福島県内で酪農教育から就農までを完結させたい――フェリスラテ牧場・田中社長の人材育成への想い
この記事の登場人物
田中 一正株式会社 フェリスラテ
現在の日本では、新規就農で畜産業を始めるのはなかなか難しいのが現状です。
そんななかで「福島県内で酪農教育から働き口までの一通りの基盤をつくることを目指し、将来的に就農を目指す人の門戸になりたい」と、フェリスラテ代表取締役社長の田中さんはいいます。田中さんに、次世代酪農家育成に対する想いをお聞きしました。
もくじ
福島県内で教育から働き口までを完結させる基盤づくりを
フェリスラテの従業員数は20名以上。若い従業員の方も多数働いています。
これは、大規模農場ゆえにたくさんの人手が必要だからということもありますが、田中さんご自身が人材育成・次世代の酪農家の育成に力を入れているから。
「福島には個人経営の農場はたくさんありますが、大きな牧場がありません。県内に農業高校や農業短大はたくさんあるけどそこから先の受け皿が少ない状況なんです。だから、優秀な人材はいても近県や北海道に流れてしまう。ですので、フェリスラテがその受け皿となって将来自分で農場をやりたいという人を受け入れて、福島県内で教育から働き口まで完結させるという一通りの基盤をつくりたいと思っています。」
田中さんご自身、ご実家が畜産家というわけではありません。
幼い頃から生き物が好きで生き物と触れ合う仕事がしたいと考え、牧場に就職。さまざまな牧場で働いた後に2001年に独立し、新規就農をされています。新規就農の苦労や大変さ、そして楽しさを知っているからこそ、次世代の育成にも熱が入るのでしょう。
「酪農の世界ってまだまだ閉鎖的だなと思うんです。新しい人が入りづらいというか、保守的なところがあって。そこに風穴を開けたいというのはずっと思っています。農家の子どもだけが農家ではないですから、なりたい人・向いている人が酪農をやればいいんです。そのほうが生産性だって絶対に上がるわけですし。そういう人にもっと手を差し伸べて、本当に酪農をしたい人が酪農をできるシステムを作りたいです。」
「将来、この牧場から独立するような人材を排出できれば本望ですね。まだまだ人材育成には課題もありますが、今後そういったカタチで次世代の酪農家の育成に貢献できたらと考えています。」
六次化の収益で次世代酪農家基金を設立したいという夢も。
田中さんは、いずれフェリスラテの生乳を使って六次化をしたいと考えています。その理由からも、田中さんの次世代酪農家育成に対する熱い想いが伺えます。
「六次化の収益で、次世代の畜産家のための基金を作りたいんです。畜産をやりたいけれど資金問題などでやれないという人はたくさんいますから、志しの高い人にチャンスを与えられればいいなあと。フェリスラテは復興支援のもとで始まった農場ですから、国からの補助金(東日本農業生産対策交付金)で支援していだだきながら運営しています。その恩返しという意味で、基金をつくって次の世代への資産を残したいと考えています。」
「まだまだ夢物語ですけどね(笑)」と照れ笑いする田中さんでしたが、きっとこの構想は近い将来実現されるのではないでしょうか。
今後も、フェリスラテでは従業員の募集を行っていくとのこと。
「志しの高い人材を集めて育てていくためには、まずはこの牧場が光り輝いていないといけない」
という田中さんの言葉が印象的でした。
株式会社フェリスラテ
http://www.milk.fukushima.jp/csr/reconstruction/#felizte
- 営業時間:要問合せ
- TEL:024-573-5101
- 定休日:要問合せ
- アクセス:福島県福島市土船字新林25-17
・事業内容
飼養頭数 573頭(平成29年3月末日現在)
生乳生産量 出荷乳量約14,971kg/日(平成29年3月末日現在)
3月の総出荷乳量464,107kg