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森の中で牛が草を食む。そんな風景を間近で見られる牧場がありました

  • #乳製品
  • #六次化

この記事の登場人物

山川 将弘
森林ノ牧場
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皆さんは、牛たちが悠々と草を食んでいる風景を見たことがありますか?

ここでご紹介するのは、いわゆる観光牧場ではありません。放牧で牛を飼育し「酪農」を営んでいる牧場なのです。

栃木県那須町にある「森林ノ牧場」がその舞台。自然の中に牛を放牧することで、森林と牛、両方の魅力を活かすという独自の酪農を行っています。

牛舎で牛を飼育することが一般的な中、放牧での酪農を選択しているのはなぜか。その根底には、代表の山川将弘さんが東京農大で酪農を学んだときに気づいた、疑問と発見がありました。

放牧で牛の能力を活かす

「日本の場合、牛舎で牛を飼って飼料をあげて育てている牧場がほとんどだと知ったときに、“え!何で?”と単純に思ったんです。生産性でいえば、こちらのほうがお乳をたくさん安く生産できます。

でも牛って、人間は消化できない草を4つの胃袋で消化できる。人間が食べられないものを食べて生きていける。こんなすごい能力を持っているのに、わざわざ飼料を与えているのは効率が悪いと思ったんですよ。牛を草があるところに放して、その草を直接食べてもらったら機械も労力もいりませんから、生産効率は絶対いいはず。こんな疑問と発見をしたことが、今の放牧での酪農スタイルにつながっています。」

放牧は森を活かすことにも

「日本は面積の7割が森林なんです。ところが、昔ほど薪や炭が使われなくなったり、安い外国産材におされて国産材の需要が減ったりして、多くの森林は放置されたまま。牛を森林に放牧すれば、こうした森林をもう一度資源として活かせるのでは?と思ったのです。牛が森林に生い茂る下草を食べてくれれば、森林の環境保全にもなります。」

森林ノ牧場という名前は、森林と牛、どちらも活き活きとさせる牧場という意味なんですね。

牛との距離は1m!?草を食む音まで聞こえます

「牛を放牧している景色って何度見ても飽きないし、本当に癒されます。そんな景色をスタッフだけで楽しんでいるのはもったいない、お客さんにも見てほしいと思ったんです。それで放牧地まで行けるように森を整備して、牛たちを間近で見ていただけるようにしました。」

「森林ノ牧場の一番の魅力」という放牧風景は、営業時間内であれば自由に見ることができます。

早速、長靴に履きかえて森の小道を行くと、朝の搾乳を終えた牛たちが草を食んだり自由きままに過ごしている景色が開けてきました。

この牧場で飼っている牛は小柄で人懐っこいジャージー牛。安全のため通路以外は入れませんが、「ボリッ、ボリッ」と草を食む音が聞こえるほど近くまで寄ってきます。

森の中の広い牧草地で牛たちがのんびり草を食んでいる景色は、たしかに癒し効果バツグン。ずっと見ていたくなりました。

放牧地の入口にある小屋には、なんともかわいい子牛たちが。クリクリの目がたまりません。時間がない方や放牧地まで行けそうもない方は、こちらで和みましょう。

楽しく遊べる牧場の森の中にはいろんな発見が

コナラ、クヌギ、サクラなどが生い茂る森の中で楽しく遊べるのも、森林ノ牧場の魅力です。放牧地へ行く途中に広がる森は、人が入れるように適度に手入れされています。ここでは季節ごとの自然の豊かさを感じとることができます。

取材に伺ったのは7月半ば。久しぶりに対面したのはカブトムシ、セミの抜け殻。ほかにもクモに似たザトウムシという虫、お米のような形の白い花、モグラの穴などなど、少しの時間でいろんなものに遭遇しました!

「毎日歩いていても、何かしら発見があります、感じるものがあります。森林ノ牧場で牛はもちろん、いろいろな生き物や植物にふれあうことで、自然や命のすばらしさを身近に感じてもらえればとても嬉しいですね。」

森林ノ牧場

http://www.shinrinno.jp/ 

  • 営業時間:見学時間:10時~16時
  • TEL:0287-77-1340
  • 定休日:木・金(祝日は営業)
  • アクセス:〒329-3224 栃木県那須郡那須町大字豊原乙627-114

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