養豚場として約70年間続いてきた、板野養豚の仕事術
この記事の登場人物
板野夫妻板野養豚 直売所
養豚場を父の代から約70年、板野さん自身も約50年携わっている。
その秘訣は「父の代から変わらず、昔ながらの飼い方」だという。
もくじ
8時過ぎに豚舎へ行き、午前中は、豚に朝食をやり、掃除。
昼から18時ごろまで直売所へ。木曜以外は、焼豚を毎日焼く。夜に豚舎へ戻り、豚へ夕食を与える。
板野さんのいつもの1日の生活の流れだ。
そこまで重労働ではないが、分娩予定日が近づくと、夜中もつきっきりになるとのこと。交配も板野さん自らが行う。
こだわり過ぎたり、やり過ぎるから、おかしくなってくる
毎日毎日、朝夜の餌の時間に、しっかりと豚を観察する。そのように過ごすと、豚の変化がなんとなく分かるのだそうだ。
この道を始めて約50年。今では地道に築いた経験も物を言う。
穏やかな人柄と笑顔の中に、半世紀にわたって豚と実直に向き合ってきた板野さんの豚に対する慈しみと誇りが垣間見える。
「こだわり過ぎたり、やり過ぎたりしない」――それが板野さんの仕事の流儀。
ついついあれこれしたくなるが、返って変なことになるからだ。
日ごろからしっかり観察し、気づかうことが大切
そう、よくよく聞いてみれば、餌は何十年と付き合いのあるメーカーにブレンドをお願いしているそうだが、
生まれたばかりの子豚は母の乳、1週間~10日は、離乳食用の甘いミルク。離乳食前後は、食べやすいように細かく砕いた餌、以降は体型を作る餌、出荷が近づくと、美味しい肉になるための餌、そして、妊娠中や分娩後の母と子豚には、イタリアンという草を混ぜるなど、
豚の成長に合わせて餌を変えていたりと、漠然とただ仕事をこなしているのではないことがよく分かる。
豚舎のまわりも中も、豚特有のにおいはするが、そこまで鼻につくことはなく、日々きれいに掃除されている。
くわえると自然に水が出る飲み口、生まれた子供の部屋にあるヒーターなども設置され、豚が快適に生活できるよう工夫も随所に。
「豚は繊細な生き物ですからね」と板野さん。
豚へ何か特別なことをしなくても日ごろからしっかり観察して気づかうからこそ、
丹波市の恵まれた自然の中で、豚はすくすくと健康に育ち、プロも賞賛するたんば産ポークになるに違いない。
板野さんの中に息づく、しなやかなプロ意識を感じた。
板野養豚 直売所
- 営業時間:13時ごろ~18時ごろ
- TEL:0795-76-0651
- 定休日:木曜(木曜以外も不在の場合があるので、電話で確認のうえ来店を)
- アクセス:中国自動車道「滝野社」IC 車で40分