「アスパラひつじ」と「北海地鶏」の夜明け。
この記事の登場人物
西川 崇徳農業生産法人株式会社西川農場
北海道美唄市でめん羊と養鶏に取り組む農業生産法人株式会社西川農場。今や道内外で人気の高い「アスパラひつじ」や「北海地鶏」が生まれた背景を、代表の西川崇徳さんにインタビューしました。
もくじ
最初は趣味としてポニーと羊を飼育!?
高速道路を降り、市街地を抜けるとあっという間に田園風景。ここは、北海道空知エリアの美唄市。肥沃な大地から、アスパラや米、小麦、豆類などおいしい農作物が育つことでも知られています。
農業生産法人株式会社西川農場に到着すると、代表の西川崇徳さんが取材陣を笑顔で迎えてくれました。聞けば、もともと農業に興味を抱いていたわけではなかったと率直に切り出します。
「父は道東の酪農家の長男として生まれましたが、農業を継ぐのはイヤだったと聞いています(笑)。紆余曲折の末に美唄で建設会社を立ち上げ、私も一度外の会社に勤めた後に従業員として働き始めました。ちなみに、現在も農業と建設業の二足のわらじを履いているんです」
お父さんは約20年ほど前に建設会社の代表の座を西川さんに譲りました。ようやく時間の余裕が生まれたことから、趣味としてポニーを飼い始めたそうです。
「僕の息子や近所の子どもたちがポニーを見て、喜んでいる姿を目にするのが楽しかったようです。そうこうしているうちに、平成17年に『今度は羊を買おう』と3頭のサフォーク種が我が家の敷地にやって来ました」
お父さんが趣味として飼い始めた3頭の羊。これが、「アスパラひつじ」誕生の夜明けだったのです。
アスパラ農家の何気ない一言が「アスパラひつじ」構想の始まり。
羊を飼ってからほどなく、西川さんは本州から遊びに来た友人のある素朴な質問に言葉を詰まらせます。それは、「ジンギスカンは北海道の名物なのに、どうして輸入の羊肉を使っているの?」という一言。
「確かになんでだろうね…としか言えず。以来、友人の言葉が気になって、畜産やめん羊というキーワードが頭の中でリフレインするようになり、自分なりに勉強も始めたんです」
農業について考えることが増えてくるにつれて、西川さんは地元の農産物がおいしいにも関わらず、あまりPRされていないことに「せっかく質の高い野菜が多いのにもったいない」と感じるようになったそうです。さらに時を同じくしてアスパラ農家の一言から転機を迎えました。
「アスパラは、収穫後に出荷サイズに合わせて根元を切り落とします。ある日、近所のアスパラ農家さんが、切り落としが大量に余っているから、羊なら食べるんじゃないかと持ってきてくれたんです」
羊たちは、初めのうちはアスパラに見向きもしなかったそうですが、飼料を工夫するうちに1頭、また1頭と口にするようになりました。平成19年、西川さんの頭の中に美唄のアスパラを食べさせて育てる「アスパラひつじ」の構想と、畜産へのチャレンジ意欲が湧き上がります。
羊と地鶏を飼うことで、万一のリスクを分散。
西川農場の「アスパラひつじ」と双頭をなすブランドが「北海地鶏」。実は、羊にアスパラの切り落としを与え始めたのと同じころ、獣医の友人と美唄焼き鳥(鶏肉、レバー、内卵、砂肝、心臓、キンカンなどの内臓を一つの串に刺して焼く美唄市名物)を食べたことが飼養のきっかけだったと笑います。
「友人は一つの串にいろんな部位を刺して焼くというアイデアを面白がっていました。しばらく他愛もない世間話を交わしていたところ、彼が鶏も飼ってみたらどうかとすすめてきたんです。飼い方のアドバイスも欠かさないというものですから、やってみようと思いました…単純でしょうか(笑)」
北海道は食肉用の養鶏を行っている農家は少なく、道内原産の地鶏も「北海地鶏」の一種。西川さんは知り合いのツテをたどって、その品種のひよこを分けてもらいました。
「羊だけを育てる場合、万一にも病気が発生した時にはリスクが高いですよね。でも、地鶏も飼えば多少は分散できると考えました。当時は農業に関してズブの素人。けれど、アスパラひつじと北海地鶏で美唄の名を広めたいと思い、畜産を始めようと決意しました」
農業生産法人株式会社西川農場
- 営業時間:お問い合わせ受付時間:8:30~17:00
- TEL:0126-63-3801
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- アクセス:北海道美唄市西5条北6丁目5番10号