「牛は一緒に働く大切な命」体験学習を通して気づいた感謝の気持ち
この記事の登場人物
益子 浩ましこ牧場
もくじ
益子さん(写真中央)が北海道新冠町で営む「ましこ牧場」へ、獣医学を学ぶ大学生の小林開(こばやし・かい)さん(写真右)と、小児科医を志す高校生の弟・皓(こう)さん(写真左)が酪農体験にやってきました。
小学生の頃に日本を離れてアメリカで暮らしてきた二人が、なぜ北海道へ酪農体験に来たのでしょうか?12日間のホームステイを終える前日、益子さんと小林兄弟にお話を伺うことができました。
牛は今どんな気持ちなんだろう?もっと牛のことを知りたい
開さん「大学では獣医学専攻中で、現在はアメリカの動物病院で学業と両立しながら約3年働いています。学校の授業で牛と触れ合ってみて興味を持ったこと、以前から一度北海道に来てみたいという気持ちもあって、母の知人の紹介で益子さんの所へ酪農研修に来ました。今回、牛と触れ合ってみて、牛のことをもっと知りたいと思ったので、来年はサークルなどで少しでも牛と触れ合う機会があればいいなと思っています。」
皓さん「自分は小児科医を目指していて、子ども関係で人を助けたくて、アメリカの方でいろいろなボランティアをしています。まだ高校生ですが、興味があるのは医学と心理学です。ここで牛の行動を見ていても、例えば尻尾を振ったらどういう意味か、どういうサインなのかと観察して牛の心理を考えるのがすごく面白いです。」
自分の一つの人生で何人かの命を助けたい。牛の生命力から感じたこと
皓さん「時間を有効に使うことを学びました。今までなら昼ごろまで爆睡していたのが、朝早く5時半から起きて牛を助け、牛から出る牛乳で人を助けられると考えたら、今まで寝ていた時間に人を何人助けられていんだろうと。牛は世話をするほどその結果も見えるので嬉しいです。」
開さん「ここで仕事をする前は牛を食べ物としてみていたんですけど、一緒に働く大切な命と思うようになりました。だからご飯を食べる時も感謝しています。」
皓さん「赤ちゃん牛が生まれて、可愛いくて名前をつけたし、一緒に居眠りするようになったんですよ。ミルクをあげる時の生きようとする力がすごくて。牛は自分の命を諦めないんです。いつも朝から頑張っている牛を見て、ありがとうという気持ちです。」
小林兄弟が益子さんから学んだのは「牛は牛乳や肉でみんなを助けている」ということ。
ましこ牧場で働き、牛乳を買いに来た人にも出会い、以前より二人が志していた「自分の一つの人生で何人かの命を助けたい」という想いを、実際に経験できたのです。
酪農体験で益子さんが教えてくれた、牛たちに対する感謝の心
皓さん「牛舎で牛が餌を食べる場所を掃除する時、初めは綺麗にできていなかったんです。その時に益子さんに教えてもらったのは、牛を道具と思わないで、みんなを助けてくれる存在としてリスペクトし、綺麗に食べさせるということです。益子さんが牛のことを想い、感謝している気持ちを感じました。」
酪農体験をしながら、益子さん一家と生活を共にした二人。子どもたちと遊んだり、お母さんが作ってくれたご飯を頂いたり、一緒に買い物に行ったりと、家族に優しく受け入れられて、実りあるホームステイになったようです。
酪農体験が、教える側の益子さん自身が成長するきっかけに
学生たちが「酪農体験を通して益子さんから大切なことを教わった」と話す一方で、益子さんご自身は「伝えたいこと」を具体的に意識しているわけではなく、ご自身も研修生や従業員としてあちこちでホームステイをさせてもらった経験から、自分でもなるべく受け入れたいと思っていたそうです。
「教えるって難しくて、自分で仕事をやった方が楽なんですけど、次の世代の人たちに任せていかなきゃいけなくなるということは理解しています。そういう意味では、一歩引いて、本当は手を出したいんですけど我慢する、これがすごく勉強になりましたね。学生が来たことによって、逆に自分自身が成長するきっかけになった気がします。」
これからも酪農体験を受け入れていきたい
益子さんは新冠町で牧場を経営して7年目。子どもたちが大きくなってきてからはホームステイの受け入れをお休みしていましたが、新築してスペースに余裕ができ、今年からまた酪農体験の受け入れを始められたそうです。
「また来月、学生を一人受け入れる予定があるので、こういったことを継続して、自分自身が成長していけたら良いなと思っています。」
ましこ牧場
- 営業時間:要問合せ
- TEL:0146-47-5061
- 定休日:要問合せ
- アクセス:〒059-2344 北海道新冠郡新冠町字美宇156-1