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淡路島の養鶏場が生んだ肥料”島の土”とは?

  • #六次化

この記事の登場人物

北坂 勝
北坂養鶏場
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“島の土”と書かれた、素朴でかわいらしいパッケージ。

この中身は、鶏のふんから作られた肥料です。生みの親は、厚生労働省の委託事業として平成24年より4年間さまざまな活躍をし、2016年3月にそのプロジェクトのクロージングをした“淡路はたらくカタチ研究島”。

淡路島を盛り立てたプロジェクトのひとつである”島の土”開発秘話を、メンバーの北坂養鶏場代表・北坂勝さんに伺いました。

鶏ふんが、エネルギーになる。環境に貢献できる。

今回取材させて頂いた北坂養鶏場は今、淡路島で注目を集める養鶏場です。

こだわりの飼育方法で育んだ新鮮な卵や独自のブランディング手法、そしてとてもユニークなスイーツ“たまごまるごとプリン”。

そんな注目を集める養鶏場の代表・北坂さんが、その注目とは別に長年取り組み続けてきた活動。それが、鶏ふんの処理です。

「鶏は1日120gほどエサを食べます。卵は1個50~60gですから、食べたものの半分は必要なもの=卵、半分は不必要なもの=鶏ふんになるわけです。少し変わった表現をすれば、私たち養鶏場は卵と同じくらい、鶏ふんを作っているともいえます。しかし不必要な鶏ふんも、手を加えることで肥料という形に生まれ変わらせることができるのです。その肥料が淡路島の土のこやしになり、やがて果樹、野菜、米になれば、それがまた鶏のエサへと循環していきます。」

鶏ふんをエネルギーに変えることで淡路島に貢献したい。

そんな想いから、北坂さんは肥料づくりに励んでいたそうです。

 “淡路はたらくカタチ研究島”と出会い”島の土”づくりをスタート

そんな時“淡路はたらくカタチ研究島”の存在を知ったという北坂さん。

このグループの主な活動内容は、雇用創出を目的に、畜産をはじめとした淡路島の事業者が集い、研究会や商品開発を実施すること。北坂さんは商品開発プロジェクトに応募しました。

「肥料を売りたいという思いより、それを通して淡路島を知ってもらえたら、島で作られる農作物の価値がより高まるのではないかと考えたのです。」

そして”島の土”の開発が始まりました。

菜種油粕の島の土は菜の花農家とタッグを組み、1年かけて販売の仕組みなどを検討。

「どんな人に向けて作るのか、どんなデザインが伝わりやすいか、さまざまな議論を重ねました。使ってくれるであろう農家だけでなく、そこで作られる農作物を食べる人にまで思いが届くように。いろんな人の意見を掛け合わせていくうちに、よりよい商品が形作られていきました。」

“淡路はたらくカタチ研究島”中心メンバーである「ツギキ×森果樹園」の森晶子さんは、「“環境未来島”を掲げ、環境や循環に重きを置いている淡路島らしさ、そして鶏ふんを活かすという新たな試みに魅力を感じました。」と、当時を振り返ります。

淡路島の未来をみんなで「楽しく」考え続ける

「“島の土”開発の中で、不要物の処理に困っていた玉ねぎ農家の方と菌づくりの業者が出会い、新たな商品開発の芽が出たりもしました。大切なのは商品を作ることだけでなく、人が集まり、問題を解決していくことだと実感しましたね。」と、北坂さんは微笑みます。

働く人、場所、機会の創出を目指した“淡路はたらくカタチ研究島”は”島の土”商品化など、たくさんの実りをつけてその事業を完了させました。

北坂さんが中心となり、立ち上げたチーム“鋤(すく)ラボ”で”島の土”プロジェクトは続いています。

「農家の問題解決に取り組む中で、みんなで淡路島の未来を考えていきたいと思っています。」

と、北坂さん。

大勢の人を巻き込み、大きな課題に挑みながら、北坂さんは肩の力を抜いて目の前の仕事を楽しみます。

「昔は『仕事なんて』と思っていた時期もありましたが、いきいきと働く人との出会いで考え方が大きく変化しました。“淡路はたらくカタチ研究島”でのたくさんの出会いも、そのひとつです。ただ働くより、気持ちや見方を少し変えて、面白いことを見つけながら働く方がずっと楽しい。こんなに自然があふれた淡路島で、恵まれた環境を活かさなければもったいないでしょう。」

北坂さんは今も、養鶏場の仕事を通じて、楽しく淡路島の未来に貢献しています。

北坂養鶏場

http://kitasaka.net 

  • 営業時間:9時~17時
  • TEL:0799-70-7267
  • 定休日:
  • アクセス:神戸淡路鳴門自動車道 北淡ICより車で約3分

淡路島にある養鶏場。直売所では純国産鶏の朝採りたまごをはじめ、北坂養鶏場が取り扱う全ての商品を販売中。

〒656-1602 兵庫県淡路市育波1114

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