牛と向き合い数値と向き合う。これからの時代を生き抜く畜産経営のあり方とは
この記事の登場人物
齋藤 雄志さん齋藤農場
肥育農業が盛んな栃木県小山市で、唯一肥育から繁殖までの一貫経営を行う齋藤農場。こちらの牧場では、徹底した数値管理のもと、ロジカルな畜産経営が行われています。
もくじ
数字にこだわる次世代の畜産スタイル
大学を卒業してからお父さんの後を継いで就農した齋藤雄志さん。物心ついた時から、自然と「自分は父の仕事を継ぐ」と考えていたそうですが、大学で学んだのは畜産ではありませんでした。
「畜産は実家で一生かけて勉強するものだと覚悟していたので、大学では別のことを学ぼうと思いました。そして、やはりこれからの畜産は勘や経験値だけに頼るのではなく、情報をデータで管理することが必ず重要になると考え、日本大学の生産工学部に進学しました。そこで4年間みっちり数字と向き合い、お金の計算といった企業経営に関することも学びました。」
生き物を扱う仕事だからこそ、感覚的な判断が多くなりがちな畜産業ですが、雄志さんは大学で学んだ数値管理が今とても役になっていると語ります。
「例えば、牛が成人した時の体重 と、大人の牛を出荷した時の枝肉重量をこれまですべて測ってきましたが、データを貯めて分析した結果、2つの重量が密接に関係することがわかりました。つまり、『小さく生まれた牛は小さく、大きく生まれた牛は大きく育つ』ということ。これにより、子牛の生時体重から肥育出荷時の枝肉重量を予測できるようになりました。」
「また、データをとっておくことで理論的に動けるようにもなります。データを基に飼育の方法を考えて従来のやり方を見直せば、もしうまくいかなかった場合でも、元の方法に戻すことができます。しかし、データを管理していないと、やり方を変えてうまくいかなかったときに、元に戻すこともできないという状態に陥ってしまいます。データ管理により、現状を正しく把握でき、それを軸に今後の展開を判断できます。」
熱意を持って取り組めば必ず成果は出る
徹底したデータ管理と一貫経営により、どんな時代でも揺るぎない品質を維持する齋藤農場。雄志さんは、自身の経験を踏まえて、畜産の明るい未来を見つめています。
「畜産は、これから先もずっとなくならない仕事だと思っています。農作物はお米を筆頭に、ときには価格が低落したりと不安定ですが、肉は一貫経営の場合、利益を出せないということはまずありません。熱意を持って取り組めば必ず成果が出せる、今後さらに伸びしろのある仕事だと思うので、ぜひ若い人にはチャレンジしてほしいです。」
齋藤農場
- 営業時間:要問合せ
- TEL:0285-38-0428
- 定休日:要問合せ
- アクセス:〒323-0068栃木県小山市下初田16-1
・事業内容
肉牛一貫
飼育頭数:240頭