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牛乳が、人と人を繋いでいく。「移動カフェで美味しい牛乳届けます。」

  • #六次化

この記事の登場人物

福田 祐子
福田牧場
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福島県の会津美里町にある福田牧場の福田祐子さんは、今年の春から移動式カフェを始めました。「酪農家がなぜカフェを?」ユニークな発想に、周囲は驚くそうです。祐子さんにその思いを聞きました。

移動式カフェを始めたきっかけは、さむ~い真冬の町内祭り

「この辺は真冬のお祭りが多い地域で、毎年子どもたちが楽しみにしています。お祭りにはたくさんの屋台が出ますが、焼きそばやお好み焼きがある中で、あったかい飲み物がないことに気づいたんです。こういうときにミルクとかココアとか、子どもが楽しめる暖かい飲み物があればいいなと思ったのが、移動式カフェを始めるヒントになりました。」

震災後、仮設住宅へ。“牛乳談義”で、移動式カフェが人と人が繋がる場所に。

冬のお祭りでヒントを得たあと、自家用車を改造して移動式カフェ「おぎくほ舎"みるくや ふくちゃん"」をスタートさせた祐子さん。車のナンバーは「369(ミルク)」!パラソルとウッドのカウンターも付いた可愛い車です。今年の春からイベントなどで出店するようになり、6月からは週に1回、東日本大震災の後、美里町にできた仮設住宅で店を出しています。

「今仮設住宅に残っているのはお年寄りの一人暮らしが多いんです。部屋に閉じこもったまま外に出なくなってしまう人もいるようなので、定期的に移動式カフェが出店することで、物珍しさから外に出るきっかけになればと思っています。初めて行った時、全然人が来なくて不安になりましたが、ある時『日本酒はねえか?』と1人のおじいちゃんが尋ねてきました。『うちは牛乳しか置いてないんだよ。』と答えると、その日はそのまま帰ってしまいましたが、次の週に『ひゃっこい牛乳くれ。』と来てくれて、その次の週には『抹茶味のくれ。』って。それから常連さんになってくれました。いつも会話はせず、牛乳を飲んでいくだけでしたが、そのうちに共通の趣味があることがわかると、会話も楽しめるようになりました。今では必ず新しい出会いがあり、喋りながら一杯、もう一杯と“牛乳談義”。人と人とが繋がる場所になっています。」

第六次産業化を準備中の福田牧場。地域を巻き込んだ展開が目標

福田牧場は、再来年の春に息子さんが後を継ぐ予定だといいます。そこで、福田さんご夫婦は、自分たちの新しい“居場所”を見つけるべく、牧場で搾乳した牛乳を使った加工品の展開を検討中。それを見据えて勉強会などにも参加しています。

「いつか自分たちの牧場で絞った牛乳を直接消費者に届けられるよう、加工場をもちたいです。そして、うちの牛乳と地域で採れた野菜や果物で何かが作れたら面白いですね。例えば、今日は〇〇ベエから絞ったお乳と、〇〇さんの畑で採れたフルーツのジェラートとか、牛と人の顔が見える商品を、地域を巻き込んでやっていきたいです。」

町内祭りで子ども達のことを思って移動式カフェをはじめ、仮設住宅では被災した人を思い、新しい事業展開では地域を巻き込みたいという祐子さん。

「おぎくほ舎"みるくや ふくちゃん"」は、誰かへの“思い”が原動力の、愛情に溢れたカフェでした。

福田牧場

  • 営業時間:要問合せ
  • TEL:0242-54-3184
  • 定休日:要問合せ
  • アクセス:福島県大沼郡会津美里町荻窪字中丸14

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