【新潟・村佐喜農場】3代目流の仕事の向き合い方『ワークアズライフ』とは
この記事の登場人物
村山 喜隆村佐喜農場
新潟県三条市で3代続く村佐喜農場。アメリカンフットボールチームのキャップをかぶり、着崩したつなぎの足元にはお気に入りのスニーカー。ひと目では酪農家に見えない出で立ちで作業をするのは、2018年4月に農場の跡を継いだ、3代目の村山喜隆さんです。自分なりのこだわりを日々の仕事に落とし込み、農場を運営している村山さん。
近年では、仕事とプライベート・趣味を切り離した働き方や考え方をする酪農家さんが増えてきています。
村山さんは「ワークアズライフ」。仕事と趣味を分けるのではなく、「すべての時間は仕事であり趣味である」というスタイルです。
そんな村山さんの仕事との向き合い方についてお話を聞きました。
もくじ
■趣味のラジオが、いつしか仕事に欠かせない相棒に。
▲ポケットにはスマホを入れ、耳にはワイヤレスイヤホンを装着。常にラジオを聴きながら軽快に作業を進める
「(酪農家は)1日中ずっと仕事をするわけです。ほとんど動いている。ゆっくり休んでいることはほとんどないですね。仕事中に空いた時間があっても、黙々と堆肥を集めたり…。それだけだったら正直つまんないっすよ(笑)。いかに工夫して、楽しく仕事をするかが大事」
朝5時から夜8時頃まで、搾乳から餌やり、堆肥処理など、ほぼ毎日農場で働いている村山さん。日々同じような業務を黙々とこなしていくと、どうしても単調になってしまいがちです。そんな中で村山さんが出会ったのがラジオでした。
一度10代の頃ラジオにハマり、地元ラジオ局の番組をよく聴いていましたが、ラジオからは離れていました。そんな村山さんが最近になってまた、ラジオを聞くようになります。
ラジオはもともと奥さんの趣味で、勧めてもらったのをきっかけに、改めてどんどんハマっていったそうです。
「聴き始めてからは、もう虜だよね(笑)。一日中聴くようになっちゃった」
作業しながら聴くようになって、すっかり「ハマり直し」してしまった村山さん。当時はラジカセで聴くだけだったのが、今ではスマートフォンにラジオアプリを入れ、作業中にずっと聴くようになったといいます。作業の合間には番組へメールを送ることもあり、気がつけば立派なヘビーリスナーに。
お気に入りは落語の番組。
「落語は『聴くだけで頭の中にドラマが広がる』んですよ。これってすごいことじゃない?テレビみたいに目で観ていないのにね」
寄席のラジオ番組を聴きながら日々の業務をこなしていくなかで、普通にしていれば見つからなかっただろう視点の発見や新しいアイデアがでてくることもあるそうです。単調になってしまいがちな仕事だからこそ、想像力を掻き立てたり、新しい発見をさせてくれたりするラジオとは、相性が良いのかもしれません。
ラジオを聴きながら仕事をすると、効率が上がるものなのでしょうか。そう質問をすると…
「そんなの、聴いても聴かなくても同じだね。真剣にやるってのは変わらないもん」
■酪農家の仕事とプライベートの両立、ワークアズライフ。
世間では仕事とプライベートの両立に悩む人もいますが……、と質問すると、村山さんは「好きでもない仕事なんだったら、辞めればいいんだよ(笑)!」と一蹴。
「それは半分冗談だけど」と笑って前置きした上で、一呼吸置いて次のように話してくれました。
「仕事って、大変なものですよ。決して楽しいものではないと思う。どんな仕事でもそれは変わらないんじゃないかな。俺だって、先代、先々代もそうやってやってきているのを小さいころから見ていたし、つらくて当たり前のもの。その前提の上で、つまらない仕事をいかに楽しい仕事にするかの工夫が大切なんだと思いますよね」
「仕事と趣味を両立する」のではなく、仕事と趣味が密接に結びついた生活を楽しむ――
そんな村山さんの生き方には、日々をより充実させるためのヒントがたくさん垣間見えました。
村佐喜農場
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- 営業時間:ー
- TEL:0256-45-2228
- 定休日:ー
- アクセス:〒959-1148 新潟県三条市尾崎10
●飼養頭数 40頭