従業員の意欲を引き出す勤務制度を整備。さらに働きがいのある農場を目指して
この記事の登場人物
丸山 純さん(有)朝霧メイプルファーム
「朝霧メイプルファーム」では、従業員が働きやすい環境づくりに取り組んできました。酪農業は労働時間が長くてキツイ仕事というイメージを持たれがちですが、シフト制を組んで労働超過を防いでいます。
休日も希望表を出してもらってなるべくそれに添うように、三代目の丸山純さん自らが毎日シフトを作って調整。女性の場合は、育児休暇をとって再び戻れるようにと、理想の働き方を目指しています。
もくじ
従業員はみな同じ志を持つ仲間。意識改革により意見も活発化。
このように働きやすい環境づくりを行うのは、安い賃金かつ重労働では離職率も高く、働き手がいずれいなくなるという危機感をもってのことでした。労務管理を効率よくすることで生産性を上げれば、そこから人を雇う余裕が生まれ、さらに労働環境を整えることで労働意欲につながり、すべてが正のスパイラルで上昇していくと、純さんは考えています。
また、ただ従業員としては見ずに、共に牧場をよくしていくための同志として捉え、週に一度はミーティングを開いて意見を活発に出せる体制も整えています。
純さんから問題提起をし、どうするのが最善策かを皆で話し合って決定するのです。当初は皆、受け身だったそうですが、徐々に純さんの向上精神が浸透。例えば「アスピリンの使用期限を作るべきでは」「初生牛舎に仔牛を運ぶマニュアルがほしい」など現場ならではの具体的な意見が出るようになり、それぞれに改善策が取られていきました。今や「何か新しいことを始めよう」「改善しよう」という素地ができ、現状に満足しない風潮ができ上がってきたとか。ミーティングによって意識改革が広まったのです。
従業員のやる気を引き出すために。評価制度を導入。
さらには、評価制度も導入。仕事の技術や勤務態度など、細分化した項目を設けて成績表をつけ、同様に従業員には自己評価表を作成してもらいます。経営側の評価と自己評価に乖離がある場合は、解決するために話し合い、目指す着地点を共有していくことで、一方的な評価で終わらせないよう配慮。誰もが働きながら成長していける牧場でありたいと願ってのことです。
よく働き、よく遊ぶ!理想のワークライフバランスを目指して。
「僕自身が仕事のオンとオフはしっかり分けたいタイプ。音楽が好きで、休みの日はライブにいくのが楽しみだし、夏には毎週のようにバーベキュー会を開きます。それから山登りやテニスも趣味。だからダラダラと残業が続かないように時間を区切り、希望の日に休日がきちんと取れる体制を整えて、僕自身も働きやすい職場環境にしたいなと。work hard, play hard(よく働き、よく遊ぶ)です」と、純さん。
従業員にもそのようなスタンスで仕事をしてもらいたくて、労働環境の整備に腐心しているのです。純さんは「朝霧メイプルファームで働くのが憧れ」と言われるような職場にしたいと考えています。
目指すは3,000頭のギガファーム。酪農業のイメージをも変えていきたい。
純さんは、2016年10月から行われた「次世代リーダー育成塾」にも参加。
「“次世代リーダー育成塾”では、牛の飼育とは別に経営やビジネスを学ぼうと参加しました。そこで得たことは、大きかったですね。全国から集まる意識の高い酪農家と交流でき、刺激になりました。互いの農場を見学しあうなど、交流も盛んになり、アドバイスや情報交換の機会にもなりました」。
現在準備を進めている3,000頭飼育のギガファームへの事業拡大に向けて、参考にすべきヒントを得る機会にもなりました。
大規模経営を目指すことは、衰退産業といわれる酪農業の再興を意味します。
「大規模ファームならではの効率化によって従業員の労働環境を整え、新しい酪農モデルを構築する社会的責任を担っているという覚悟を胸に常に成長を続け、皆のモデルになるような日本一の牧場を目指します」
と、純さんは力強く語ってくれました。
衣装提供/モンベル
高機能・高性能なアウトドアウエアとして、酪農家の愛用者も多い、人気のブランドです。
(有)朝霧メイプルファーム
http://www.maplefarm.jp/index.php
- 営業時間:要問合せ
- TEL:0544-52-0549(本社)
- 定休日:要問合せ
- アクセス:静岡県富士宮市根原241‐5
酪農業(牛糞堆肥製造)
飼育頭数:成牛480頭