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【速報】赤裸々な告白多数。事業承継の実態に迫る!!

この記事の登場人物

どっこしょニッポン
どっこいしょニッポン運営事務局
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畜産家の方とお話ししていると、事あるごとに話題にのぼる事業承継。今回どっこいしょニッポンでは、あまり表に出ていなかった農家の方の本音を集めるべくアンケートを実施しました。反響は大きく、なんと集まった回答数は全国から180件!

事業承継のリアルな姿が見えてきました。さて、農家のみなさん、「わかる!」なのか「そんなことない!」なのか?ぜひチェックしてみてください。
(アンケート実施期間:2020年4月オンラインにて回答を募集)

それでは参ります。

Q1. 事業承継はスムーズにいったか?
(もしくは、いきそうか)

結果はこちら。

65%は「スムーズにいった」と回答。
ただし、「はい」の回答者の中にも、さまざまな問題はあったようで…。

Q2. 事業承継がスムーズにいかないと思う
理由を教えてください。(複数回答可)

特に意見の集まった項目にについて、もう少し覗いてみます。

まずは、ランク外のこちらから。

承継者の意見。
「私が長男で頑張っていたのに、男兄弟が多くて、親が誰にどの程度渡せばいいか迷っている姿を見てガッカリした。なぜ、仕事をしていない兄弟と天秤にかけられないといけないのか。潔く渡して欲しかった」
(36歳/宮崎県・肉牛)

「兄弟で承継する場合は、仕事役割分担や内容でやり方が違ったり、どちらかがしんどい思いをするなど、後々いろいろ問題になるので、兄弟二人同時承継や経営は避けた方がよい! 兄弟どちらかを選ぶのは大変だが、先を考えるのであれば、承継は一人にするべき」
(35歳/岡山県・肉牛)

承継者の意見。
「親子だから家の仕事はタダでやって当たり前、自分たちが死んだら全部承継するんだから、という姿勢。自分も家族を養わなければいけないから、きちんと給料と休みが欲しい」
(50歳/岩手県・肉牛)

「月に6万円の支給という当初の約束が守られず、経営破たん寸前でどうにか持ちこたえていたら、コロナ騒動…もうダメかもしれない…と弱気になることがある。最低限の約束は守って欲しい」
(50歳/奈良県・酪農)

「過去にも収入のない生活は不安だという話をしたことはあるが、話し合いはいつも続かず、それでも続けようとすると癇癪を起こす始末。親世代への承継セミナーでもやって欲しい」
(50歳/宮城県・養豚)

「従業員を雇ったが、労働基準等があることを理解できず、家族と同等に、もしくはそれ以上に働くのが当然だと思っていたり、見下したりしていた。結局その従業員は辞めてしまい、少しは反省したようだが、今まで家族労働でやってきて社会を知らない両親にはなかなか雇用は難しい様子」
(37歳/群馬県・酪農)

承継者の意見。
「経営にプラスになる投資よりも、自分の趣味の延長で投資をする傾向にある」
(33歳/北海道・酪農)

「人手の重要性やICTの活用などの利点に理解を示さず、「自分が牛を見ていれば大丈夫」の一点張り。いざ導入してみると良さを理解するが、導入までが長い道のり」
(42歳/酪農)

「鶏の飼い方等、今の世代とは全然違うのに、昔のやり方を押し通してくる」
(24歳/養鶏)

「受精卵移植を導入しようと思った時に、否定された。世代の温度差を感じた」
(35歳/酪農・肉牛)

「法人化への価値観の違い。雇用や6次化を見越しての検討も「見栄」の一言」
(31歳/群馬県・酪農)

「任せると言っておきながら任せてもらえず、購入した商品を返品された」
(30歳/酪農)

「繁殖農家は、肥育農家が求める血統を育てる必要があるが、安いからという理由で昔の牛やあまり良くない血統を使うのはやめて欲しい」
(25歳/沖縄県・肉牛)

「自分は規模拡大を考え計画しているが、現社長(父)は現状維持の考えであり、反対されている。対等な話し合いにならない」
(28歳/酪農)

「頭ごなしに意見を否定せず、もう少し、子供の意見にも耳を傾けて欲しい」
(37歳/肉牛・養豚)

日々進化する最新の技術の導入のメリットを理解してもらうまでには、やはりかなりの時間と忍耐が必要なようです。

「搾乳の仕方、金銭の感覚、承継者の責任感のなさに不安を感じる」
(65歳/北海道・酪農)

「こちらに相談せずに新牛舎の計画を立てていて、計画が進んでから「何かあれば言え」と言われたが、そこまで進んでいたら口出しできない状態だった」
(50歳/岩手県・酪農)

「息子のやり方は昔ながらのやり方と違うのが気に食わないし、それで成功するのが尚気に食わない。さらに成功者の息子にスポットライトが当たり、全国的に有名になるのが尚気に食わない。ということで、そんなに気に入らないのなら退職することにしたら、やっと事業を譲る気になった」
(80歳/宮崎県・養鶏)

こちらのお父様からはさらにこんなアドバイスも。

「時代は変化するし、誰だって失敗もする。遅かれ早かれ渡すつもりなら、早く渡した方がよい。成長したらと思うのだろうけど、いくら成長しても、後継者の成長を認めることは絶対にない。もし認める技量があるのなら、間違いなく譲るはずです」

深いお言葉、ありがとうございます。

他にも、「スムーズに承継できた」と回答された方からは、こんな意見・アドバイスも。

「足りない部分を補う関係で助かっている。体も動くし、センスも良い」
(32歳/肉牛・養豚)

「お互い得意な分野を尊重しあって、その分野ごとに責任を持つことと、みんながわかるように“見える化”、経営目標の掲示が大事だと思う。第一感情で話すとうまくいかないので、家族経営協定を定めたり、第三者の目を入れて第二感情で話を進めることも大切
(34歳/岩手県・酪農)

意見が聞き入れられない、話し合いにならない、こじれてしまった関係性の改善は難しいという声が本当に多く届きました。親子、親族という関係性であればなおさら、難しいところです。

ご参考までに、もう1問。

Q3. 事業承継時の承継元の年齢は?(予定も含める)

結果は、このようになりました。

いかがでしたか?
各ケース、さまざま事情があり、本当に難しい問題だと思います。
ただ、多くの意見・苦情・アドバイスの中に、なるほど、と思った声がありましたので、最後に一つ、お届けします。

「私は“権限”としての事業承継の時期は、法人化するタイミングか親が亡くなる時でも良いのではないかと思っています。現在も親が代表ですが、私がすべての責任を持つ意識でやっています。30代の前半の頃、親が仕事を始める前に仕事を終わらせ、仕事を終えた後も仕事をして、親の作業割合をかなり減らしました。その辺りから私が行う仕事(経営を含む)に対し口を出さないようになりました。後継者には黙ってやらせてみる、後継者は理想を持って自らがやってみることが大切だと思います」
(46歳/養豚・長崎県)