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美唄らしい循環型農業と、ブランド化と。

  • #六次化

この記事の登場人物

西川 崇徳
農業生産法人株式会社西川農場
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美唄市特産のアスパラを食べさせて育てる旨みたっぷりの「アスパラひつじ」と、北海道の地鶏としてJIS規格に則って平飼いしている「北海地鶏」。農業生産法人株式会社西川農場の西川崇徳さんに、ブランド化するまでの苦労や飼育の秘訣をお聞きしました。

北海道の羊飼いのレジェンドたちと差別化を図るために。

西川崇徳さんが農業生産法人を立ち上げたのは平成20年のこと。畜産を始めようと決意してからは、道内のめん羊牧場を巡り、先輩方から飼育や繁殖のノウハウについて教わったといいます。

「北海道でもめん羊を行っている牧場はそれほど多くなく、この業界は意外と狭いんですよね。アポを取って見学に行くと、ウエルカムとばかりに飼養の技術や管理方法を教えてくれますし、道内の同業者も紹介してくれました」

西川さんはめん羊農家と会い、高い技術や細やかな管理を目にするにつれ、差別化の必要性を感じるようになりました。先輩方と同じ土俵に立っても、たちまちのうちにビジネスが立ち行かなくなる予感を抱いたのです。

「北海道は羊飼いのレジェンドだらけ。真っ向勝負では太刀打ちできない(笑)。差別化という点でいえば、ウチの羊は美唄特産のアスパラを食べて育っていますし、北海地鶏についても数が少ないので競合先は多くありません。この特徴を最大限に生かして、美唄らしい循環型農業を軸に、生産から加工、販売、飲食まで手がけるというコンセプトを打ち立てたんです」

アスパラひつじのおいしさを数字で証明!

西川さんは羊を自家繁殖させて頭数を増やしながら、敷きワラやフンを堆肥化して近隣農家に使ってもらう循環型のスタイルを確立。そのお返しに農家からアスパラの根本の切り落としをおすそ分けしてもらっています。ただし、生のものは4月下旬~9月中旬までしか手に入りません。そこで、帯広畜産大学の協力のもと、アスパラをサイレージ化させた醗酵飼料を開発し、冬の間もエサが不足しないように工夫しました。

「加工品は空知エリア新十津川町の手作りソーセージとハムを手がけるお店にお願いすることにしました。羊のソーセージやベーコン、レバーペーストといった商品は個人向に販売し、肉は主に飲食店に卸しています」

ここまで聞いていると順風満帆。ところが、西川さんは売り先の開拓に大苦戦。北海道産の羊というと興味を惹かれる飲食店が多く、自分自身の舌でもおいしさに確信を持っていましたが、思った以上に売上が伸びなかったと振り返ります。

「そんな時、とある飲食店の方からこう言われたんです。生産者がおいしいとオススメするのは当然のこと。おいしさを数字で示さないと説得力に欠けるって。なるほど、一理あるなと思い、さっそく帯広畜産大学に成分分析を依頼しました」

その結果、アスパラひつじは、旨みに関係するグルタミンが突出して多いという数字が叩き出されたとか。さらに遊離アミノ酸量が多く、甘みが強いことも分かったといいます。

「もちろん、この数字がすべてを好転させたワケではありませんが、アスパラひつじの売り先は徐々に広がりました。ただし、当初はそれでも赤字。10年ほど根気強く続け、ようやくビジネスとして成り立つようになったんです」

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農業生産法人株式会社西川農場

http://nishikawafarm.com 

  • 営業時間:お問い合わせ受付時間:8:30~17:00
  • TEL:0126-63-3801
  • 定休日:ー
  • アクセス:北海道美唄市西5条北6丁目5番10号

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