農高アカデミー

第14回農高アカデミー :テーマ「“こんな畜産業界で働きたい”を考えよう!」

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畜産を勉強中の全国の高校生がオンラインでつながり、学べる機会を生み出す「つながる農高プロジェクト」の農高アカデミー。第14回目(10月25日開催)は、鹿児島県の生産者・上別府美由紀さんをゲストにお迎えし、テーマについて考えました。行動を起こす勇気とパワーをもらえた回でした!

▲アカデミーは10月に鹿児島県で開催された全国和牛能力共進会(全共)のお話からスタート。参加メンバーの中には全共に出場していた学校も。

上別府美由紀さんの記事をご覧の上、
ぜひ皆さんもご一緒にお考えください。

~以下、内容のダイジェストです。~

Part1:まずは上別府さんのプロフィール~全共の話~

上別府 鹿児島県鹿屋市(大隅半島)で育ち、農業高校を卒業して神奈川県(横浜)の短大に進みました。卒業後実家に戻って3年ほどで全国の市場をめぐり、23歳の時に独立。現在は繁殖牛が340頭、子牛が200頭前後います。先日の全共でブースを出展していたら、初日に特別区に出場する高校生もたくさん来てくれて、こんなに女の子が多いんだということにびっくりしました。私が高校生だった頃なんて、畜産をする女の子なんてほとんどいなかったですから、すごく嬉しかったですね。

…特別区出場校のメンバーは全共開催をどう感じましたか?

 ゆな 会場に入った時はすごい迫力で圧倒されました。宮崎県の小林秀峰高校は特別区で2席をもらったのですが、全国で2位というのは嬉しかったですね。

 あおい 私は母校の岐阜県の飛騨高山高校が出品した「とももあおば」という牛のサポーターとして参加しました。高校3年間担当していた母牛の子どもということで、私が名前をつけさせてもらったんです。参加してみてやっぱり九州の牛はすごいなと思いました。

Part2:上別府さんにとって畜産は “働きたい” 職業でしたか?

上別府 牛がいる環境で育ち、夕方学校から帰ると餌やりの手伝いをする毎日でしたが、学生の頃は“こんな仕事絶対にやりたくない”と思っていました。実家が牛飼いなんて恥ずかしくて周りの友だちにも言えないから「サラリーマン」って嘘をついていたくらい(笑)

牛の世界が楽しいことに気付いたのは、実家に戻って自分で現場に入るようになってからですね。祖父の友だちのおじいちゃんたちから「これからは家畜市場が学校だから、絶対に休まないで来るように」と言われて、肝属(きもつき)地区は成牛セリ市が当時は月に3日、子牛セリ市も3日あったので、そこで “この種牛の名前が出てきたら高いな” など、血統のことも覚えていきました。県外から飛行機に乗って買いに来る人もいて、聞くと「鹿児島の県有牛の種牛は鹿児島でしか買えないから」と言われたので、同じ黒牛でもそんなに違うのか、と思って全国の市場をめぐり始めました。面白い! と思ってより興味を持つようになったのは、それからですね。

Part3:今は畜産の仕事をどう感じていますか?

上別府 今は毎日楽しいです。一度大学で県外に出たことも他の道や都会での生活は向いていないなと気付くことができたので私にとっては良かったのかもしれません。当時は女性で牛飼いをしている人なんて本当にいなくて、でもいなかったからこそチャレンジできたという部分もあるんです。失敗もないし、女性だからこそできる部分もあるだろうと思って、とりあえずやってみようみたいな。

反対されたこともあるんですが、みんなに「無理」と言われると頑張れる性格なので…。しかも機械も開発されて手作業もなくなってきていましたからね。肉牛は酪農とはまた違って、自分の好きな時間から仕事を始められ、昼間出かけて夕方また世話をするなど自分のリズムで仕事ができて、ファッションも自由な格好でできるところも魅力的です。私自身やっているうちに楽しくなって、“なんでこんなに楽しい仕事をみんなやらないんだろう!?” と思うようになりました(笑)。今ではみんなに自慢したいくらいの職業になっています。

Part4:若い世代が「畜産業界に入る壁」の解決策は何だと考えますか?

