特集 つながる農高プロジェクト 鳥羽先生が今アツイ!牛のトータルサポートを行なう、若きエースのモチベーション
この記事の登場人物
鳥羽雄一知多大動物病院
愛知県半田市にある牛専門の動物病院「知多大動物病院」の獣医師、鳥羽雄一先生。
治療から予防にいたるまでの豊富な知識と技術を持ち、牧場のコンサルティングにも関わる知多大動物病院の若きエースです。
止まることなく新しい領域に挑戦していく鳥羽先生。若きエースを成長させるモチベーションは何なのか?本人に詳しく伺いました。
もくじ
畜産の現場を活性化させたい
まずは簡単に、鳥羽先生のプロフィールをご紹介。
長野県安曇野市に生まれた鳥羽さん。畜産関係の仕事をしていた父親の影響で、幼少期から近くに牛がいる環境で育ちました。実家の近くに牧場があり、餌をやったり、お産を手伝ったり、牧場に出入りするうちに、獣医師に憧れるようになったそうです。
高校までを長野で過ごした後、獣医師を目指し山口大学農学部獣医学科に入学。学内でみつけた求人情報で知多大動物病院と出会い、エネルギッシュで男気あふれる代表取締役の工藤さんに惹かれ、入社を決意したといいます。
鳥羽さんと工藤さん。知多大動物病院にて。
鳥羽さんは、従業員の興味や好奇心を大切にする工藤さんの下、次々に技術や知識を習得。獣医師になって3年目には、牧場のコンサルティングについて考えるようになっていたといいます。現在、獣医師歴9年で、8月からは三重の分院を任されるまでになりました。
そんな鳥羽さんの最大のモチベーションは「農家さんの理想の牧場を一緒に作る」という想いだといいます。どのような経験がそのモチベーションを生み出すきっかけになったのでしょうか?
最初の分岐点となったのは牛の爪切り?
オールラウンダーとして活躍し、餌の配合や牛舎の最適化など、牧場のコンサルティングまでこなす鳥羽さん。自身のキャリアを振り返ったときに、今につながる最初の分岐点となったのは削蹄(さくてい 牛の爪切り)だったといいます。
フリーストール・フリーバーンという形態の牛舎では牛は歩かないと、搾乳にも、餌を食べに行くことも、水を飲みに行くことも、ベットで休むこともできません。蹄を痛めると歩くことができず、牛は病気になっていきます。重要なことだとは理解しているのですが、蹄の治療には特殊な技術が必要で、なかなか行き届いていない点がありました。
削蹄は、削蹄師が行う専門的な処置。半田市の牧場でよく見られるフリーストールという設備の場合、爪が伸びすぎると脚を悪くする牛が増えるため、削蹄を効率良く行う必要があります。しかし、牛の数が多い牧場では、削蹄師だけでは十分に対応することができません。
上の画像はあるフリーストールで飼われている牛たち。
「担当している牧場で、脚を悪くする牛がたくさんいたんですよ。そこが牧場のウィークポイントなっていて、牧場からも削蹄ができる獣医師が求められていました。そこで、自分が削蹄もできる獣医師なろうと思い、修行をはじめました」。
削蹄を行う鳥羽さん。グラインダーと呼ばれる機械で、爪を削る。
鳥羽さんは、治療や健康管理といった業務に合わせて、削蹄の技術を習得しました。オールラウンダーになることを意識したわけではなく、牧場の要望に応えているうちに、自然とそういう働き方になっていったとのこと。
牛を治すだけでなく、牧場の問題を解消するという視点を早くから持ち合わせていた鳥羽さん。その後コンサルティング業務にも携わるようになり、牧場との関わりをさらに深めていきます。
酪農家さんの理想を実現するために
問題点を洗い出し、その課題の解決策を実施して結果を見る。この繰り返しで牧場の生産性を上げていくコンサルティング業務。人との関わりが多くなるこの業務を進める中で、ある失敗がきっかけとなり「農家さんの理想の牧場を一緒に作る」という想いを抱くにようになったといいます。
「担当していた牧場で、ここを改善したらもっと良くなる、これを始めれば利益が増えるっていうのが見えていて、僕としてはやりたかったんですが、農家さんの方はそうじゃなかったんですよ。僕の意見を押し付けるカタチになってしまって、農家さんとの関係が悪くなってしまったんです」。
当時を振り返り、なんのための、誰のための牧場か?その上で、自分がするべきことは何か?という基本的な視点が欠けていたと鳥羽さんは自己を振り返ります。
「当たり前ですが、牛を飼っているのは僕達ではなく農家さんなので、農家さんがどういう牧場を作っていきたいのかっていう理想像を共有することが一番大切。その前提があって、はじめて僕から、こうしましょう、ああしましょうっていう提案ができるんです」。
農家さんの理想を追求するという想いを持つことで、牧場を一緒に作り上げることの楽しさを強く感じるようになったと鳥羽さん。
「改善・結果・考察っていう工程を農家さんと一緒に話し合いながら進めるんですが、一緒に作り上げているっていう感覚がすごく楽しいですね。新しい事例が発生する度、一緒に考えて、一緒に成長しているという感覚があるんです」。
オールラウンダーとしての知識や技術に合わせて、失敗を経験しながら「農家さんが作りたい牧場を一緒に作る」という視点を学んだ鳥羽さん。今後は、自分が実践するだけでなく、後輩たちや牧場に関わるいろいろな方に伝えていきたいといいます。
「一人ではなくて、みんなで一緒にゴールを目指してやっていくということで、少しずつ問題を改善して理想に近づいていける。今後も牧場の方と話をしながら、理想を実現するサポートをしていきたいですね」。
8月から三重の分院を任された鳥羽さん。代表の工藤さんからは、三重を盛り上げてこい!といわれているとのこと。新しいフィールドをどのように開拓していくのか?知多大動物病院のエースから、今後も目が離せません。
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