用小麦の代わりに飼料用の麦を作るかたちで、近隣の農家と連携し始めたことでした。その後、国が飼料用稲の生産を農家に推奨し、補助金支援を行ったことで協力農家は拡大。現在では、15ヘクタール以上の農地で飼料を生産し、須藤牧場の飼料自給率は80%を超えています。

耕畜連携の取り組みについて、晃さんはこう話します。

「円高で輸入飼料のコストが高騰したことが耕畜連携を始めたきっかけでしたが、今では国内産の飼料を使うことの重要性を強く感じています。耕畜連携は、持続可能な酪農を実現するための重要な取り組みです。飼料を地域で作ることで、品質もコントロールできますし、地域の農家さんとの繋がりも深まります」

また、須藤牧場は、地域貢献の一環として1990年頃から酪農体験の受入を開始し、2001年に酪農教育ファームとして認証を取得。地域の幼稚園や学校を中心に牧場を開放し、見学や体験を実施しています。

さらに、特別支援学校とも連携し、職業体験を経て1人の知的障害を持つ従業員を雇用しました。「彼は無遅刻無欠席で、今では牧場の重要なスタッフです」と須藤さんは微笑みます。

「地域に根差し、地域に支えられてきた牧場だからこそ、酪農体験や農福連携の取り組みで地域に恩返しをしたいですね。また、酪農の魅力が1人でも多くの人に伝わり、後継者が育つきっかけになると嬉しいです」と晃さんは熱く語ります。

酪農DXの先駆けとして内閣総理大臣賞を受賞 ~持続可能な地域酪農への貢献~

須藤牧場は、「酪農のトランスフォームにチャレンジ」という経営理念のもと、常に新しい技術を取り入れてきました。まだDXという言葉が一般的ではなかった今よりも10年以上前から、農業IoTを開発する企業、ファームノートと協力してシステム開発を推進。試験期間を経て、本州関東で初めて牛群管理システム「Farmnote」を導入し、今も有効活用しています。

酪農の未来を切り開くべく、先進的技術導入や、耕畜連携等による自給飼料の確保、農福連携、さらにはHACCP取得、アニマルウェルフェアなど、さまざまな取り組みを実践してきた須藤牧場。地域酪農の持続と発展に繋がる経営が高く評価され、晃さんと淳子さんは第63回農林水産祭において畜産部門で内閣総理大臣賞を受賞しました。

晃さんはこの受賞について「地域の皆様や従業員、そして家族の支えがあってこその結果です。この受賞を励みに、さらに地域に貢献できる牧場を目指していきます」と須藤さんは力強く語りました。

// 農場情報

名称

須藤牧場

所在地

群馬県前橋市泉沢町181

HP

https://sutofarm.com/

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