上別府 畜産に携わっている両親だったり、周りの大人たちが、楽しんで毎日を過ごさないと若い子は絶対に増えないだろうなと思っています。昔はたしかに大変だったと思うんです。でもお金は必要ですが、設備投資することによって楽しく、時間もゆっくり使えてその分頭数を増やすこともできるので、そこで楽しさを伝えていかないと、「大変」と言ってしまったら誰もしないし、逆に親や周りが楽しんでやっていれば、「この仕事って楽しいんだ」と思ってもらえるかなと思います。

…2019年に「関西コレクション」のファッションショーに出られたのはどうした経緯からですか? 業界のイメージを変えるひとつのきっかけだなと思いました。

上別府 たまたま縁があって、大阪のたこやき屋のくれおーるの加西社長や焼肉屋さんなどが農場視察に来られたんです。その時に私は事務員だと思われていて、「社長どこですか?」と聞かれたので「あ、一応私が経営してます」と言ったら「女性で牛飼いやってるの!?」ってびっくりされて。女性の牛飼いもいるということをもっと飲食関係者にも伝えたいから、「関西コレクションに出てよ」ということで急遽決まり、予算も飲食業界の方々から集めてくださって、女性畜産家の友だちと出場させていただきました。

命の大切さを伝えようということで、生産者とそれを提供する飲食店、食べてくれる消費者がつながっていくという主旨があって、“あぁ、やっぱり大切に育てなきゃな”と思いましたね。その時会場に来てくださっていた方が今回全共に会いに来てくれたり、また大阪のフェスに参加させてもらうなど関係はずっと続いています。

~30分の話し合いタイム~

ここでチームに分かれて
以下の3つの観点から “こんな畜産業界で働きたい” を考えました。

① みんなが進路として畜産の道を考えた時に、壁になることって何?
② 逆に“働きたい”と思う職業にはどんな理由があるんだろう?
③ 畜産が“働きたい”と思う業界になるためには、どんなアクションを起こせばいい?

~各チームの発表~

Aチーム

① 進路として考える時の壁
汚さ/男尊女卑の文化がまだあるので女性には勇気がいる/飼料の価格が高まっている/お金がかかる/命と関わっているから簡単にはやめられない、転職ができない

② どんな職業は働きたいと思うか
目立つ仕事は候補に入りやすい
(まずは知られることが大事!)
※目立つ=いろんな人から見られる=認められる=楽しいにつながる!

会社員=安定
※農業にも安定があると選択肢に入りやすい(売れなければ収入がないことも壁)

仲間のコミュニティがあること

③ 畜産業界がそうなるためには?
目立つ→ファッションショーのように常識に縛られず、一見関連のなさそうなジャンルと組み、情報を発信していく
(服装や働き方の自由さをもっとアピールできそう)

安定→ネットでできる仕事など、別にもうひとつ収入源を作る。

安心感→特に女性の場合SNSで他の女性が発信してくれていると励まされるから、オンラインなどでも畜産関係の人の集まる場を作っていく。

上別府 「安定」は、私も公務員なら休みもあるし、って思ってました。実際に地元の市役所も受けたことがあるんですが、その時祖父から「一生働いて入る生涯年収が決まってしまうけど、それでいいのか?」と言われたんです。それよりもっと冒険して、失敗もいっぱいあると思うけど、自分で頑張った分が評価されて、生活レベルを上げることができた方が楽しんじゃないかと言われて公務員はやめました(笑)。若いうちにたくさんチャレンジしていけば、きっといろんな出会いやタイミングで自分に合う仕事が見つかると思うんです。私もこんな人生になるなんてまったく想像していなかったですから!

