福島・鮫川村で次世代酪農家として夫婦で奮起!ゼロからつくりあげた牧場
この記事の登場人物
清水 大翼ファームつばさ
福島県東白川郡鮫川村のファームつばさ。牧場主の清水大翼(だいすけ)さんは、まだ29歳。
NPO法人の子どもの自立支援とコラボした牧場という役割を経て、その活動を継続しつつ、2017年7月にいよいよ独立した酪農牧場として船出を切りました。大学時代の同級生を奥さんに迎えて、真剣かつ朗らかに若々しく牧場を経営する清水さんは、まさにニュータイプの酪農家です。
もくじ
パートナーを得て心機一転!牧場の新しい歴史が始まる
大翼さんは、父の持つNPO法人の一部門として数年間牧場を運営しましたが、2017年7月から独立。牧場主として再スタートを切りました。
パートナーは新婚10ヶ月の妻、奈々さん。大翼さんと奈々さんは同い年で、同じ大学、そして同じ学科で10年来の付き合いです。
奈々さんは大学院を卒業後、郷里の山口県で化学会社に就職。正式な交際期間は約1年ですが、遠距離恋愛を経て2017年1月に入籍しました。鮫川で一緒に住み始めたのは4月1日。もう一人のスタッフを含めて3名でのファームつばさの本格稼働です。
若夫婦とスタッフ1名の計3名で日々の作業。一日の終わりにはゴルフの打ちっぱなしにも
ファームつばさは、ジャージー牛2頭からスタート。しかし、現在は親牛が17頭、子牛まで全部合わせると25頭の牛がいます。
毎日搾乳して酪農組合に出荷し、牛乳製品へと加工。2017年7月からは、その一部を那須町の森林ノ牧場さんに委託して、ソフトクリームミックスに加工して販売しています。
牧場での日々の仕事は、毎朝5時起きで朝のエサやり、8時ごろまで搾乳をし、そのあと子牛と乳を出す前の牛の世話をします。
このほかにも、午前中に毎日必ずやるのが堆肥出し。昼のエサやりをやって時間があれば草刈り、週に1、2回は軽トラックで40分ほどのところに輸入牧草の買い出しもしています。また、牧舎内に敷き詰めるおがくずも毎週変えるので週1回は買いにいくとのこと。
これらの作業を夫婦とスタッフ一1名を加えた3名で進めていきます。
昼食と昼寝の時間を経て、15時ごろからは子牛と育成牛の世話。それが終わったら夕方の親牛の世話と搾乳で、18時から19時ごろに一日の仕事を終えます。そのあと、体力が残っていれば奈々さんとゴルフの打ちっぱなしに行くこともあるそうです。
また、近年では、酪農界にはヘルパー制度ができ、昔と違って休みたいときに休める環境ができつつあります。ファームつばさでも、毎週決まった日を休みしているわけではなく、冠婚葬祭や勉強会、遊びたい時など、任意で休みを取っているとのこと。
放射能問題があってすぐには放牧できない。しかし夢は放牧であり、その準備は怠らない
「放牧はやれるものならすぐにでもやりたい」と、大翼さんは言います。
放牧は牛のストレス運動不足の解消、草刈りの手間も減らせるし買いエサの量も減らせると、いいこと尽くめ。
しかし、この地には放射能の問題が横たわっています。平坦地はともかく、傾斜地はまだ除染ができていません。これに関しては、どうしても時間が解決してくれるのを待つしかありません。ですが、大翼さんは、「いつかは必ずやりたい」と、強い思いを明言しています。
ホルスタインではなくジャージーにしたのも、放牧向きの品種で傾斜地にも強いという理由から。また、大翼さんは将来的に6次産業化も目指しているため、ジャージーのほうが加工に向いているという点も加味したといいます。
「酪農には感動がある。」
新規就農で酪農家になり、現在では将来への大きな展望を抱く大翼さんご夫婦。
ゼロから自身でつくりあげた牧場に立ち、「酪農の仕事は大変です。しかし、大変な中にも酪農には感動があり、やりがいがあります。」と話す大翼さんの目には、自ら道を切り拓いたゆえの確かな説得力がありました。
ファームつばさ
- 営業時間:要問合せ
- TEL:0247-49-3344
- 定休日:要問合せ
- アクセス:〒963-8403 福島県東白川郡鮫川村葉貫13-2