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大切に育てた「さつま福永牛」を直接消費者へ。福永畜産の先進的な畜産経営

  • #六次化

この記事の登場人物

内村 祐太
有限会社 福永畜産
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「福永畜産への入社は直感で決めたんですけど、入って一カ月くらいしてから『社長の考え方がすごく先進的だな』と肌で感じました。だからこそ興味が湧いてこの仕事を続けている気がします」

そう語ってくれたのは、生産部長の内村祐太さん(28)。
大学を卒業後、入社して今年で7年目です。大学では経済学部に所属しており、畜産を勉強していたわけでも畜産が家業だったわけでもありませんでしたが、親戚と福永畜産の社長が知り合いだった縁からこの業界へ。

 「畜産に関して漠然と抱いていた古い業界イメージと真逆の会社でした。だからとても面白いですね」と内村さんは続けます。

最新のシステムを導入し先進的な経営を行う福永畜産。自社ブランド確立のため6次化も積極的に行っています。

内村さんに、会社の魅力やこれからについて話を伺ってきました。

大切に育てた牛を自分たちの手で消費者へ。独自路線のブランド戦略。

▲福永畜産の牧場。あたりにはのどかな田園風景が広がる

 内村さんが入社した2013年、福永畜産の「さつま福永牛」は、全国肉用牛枝肉共励会で最高賞を受賞しました。国内に数多くある名だたるブランド牛を抑えての“日本一”の称号です。

 受賞の背景にあったのは、「一生懸命大切に育てた牛を、自分たちの手でお客さんに届けたい」という社長の強い思いでした。

畜産の世界では、JAやバイヤーなどが間に入り流通していくのが従来の形態でしたが、社長はJAを抜けて法人化を決意。

さらに、自社の卸会社「さつま福永牧場」を設立して、東京のレストランや有名百貨店などに精肉の販売をしたり、直営レストランの経営をしたりするなど、自分の牛舎で育てた「さつま福永牛」をブランドとして消費者に直接届けるべく試行錯誤してきました。

▲自社製造した牛筋煮込み。近くの物産館でも販売されています。

「責任もリスクもすごく大きくなるけれど、そのぶん自由に経営に取り組める」そう考えての独自路線でした。

また、自社で生産から加工、販売まで一貫して行うことで、おいしいお肉をリーズナブルな値段でお客さんに提供できるので、最終的には、消費者のためのブランド戦略でもありました。

「この会社に入って、社長の考えに触れられるのが面白いです。新しいことに取り組むスピードも速くて、行動力がすごいです」と内村さん。

先進的な牛管理システムを導入し、作業効率・妊娠率が飛躍的に向上

▲牛管理システムの画面。

福永畜産の先進性を象徴しているのが、最新の牛管理システムを導入していること。
牛舎では、スマホやタブレット片手に作業しているのが印象的です。

この牛管理システムは、牛の首輪に専用の端末を付けることで体調や発情の状態を確認できるツールで、過去の治療、注射、種付けなどの日時も正確に記録できます。タブレットやスマホ、パソコンから手軽に確認や入力でき、その情報はすぐ反映されて共有されます。

▲スマホから牛の個体情報を確認する内村さん

「今まで牛の情報は、事務所のパソコンに専用ソフトを入れて管理していました。車で10分の距離にある事務所と牧場を往復しながら仕事をしていたので、単純な入力ミスや記入漏れをしてしまうこともありました。でも、牛管理システムを導入して作業効率は飛躍的にアップしました

また、発情をアラートで知らせてくれるので、発情兆候を見逃すことがなくなり種付けの成功率がアップ。これにより、子牛の自家繁殖が軌道に乗りました

導入以前は妊娠率60%程度だったものが、導入後は90%程度まで向上しています。これを受けて、一年の間に種付け用のお母さん牛を150頭から230頭まで増やすことができました。牛管理システムの導入には初期コストがかかりましたが、半年で回収できましたね」

ちなみに、内村さんは家畜人工授精師の資格を持っています。畜産未経験でこの業界に飛び込んだ内村さんだが、入社後に勉強、40日間の合宿に参加してこの国家資格を取得しました。

「自分で資格を持っていると、好きな種を付けられるし、受精率が低くても自分の責任になります。人にしてもらうより、自分でしっかり勉強して納得するようにやった方がいいと思いました」

人まかせ、制度任せよりも自分で責任を持って試行錯誤したいという強い探求心と独立心は、社長の考えに重なるところがありました。仕事をしていく一番の信念の部分で、社長と内村さんには通じるものがあるようです。

平均年齢29歳の福永畜産!すべての土台となる会社作りに注力中!

おどろくべきことに、福永畜産の現場で働く7名の社員の平均年齢は29歳。20代が5名と多く、若手不足や後継者不足が話題にあがる畜産業界において、これだけ若い社員が多い会社は珍しいのではないでしょうか?

▲去年入社の吉松さん(21)

今年も2名の社員が入社した。農業大学から45日間の研修で受け入れたのが縁で、今年入社することになったそう。
若手を採用するために、特別な採用活動を行っているわけではないそうですが、自然と若い人が集まるのは、会社の経営方針や理念に興味を惹かれるからなのかもしれません。

「これからは、繁殖牛の頭数を増やすことはもちろんですが、社員を増やして会社としての基盤作りにしっかり取り組む予定です」と内村さん。

究極の理想は、自分たちで育てたさつま福永牛すべてを、直営レストランや通販などで直接お客さんに届けることなのだそう。

「うちのお肉を食べた人から、おいしかったよ、と言ってもらえるのが何より嬉しいですね。そのために、これからも毎日頑張って働いていきたいです」

有限会社 福永畜産

  • 営業時間:
  • TEL:0996-59-8957
  • 定休日:
  • アクセス: 〒895-2104 鹿児島県薩摩郡さつま町柏原1572

●肥育頭数930頭 全頭数1200頭

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