北海道最北の牧場で働く九州最西の県から来た若者。
この記事の登場人物
川崎 正大農業生産法人 株式会社 宗谷岬牧場
日本最北の牧場、宗谷岬牧場。美しくうねる広大な丘陵とそれを三方から包み込む紺碧の海のパノラマビューはまさに圧巻です。この風光明媚な牧場には、どんな思いを抱いたどんな若者が働いているのでしょう。
もくじ
日本各地から若者がやってくる人気の牧場
わが国最北というロケーション、圧倒的な風景美、サハリンを望む旅情感などがクローズアップされがちな宗谷岬牧場。
しかし、ロボットなどを導入した設備環境やきめ細かい情報管理、最新科学に基づく交配や飼育法など、近代的な経営体制を確立していることでも知られています。
「こうした最先端の技術やノウハウに触れたくて入社してくる大学生も多いんですよ」と話すのは同牧場の新保常務。
「ここの牧場のスタッフは現在35名ほど。北海道大学や帯広畜産大学といった道内の大学を出た方のほか、弘前大学や奄美大島の出身者も。海外からは研修生も来るしね。そうそう、九州の端っこの方からやって来た若者もいるんだよ」
ん?九州のさらに最西端から北海道の最北端の牧場に就職したってこと?それはぜひぜひ、話をお聞きしたい!
何もかもスケールが大きい……そこに感動
恥ずかしそうな笑みを浮かべながらインタビューに応じてくれたのは、川崎正大さん。年齢は22歳。ご出身は?の質問にすかさず「長崎です」との答え。
―――川崎さん、西の端から北の端に来たいきさつ、教えてください!
「もともと動物が好きで、学生時代から大きい農場で働いてみたいと漠然と思ってたんです。とは言っても大学の学部も芸術学部だし、畜産や酪農の知識もゼロ。就職は無理だろうと考えていましたが、やっぱり諦められずネットの就職サイトで正社員採用の牧場を探したんです。そこで見つけたのが宗谷岬牧場だったというわけです」
―――最北の牧場を選んだのはなぜ?
「日本の西にはもう十分住んだので、どうせ行くなら北の端がいいかなと。半分ノリみたいな感じ(笑)。もちろん北海道に憧れもありましたけれど」
―――働き始めて半年、この間を振り返ってどうですか?
「最初は環境の違いに驚かされました。気温も、植生も、生き物も、海の色も風の匂いまで九州とは何もかもが違います。とにかく北海道はスケールが大きい。仕事は搾乳が中心ですが、出産のサポートや治癒や治療のお手伝いなども手がけています。やはり牧場の仕事は奥が深い、本当に毎日が勉強の連続です」
「自然が好き、牧場が好き」だけで働いていいと思う
最初は見るもの、やるものすべてが初体験づくし。こんな自分で大丈夫なのかなと不安になることもあったと言いますが、今はそんな迷いも吹っ切れて楽しく働いているとか。
「やはりまわりの先輩や上司の方々が、親切に指導してくれたり、気さくに声をかけてくれたりしてくれたからですね。あとは同年代の仲間もいるので相談に乗ってもらったり」
できることが少しずつ増えていることが、仕事の喜びでもありやりがいでもあるんですと川崎さん。
「自分のようなカンペキな素人でも働けるのだから、自然が好き、牧場が好きという人はどんどんトライしてほしいなと思います」
なるほど、素敵な意見!では最後の質問。
―――川崎さんは牧場で働くことにもう不安を感じることはないんですか?
「実は入社が今年の4月なので、自分はまだ道北の…というより最北の冬を経験していないんです。一面が氷の世界、零下の中での暮らしですからね。先輩たちの『寒いとかいうレベルじゃないから』の一言に今からビビってるんですよ(笑)」
笑顔で話す川崎さんからは、ここでの楽しさとひたむきな情熱が感じられました。
農業生産法人 株式会社宗谷岬牧場
http://www.soyamisaki-farm.co.jp
- 営業時間:要問合わせ
- TEL:0162-76-2456(本社)
- 定休日:要問合わせ
- アクセス:〒098-6758 北海道稚内市宗谷岬328