20種類もの肉牛オリジナルブランドを展開!東北の生産物を世界に発信!
この記事の登場人物
大和田 洋志うしちゃんファーム
宮城県石巻市の「うしちゃんファーム」は、繁殖から肥育まで一貫体制で行う大規模農場。
現在は、約5,000頭の牛を飼育しており、20種類もの和牛のオリジナルブランドを展開しています。
約5,000頭という頭数もさることながら、驚くべきはそのブランド牛の数。ひとつの農場で20ブランドを生み出すのは日本でも希少です。
もくじ
▲大和田洋志さん
うしちゃんファームがここまで、オリジナルブランドを次々に生み出した背景にはどのような意図があったのでしょうか?うしちゃんファームの執行役員 部長の大和田洋志さんに詳しくお話を伺いました。
お肉のブランドが20種類も! 地域独自のブランド牛を。
▲事務所に飾られたブランド牛の商標登録書の一部
三陸・石巻・松島・北海道などなど、うしちゃんファームは、東北から北海道まで、各地に肥育農場を持っており、地域ごとに特色あるブランドを展開しています。その数はなんと、全20種類。今回は、その中でも大和田さんが太鼓判を押している3ブランドをご紹介いただきました。
うしちゃんファームが誇る、和牛の魅力に迫ります。
●三陸金華和牛
まずご紹介いただいたのは、三陸金華和牛。
岩手県、宮城県の肥育農場で育てられています。岩手から宮城に渡って連なる、美しい景観を持つ三陸地方からブランド名が取られています。
「三陸金華和牛は、海外にも出荷されているうしちゃんファームを代表するブランドです。アメリカ、ベトナム、台湾に出荷し、商品として流通しています。この肉の特徴は、コクのある脂の旨味と赤身に程よく入ったサシです。舌触りがなめらかで、海外でも大変人気なブランドです。三陸の名産でもあるミネラルたっぷりのワカメを飼料に混ぜて食べさせているのも特徴。三陸だからこそ出せた味わいが魅力で、うしちゃんファームの中で一番のシェアを占めています」
飼料に入れるワカメは塩分が多すぎると牛に与えることができないため、特別に業者に依頼して加工してもらっているとのこと。今後は、飼料に使っている農産物もすべて地元で採れたものにしていきたいなど、さらなるブランディングを進めています。
●短角和牛
次にご紹介いただいたのは、岩手県の肥育農場で育てている「短角和牛」。
頭数が激減している貴重な品種で、脂身が少なく赤身が多いのが特徴です。
「夏は山で育て、冬は里におろす典型的な夏山冬里方式と黒毛和牛と同じ方式の飼育方法を採ることで、安定した共有を実現しました。頭数が少なくなっていることもあり、1年1度しかセリが行われていません。岩手以外にも短角和牛はいるのはいますが、セリを行っているところは稀です。赤身が多く、脂の旨味ではなく、歯ごたえや肉本来の味を楽しめるブランドです」
サシの入ったわかりやすい和牛だけでなく、貴重な品種の安定供給、肉本来の味わいを引き出す飼育方法など、伝統的な味わいを守り、引き継ぐ活動にも力を入れています。
- ●伊達の赤
そして最後にご紹介いただいたのが、こちらもサシではなく赤身の魅力を楽しむ「伊達の赤」。
「岩手県と宮城県の肥育農場で育てられている、伊達の赤です。ブランド名にも赤があるように、こちらも脂というよりは赤身の旨味を楽しめるブランドです。肉質はやわらなく、黒毛和牛に匹敵する旨味を持ったブランドです。味わいもこってりというよりもあっさりとしていて、何枚で食べ続けられる本当に美味しい牛肉です」
サシの入った和牛、希少な品種、赤身の肉など、バリエーション豊かなブランドを提供するうしちゃんファーム。それにしても、これだけのブランドを並行して作るようになったのはなぜなのでしょうか?
「牛は育て始めると結果が出るのは2年後、ちょっとだけ試すということができないので、それぞれコンセプトを立てて実験的に作っていったんです。20ブランドありますが、中には現在あまり生産していないブランドもあります。これだけ作ったおかげで、主力製品と方向性を定めることができたので、しばらくは新しいブランドではなく今あるブランドで勝負していくつもり予定です」
三陸金華和牛が海外で受けられているように、今後は今あるブランドでよりグローバルに力を入れていくと大和田さん。今年の4月からは、和牛をベトナムに本格的に出荷しており、ベトナムで肉の加工技術を伝えているとのこと。
最後に、ベトナム進出を果たした背景や今後のグローバル展開について伺いました。
東北の生産物を世界へ。ベトナムにも進出予定。
ベトナムへの出荷のきっかけとなったのは、おおよそ1年前。ベトナムに視察に行き、現地で意見交換を行ったのがはじまりだといいます。
「人を常駐させて、技術をベトナムに伝えてほしいといわれたんです。肉を出荷して、その加工技術を伝え、向こうからは技術料をもらうという形で話が進みました。3月には飲食店をオープンします」
フランスの領土であった関係でベトナムでは肉を食べる文化があり、うしちゃんファームのブランドが受け入れられる可能性は大いにあるといいます。また、ベトナムは今まさに成長しているところで、昭和の日本のような雰囲気があるとのこと。
「生肉が露店で氷も置かずに売られているような環境なので、衛生管理的な部分とか、まだまだ伝えていかなければならない部分は多々あります。でも、意欲が高く熱心な人が本当に多いので、今後の展開が楽しみですね」
ベトナムを含めて、アメリカや台湾でも流通するうしちゃんファームの肉。
この3カ国以外でも、マダガスカルから牛の育て方を教えてほしいという依頼が届いているといいます。
今後については、むやみに国を広げていくのではなく、今ある土地でしっかりと東北の肉の魅力や加工技術を根付かせるのが先決とのこと。
その先には「うちの生産した肉を海外の人にも味わっていただきたい。東北産の牛の美味しさを知ってほしいという思いがあります。東北から世界に発信していきたいんです」と大和田さん。
うしちゃんファームのグローバル展開はまだまだはじまったばかり。
東北の牛を世界に広めるべく、うしちゃんファームは今後も挑戦し続けます。
うしちゃんファーム
- 営業時間:
- TEL:TEL:0225-98-8829 FAX:0225-98-8929
- 定休日:
- アクセス:〒987-1221 宮城県石巻市須江字畳石前1-11