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求める人材はシンプル「牛が好きな人」。

  • #乳製品

この記事の登場人物

今中 克憲
箸荷牧場
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早朝の搾乳をはじめ、朝から晩まで年中無休で働いている牧場も多いでしょう。

スタッフが笑顔で働け、家族と過ごす時間も大切にしたいと考える代表の今中さんは、新しい設備や考えをどんどん取り入れ、“酪農”ならぬ“楽農”を推し進めています。どんな内容でしょうか?

“酪農”ではなく“楽農”。笑顔で仕事ができ、家族との時間も大切に!

「牛の五ツ星ホテル」「wacca」をはじめ、新しい取り組みで快進撃を続ける箸荷牧場。

代表の今中さんの根底を流れるのは、高校時代のとある論文大会で全国大会まで進んだという「ラクして儲ける“楽農”」のスピリッツだ。学生時代にカナダとブラジルへファームステイをした際、日本の酪農家のように泥やふんまみれでの仕事着ではなく、半ズボンとTシャツで仕事をしているのに衝撃を受けた。

「農家は一般企業に比べて働き過ぎ。両親は朝から晩まで仕事をし、家族旅行へ行った思い出は中学生の時に1回くらい。兵庫県一を目指したのも、儲けより規模拡大のスケールメリットによって、スタッフを確保し、順番に休みが取りたいというのが大きいですね。今は有給別で週1回休みですが、今後は月6回は休みにしたいです。また、『wacca』も飲食店でありえない土日が隔週で休みですが、地元のお母さんが働いているので、週末に家族で過ごしてほしいからなんです。みんなが笑顔で仕事ができ、家族との時間も持てるようにしたい」

それは今中さんの小さい頃からの切なる思いだ。

巨大なロータリーパーラーを導入!館内はすべてフリーWi-Fiで結ぶ

 
巨大なロータリーパーラー導入も、作業時間短縮の一環である。以前の8頭×2レーンのパーラーは、200頭搾るのに朝夕各5時間かかったが、今は360頭搾るのが朝夕各3時間になった。

そのおかげもあり現在、箸荷牧場の勤務時間は、6:00~10:30、17:00~20:30が基本。
餌担当は、6:00~10:30、15:00~19:00だという。今後、さらに作業時間が短縮でき、牛へのストレスも少ない8時間おきの3回搾乳を検討中とのこと。

また、牧場内はフリーWi-Fiで網羅され、スタッフとパソコンと携帯でつながり、LINEのグループで各専門分野の情報を共有しているのも新鮮。

インタビュー中に、牧場内でちょっとしたトラブルが起こったがFaceTimeで現場を映し、今中さんがそれを見て指示して無事解決し、取材クルーから感嘆の声が上がった。

スペシャリストが、情報を共有し、助け合う。箸荷牧場の仕事スタイル

代表の今中さんが37歳と若手だけあって、スタッフも農業高校や大学卒の若者がメインの活気ある牧場だ。
ほかにも、酪農の知識や経験のない元サラリーマンや、博士号を持つ研究熱心なフィリピン人なども働き、門戸の広さも柔軟な考えをもつこの牧場ならではだろう。

大切なのは、この牧場のやり方を学ぼうとするピュアな気持ちと向上心、そして協調性だ。月に1度、飼料を設計している栃木県のコンサルタントによる勉強会も行い、視察に行くこともあるそう。貪欲に学びたい人にはうってつけである。

そして、牛好きならさらによい。牛をよく観察するので、牛の変化にもよく気づくからだ。

牧場の壁の一角には、“NOBODY’S PERFECT”のメッセージ付きのユニークな牛のイラストがある。

「カンが頼りの従来の仕事は通じない」と今中さんは考え、「原因と結果の法則に気づき、適切に対処すること」を大切にしている。だから箸荷牧場は、全ての作業に関わるのではなく、餌作りや子牛舎など、好きで適性のあるセクションを専任で働き、各方面の精鋭が、助け合って仕事をするスタイル。

スタッフは各セクションで毎日の仕事をこなしながら、その日の気温や湿度から、牛の様子や餌など部署ごとに細かく日報をパソコンで残し、スタッフ同士で情報を共有。後々のためにデータとして残す。

各種免許がなくても、必要なら取得をフォローしてくれるが、機械が苦手なら、むしろその仕事をやる必要がないと考えているのもココらしい。最終的には各専門分野を独立させ、箸荷牧場はそれらをとりまとめるホールディングスになることも夢のひとつだ。

これらのさまざまなアイデアや改革は、33歳の時に立てた12か年計画がベースだそう。
スタートして4年、これからの展開にも目が離せそうにない。

箸荷牧場

http://www.hasegai-dairy-farm.jp 

  • 営業時間:
  • TEL:0795-36-0281
  • 定休日:
  • アクセス:中国自動車道「滝野社」IC 車で50分

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