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【新潟・村佐喜農場】目指すは「100年続く農場」。伝統ある農場、3代目の思い

この記事の登場人物

村山喜 隆
村佐喜農場
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新潟県三条市にある村佐喜農場は、50年以上続く酪農場です。40頭を飼育し、1頭1頭を大切に育てています。そして、子どもたちをメインに「教育ファーム」を開催するなど、畜産への理解を深めてもらう活動にも力を入れています。

そんな村佐喜農場を2018年4月に継いだのが、村山喜隆さん。3代目農場主として村山さんが目指すのは、「地域に愛され、100年続く農場」。村山さんには、胸に秘めた熱い思いがありました。

■突然、一家の大黒柱に。お父様の急逝で3代目農場主に

▲約40頭のホルスタイン乳牛を飼育する村佐喜農場。築50年の牛舎は祖父の代に建設。以来、手入れを重ねながら維持管理してきた。

▲村佐喜農場3代目、村山喜隆さん

「ただやるしかない。それだけだったからね」

三条市で代々酪農業を営む家系に生まれた村山さん。物心がついたときから農場で家業を手伝い、成人した後の2005年からは、父親を手伝いながら本格的に農場で働いてきました。そんな中、2017年に父・佐喜雄さんが急逝。村山さんが村佐喜農場を継ぐことになりました。その後は、母の喜美子さんとふたりで農場を切り盛りしています。

「(跡取り息子なので)もちろん、いつかは継ぐつもりで仕事をしていた」と話す村山さん。しかし、父親が急に亡くなって、突然農場の主導権がすべて自分のもとにきたのです。それからは仕事に向き合う意識が変わっていったといいます。

「それまでは牛の世話のことが中心でしたけど、親父が亡くなってからは『この頭数を維持していくにはどうしたらいいのか』『ひとりの力でどこまでできるんだろう』というのを考えていましたね。これまで漠然としか考えていなかったこと(経営面)に深く向き合うようになりましたね

「当たり前の話ですが、酪農家っていうのは牛が子どもを産まないと事業としてやっていけない。どうやって妊娠させていくかとか、長期スパンでの牛の管理とか、そういうことを以前より考えるようになりました

■酪農には無限の可能性がある……そこがこの仕事のおもしろいところ

アメリカンフットボールチームのキャップをかぶり、つなぎを自分なりに着崩す。足元はお気に入りのスニーカー。

スタイリッシュな出で立ちから「新しいアバンギャルドな酪農業をやっているに違いない」などと言われ、注目を集めることも多いそう。しかし、本人は笑いながら否定すると同時にこうおしゃっていました。

■100年続く農場を目指して。牛は大切な従業員

今後、農場をどうしていくべきか。じっくり考えた上で浮かんだのが、「100年続く農場」だったといいます。

100年続くことが理想なんじゃないかと思うようになりましたね。自分の価値観を深く考えてみたときに、新しいことを100個やるよりも、ひとつのことを100年続ける方が向いているんじゃないかって。それには、牛たちをひたすら大切にする。これしかないなと

村山さんは、牛たちを「従業員」と形容します。

「農場をやっているのは基本的に自分ひとりなんだけど、本当にひとりというわけではないと思うんです。牛たちがいなければ成り立たない仕事。取り換えや修理のきくモノや機械ではなくて、大切な従業員だと思っています」

■地域に開かれた明るい農場に

もうひとつ、村山さんが掲げる目標は「地域に開かれた明るい農場」であることなのだといいます。

村山さんは、地域社会に畜産について知ってもらう機会として「教育ファーム」を開催しています。実際に農場の中に入り、現場で搾乳やバターづくりなどの体験をしてもらう交流イベント。父の代から続く、いわば村佐喜農場伝統の催しです。

難しいことは一切なく、とにかく楽しんでもらえることだけを心がけているそうです。

「こういう格好をしていることにも表れているのかもしれないけど(笑)、堅苦しいことはしたくないんだよね。農場自体も、とにかく明るい農場にしたい。近所の子どもが気軽に遊びに来られるような。地域に根ざした『明るい農場』であり続けたいですね」

その言葉通り、教育ファームの開催時には農場内に明るい声が響き渡ります。村山さんのまわりには、目を輝かせた子どもたちがたくさん。「近所のかっこいいお兄さん」として慕われているのです。

子どもたちについて話をするときの村山さんの表情は、非常におだやかで、楽しそう。明るい未来へと続く農場にしていきたいという姿勢があらわれているのかもしれません。

村佐喜農場

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  • 営業時間:ー
  • TEL:0256-45-2228
  • 定休日:ー
  • アクセス:〒959-1148  新潟県三条市尾崎10  

●飼養頭数 40頭