農高アカデミー

初の対面開催を実現!「農高アカデミーSP」の模様をレポート!

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オンラインで全国の農高生をつなぎ、隔月開催してきた勉強会「農高アカデミー」が、第16回目にしてついに対面開催を実現! 3月20日(月)、全国から畜産に興味を持つ高校生たちがゼノアックの東京支社に集まり、ゲストと共に畜産の未来とそこで求められる力について考えるワークショップを行いました。

内容はYouTubeでご覧ください。

~以下、ダイジェストです~

第1部:学生ディスカッション

農高アカデミー向上委員会

まずは学生同士の交流から。これまでオンラインで顔を合わせ、SNS等でつながってきた仲間と初対面。ですが初対面とは思えないほど、最初から意気投合の様子。

「農高アカデミー」を開催する意味については、「参加したことでいろんな視点から畜産を見ることができ、世界が一気に広がった」という声や「高校生活に挫けそうになっていた時に、農高アカデミーのメンバーと出会えたことが支えになった」「具体的に進路を考えるきっかけになった」という声が上がり、今後の農高アカデミーの展開についてもアイデアを交わしました。

第2部:ゲストディスカッション

生産者 × 教育者 × 経営コンサルタントが語る
“畜産の未来と、求められる人になるために。”

朝霧メイプルファームの丸山純さん、平野養豚場の平野恵さん、栃木県立那須拓陽高等学校の関澤拓実先生、株式会社Chicabi /株式会社千葉牧場(千葉ウシノヒロバ)代表の川上鉄太郎さんに、この先の畜産業界に必要な力についてお話いただきました。印象的だったのは、皆さん共通して現場から一歩引いた客観的な視点を持っておられること。そして「起こりうる事態に対して、危機感を持って備える」「ファンを作る」という考えでした。

「私は結婚して養豚農家に入ることを親に反対された時に、一次産業を馬鹿にされたような気がしてすごく悔しかったんだよね。今日ここに来たのは、みんなに生き抜く力を伝えたいから」そんな平野さんの言葉は、高校生たちのやる気スイッチを押していきます。

教育現場の関澤先生からは、畜産を学ぶ学生と向き合う情熱的な姿勢が伝わります。

丸山さんは「 “農家=すべて正しい” とは限らないので、みんなには従業員の将来まで考えている農場であるかをきちんと見極めて欲しい。そのためにインターンはすごく大事で、できるだけたくさんインターンをして、そこで働く先輩たちに話を聞くことが大切」とアドバイス。

川上さんからは「この先天変地異が起こっても畜産を持続可能にするためには、どれだけ “畜産でないこと” ができるかも大事。例えばSNS発信もそうだし、学校で勉強すること以外の引き出しも増やして、何かあった時に畜産のために使えるような経営の目線を持っておいて欲しい」。

高校生からゲストにこんな質問もありました。

かなり(高2) 私は家が酪農家で、今の業界の厳しい状況を目の当たりにする中で、この道を選ぶか見極めないといけない状況にあります。皆さんがどうやってその一歩を踏み出されたのかお聞きしたいです。

丸山 僕が酪農を営む実家に戻ったきっかけは些細なことでした。でも始めることより続けることの方が大事で、それができているのは僕には “楽しい” と思う瞬間が何度もあったからだと思うんです。削蹄の作業が楽しくて、勉強会などにも行って、そこで友だちができて。現場で好きなことを見つけることが大事なのかなと思います。

第3部:ワークショップ

ワークショップ1(平野恵さん)
「仕事」と「作業」の違いって何だろう?

まず平野さんのワークショップでは、作業と仕事の違いについて考えました。参加メンバーは農場に関わる仕事を思いつく限り付箋に書き出し、壁に「仕事」と「作業」に分けて貼っていきます。判断の基準は人それぞれ。

書いた付箋の束を持ち寄り、壁の前で “仕事って何だろう?” と考えます。

糞の回収やエサやり、哺乳を「作業」に入れるメンバーもいれば、同じ内容でも「仕事」に入れるメンバーもいます。“仕事”=「お金に直接つながるもの」と考えたメンバー、「資格が必要なもの」としたメンバーなどそれぞれです。仕事の中には「会食」という文字も…!