Bチーム

① 進路として考える時の壁
周りの理解を得られないことが壁になる(自分は進もうと思っていても友だちや親から反対されることも多い。その場合はやっぱり業界のことが知られていないことが壁になる)

② どんな職業は働きたいと思うか
やっぱりキラキラしたアパレルなど一般的な職業はみんなが行きたいと考える。

③ 畜産業界がそうなるためには?
楽しそうに仕事している人がいると印象が変わる!

若い人に畜産のことを知ってもらうためにTikTokを使っていく。TikTokなら一般の人の目にも触れられやすい

若い人に農業を体験してもらって牛飼いの楽しさを知ってもらう

SNSや学校新聞で日々の生活や活動内容を発信(畜産のイメージがまったくない人にどのように出したら驚いたり面白がってもらえるのかという視点で考える)

上別府 インスタは私も得意ではなくて、従業員から「やった方がいい」とすすめられてアカウントを作ってもらって始めたのですが、“フォローって何!?”みたいな状態で全然付いていけていなくて。でも皆さんがDMをくださったりして、畜産のイメージを変えることが私の使命かなと思っているので、続けていこうかなと思っています。

上別府さんから学生へメッセージ

上別府 今日参加してみて、自分がやってきたことが間違いではなかったんだなと思いました。二十歳の頃から20年、独立して17年、畜産のイメージを変えたいと思ってやってきて、今だいぶ変わってきたなとも実感していますし、高校生・大学生などこれからの未来の子たちには、やっぱり食はとても大事だし、食を生産するところはもっと大事なところなので、自信を持って畜産の仕事に携わっていってもらえたらなと思います。

農高アカデミーに参加していかがでしたか?

 ゆな(高3) 父から美由紀さんのことはよく聞いていて、テレビなどで見るたびにカッコいい女性だなと思っていました。今日のアカデミーではいろんな意見が出て、とても勉強になりました。若い人中心にSNSで発信することも大事だなと思います。

 まお(高3)
畜産業界にはまだまだ課題は多いけど、私は今の年齢から牛に触れているからこそできることを探していきたいし、高齢の方の声も聞いてバトンを受け取っていきたいと思います。今後もどうしたら畜産への理解が深まるか考えていきたいです。

 ちはや(高3)
上別府さんのお話がとても面白かったです。自分も決断力はある方だと思っていましたが、更に上を行っていてカッコいいなと思いました。自分は将来酪農の仕事につきたいと考えているので、ディスカッションをすることで畜産の仕事について気付かされることが多く、将来の道が広がりました。

 のどか(高2)
私も高校に入学して牛の管理をするとなった時、めっちゃ怖くてひとりじゃ何もできなくて、自分は向いてないんやなと思ったけど続けるうちに絶対牛の仕事に就きたい! と思うようになりました。今回話を聞いて女子が畜産関係の仕事についてもおかしくないんだなと思って勇気づけられました!

 えな(高2)普通科
畜産農家の方の話を初めて聞き、どれも初めて聞くことばかりでとても驚きました。栄養士になりたいと考えているので食に関心はあったものの詳しく調べることはしてこなかったのでとても良い機会になりました。

 あおい(大学2年)
20代のうちから思い立ったらすぐ行動し続けてきた上別府さんの行動力に感動しました。また、違う世界に足を踏み入れることで、そこで畜産のアピールをすることができるようになることも知り、今後の人間関係を作るヒントになりました。

 塚田真希(長野県下伊那農業高校教員)
この時間だけでも私たちに“あぁ、こんなに楽しんでいる大人がいるんだな”と憧れる気持ちにさせてくださった上別府さん。“面白そう”に飛び込んでみることがいろんなつながりを作ることになるんだと思ってワクワクしました!

次回農高アカデミーは
12月20日(火)開催決定!

詳細はSNSをチェックしていてください!

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