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ヒト、地域、ニワトリの健康を守る!環境にも配慮した新しい養鶏のカタチ

この記事の登場人物

倉持産業 株式会社
倉持産業 株式会社
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日本の卵生産量1位を誇る茨城県※1。この地で、県内の様々な産業賞を受賞している養鶏業者がいます。

それが、茨城県でもとくに緑豊かな東茨城郡に自社農場を構える倉持産業株式会社。毎日およそ30万個、契約養鶏農家からの分をあわせると120万個もの鶏卵を出荷しています。
今回は養鶏場が抱える臭いや害虫の問題を解決し、売上げUPに導いた倉持産業の企業努力に迫ります

鶏にも人にも環境にも優しい養鶏システムは、徹底した衛生管理から 

養鶏場に伺ったのは8月の上旬、とうに外気温は30度を超え、正直、相当な臭いを覚悟していたのですが、駐車場に着くと、驚いたことに、まったく臭くありません。それどころか場内にはゴミひとつなく、清潔感にあふれています。

お出迎えいただいたのは、農場長の方です。

「臭いも病害虫も、その原因をもとから取り除けば発生しません。」

鶏舎から出る鶏糞を一日に3回も掃除し、そのまま鶏糞堆肥の製造工程に回しているとのこと。おかげで鶏舎内は常に清潔。病害虫がわかないので鶏の健康はもちろん、卵の安全性を保つのにも一役買っているのです。

集められた鶏糞は、特殊な発酵方法を経て野菜の有機栽培などに欠かせない鶏糞堆肥として生まれ変わります。2015年には県の堆肥コンクールで県知事賞を受賞。これは養鶏業者としては初の快挙でした。

地域からの苦情をバネに省エネ推進企業へ 

倉持産業は県内の産業賞をいくつも受賞するだけでなく、省エネ推進企業としてテレビ取材を受けたこともあるそうです。かつては臭いや排水などで周辺地域の方から苦情もあったそうですが、約10年前、社内に専門部所をたちあげ環境対策に邁進してきました。

まず着手したのは、鶏の飼い方を工夫すること。

同規模の養鶏業者では当時珍しかった「平飼い飼育」を導入し、2万羽もの鶏をケージから出して飼育することに成功しました。

さらに、国内では2社しか保有していないという、鶏にやさしい先進のエンリッチドケージも順次設置しています。

このように鶏の住む環境を整えたうえで、前述の鶏糞のほか、卵の殻をリサイクルするなど徹底したゴミ削減を実施しているという倉持産業。年間およそ15,000トンものCO2削減に成功したとのこと。自社のみならず、契約農家へも同様の環境対策指導を行う念の入りようです。

同時に、省エネ対策にも抜かりがありません。

会社社屋や発送センターなどはもちろんのこと、鶏舎も含めてすべての電灯はLED電灯を使用しています。その数、電球2000個に蛍光灯型が800本。また、太陽光パネルの設置や社用車のハイブリッド化、電力使用のピークシフト化に全社で取り組んでいます。

さらに、40万羽の鶏を擁する全部で8棟の鶏舎、社屋、事務所、敷地内の設置機械にいたるまで、すべての建造物に遮熱、断熱する特殊な塗装を施し、光熱費を節減しています。

「新しい養鶏場のモデルを目指しています」 

「環境活動は、企業の姿勢、企業価値を表す指標にもなっていると思います。信用が上がれば、売り上げもついてくると信じています。」とはご担当者の弁。

事実、電気使用量やCO2の排出量の低下に反比例するように、売り上げはここ5年でおよそ27%も増加しているそうです。

「当社は創業して半世紀が経過しました。地域のためにはもちろん、安全でおいしい卵をご提供するためにも、環境対策はとても重要です。これからも養鶏場の新しいモデルになるように全力で取り組んでいきますよ。」

ただ経費節約をするためだけのエコではなく、地域や業界全体の流れを見据えたより広い意味での環境への取り組み。そんな会社が出荷する卵は、取引先だけではなく、一般消費者の目にも魅力的に映るはずです。

※1「鶏卵流通統計調査(平成26年)」(農林水産省統計部)より

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倉持産業株式会社 

〒303-0044 茨城県常総市菅生町683-1
【TEL】0297-27-1131(代)
【FAX】0297-27-1314