「私は人に指示されて動くのが作業、自分で考えて動くのが仕事だと思っています。だから考え方によってはすべて作業になるし、仕事になり得ます。 “考えること” がスキルアップにもつながるんです。私たちが大切にしている仕事の中には、「行動計画を立てる」こともあるかな。チームワークで働くために、全員の1日の行動計画を把握して、あうんの呼吸で動いています」と平野さん。

ワークショップ2(川上鉄太郎さん)
ブランドコンセプトの作り方

続く川上さんのワークショップでは愛されるブランドについて考えます。「IPPONグランプリ」方式で、3つのお題に導かれながら頭をやわらかく「目標」「ターゲット」「特徴」を考え、ブランドのコンセプト作りを体験しました。

お題は3つ。

① 日本中にファンがいる人気の農場があります。その農場は他では見かけないユニークな目標を掲げています。それは何?

② とある農場が、一定の人たちから爆発的な人気です。どんな人たちに、何がウケている?

③ 他とは全く違う農場が話題です。何が違う?

これらは、ブランドコンセプトを考える上で大切な3つの要素を引き出します。

① =目標(どんな未来を実現したいのか)
② =ターゲット(誰の課題を解決したいか)
③ =差別化(他と違うこと、特徴)

ブランドを作る際に大事なのはコンセプト。コンセプトに基づいて発言と行動を一致させていくことが、強いブランドにつながります。そのため、僕らがブランドを作ったり何かをデザインする時には必ず、誰をターゲットにするか、何を目標としているか、どんな場所でするかなど、コンセプトを短い文章にまとめています」と川上さん。

ワークショップ3 (丸山純さん)
30年後の畜産と変化する仕事

30年後には地球上の人口は100億人に達すると言われています。その時に畜産はどうなっているのか。「ネガティブな話は危機感になるし、ポジティブな話はモチベーションになる。リスクとチャンスを両方から考えて備えることが大事」という丸山さんの言葉に導かれ、さまざまな未来を想定し、そこにいる自分を想像していきます。

まず考えるのは「30年後、人口100億人になった地球はどうなっているか?」「畜産はどう変化しているか?」

最後は「その時どんな力が求められるか?」 ここでは「対応力」「柔軟性」「観察力」「チームワーク」「専門性」「ひとつの分野にこだわらない」「個人が物を売る力」「コミュ力」といった言葉が挙がりました。

「ロボット・AI化・温暖化・食糧不足といった問題に対応するためには、現場はより知識や技術力が求められます。それに対応できる人材だけが生き残っていけると思うし、もしかすると畜産は今よりエリートな仕事になるかもしれない。でも今日参加しているみんなのようなやる気のある人たちが技術や知識を高めていってくれれば、僕は絶対に無くなることはないと思ってます」と丸山さん。

初の対面SP開催を終えて

ゲスト・参加メンバーの感想はこちら


参加メンバーからは

「新型コロナの影響をはじめ、この先AI・IoT化が進んだり情勢が変化する中で、自分たちにどんな備えができるのかを考えることが大事だと学んだ」

「対面で実際に会ってみるとみんないろんな考えを持っていて、普段自分の周りでは話せないこともたくさん話すことができた。この繋がりを今後も大切にしていきたい」

「これほど農業の世界に仲間がいるということに勇気をもらった」

といった声が上がり、対面で話すことで、より “出会い” の重要性も感じることができた、濃密な4時間となりました。

「コロナ禍で始まった高校生活ですが、最後にこんな景色を見られるなんて想像もしなかった。本当に嬉しいです」と、対面開催の実現に向けて奔走してくれたアカデミー参加最多記録のまお(高3)さん。

会場には参加メンバーが持ち寄ってくれた全国のお土産も集まりました。

今後の農高アカデミーの開催スケジュールは
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