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繁殖から肥育まで。うしちゃんファームの自社繁殖一貫体制づくり

この記事の登場人物

大和田 洋志
うしちゃんファーム
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宮城県石巻にある「うしちゃんファーム」は、東北各地に肥育農場を持ち、さまざまなブランド牛を育てる大規模農場。これまでに作った自社ブランドは20種類を超え、美しいサシが入った和牛から、赤身が絶品の日本の伝統的な牛まで、多種多様なブランド牛を生み出しています。

それを可能にするのが、繁殖から肥育までを自社で行う一貫体制。

うしちゃんファームは、一体どのようにして、このような体制を作ってきたのでしょうか?

きっかけは震災。うしちゃんファームが規模を急拡大させた理由とは?

▲うしちゃんセンター石巻。人手を使わないように工夫された高度な肥育農場

20種類の和牛オリジナルブランドを持ち、日本各地から海外までグローバルに展開するうしちゃんファーム。1970年の設立から50年近い歴史を持っていますが、ここまで拡大してきたのは、最近のことだといいます。

きっかけは、2011年の東日本大震災です。震災で被災して、あらゆる業務がストップしたのですが、それでもお客様には牛肉を提供し続けなければなりません。どんなときでも安定した供給を続けるには、狭い範囲でやるのではなく、広範囲に農場を持つ必要があると考え、規模を拡大させてきました

震災のような緊急事態においても安定的に供給を続けるために、規模を拡大。現在は、約5,000頭の牛を飼っていると大和田さん。また、供給のさらなる安定と子牛の高騰のため、繁殖もはじめたとのこと。

子牛の値段が高騰しだして、それでは割が合わないと繁殖もはじめました。(今は昔の3倍近く)また、自社で繁殖することによって、供給をさらに安定させることもできます。2年ぐらい前に岩手のほうに大きな繁殖農場を作り、子牛と親牛をあわせて1000頭まで広げてきました。全体の数で考えると、まだまだ足りないので、さらに繁殖を拡大させていくのがこれからの課題ですね

震災の影響により、規模を急激に拡大させてきたうしちゃんファーム。
大和田さんが入社する以前は約2000頭だったのが、倍以上に増え、今後さらなる拡大を目指していきたいとのこと。

そのためにも、強化しなければならないのは、「繁殖から肥育まで行う一貫体制」と大和田さん。
うしちゃんファームの一貫体制とはどのようなものか、またこれからそれをどのように発展させていくのか?

詳しく伺いました。

繁殖を強化し、安定的な供給を目指す

子牛の値段が高騰している現在、その価格は、かつて1頭30~40万円だったのが、1頭100万円。約3倍に高騰しています。
このような背景もあり、今後は繁殖をより強化していくつもりと大和田さん。

規模を拡大しつつ、安定的に供給を続けるには、その元となる子牛が必要です。しかし、今の値段では購入すればするほど割に合わない。だからこそ、繁殖をはじめたのですがまだまだ足りない。自社で繁殖しているとはいうものの、まだまだ子牛に頼っているのが現状です。理想としては、繁殖半分、購入が半分くらいの割合まで持っていきたいですね

 ▲肥育のために導入されてきた子牛

現在600頭の繁殖牛を飼育しているものの、そこから必ず600頭の子牛が生まれるわけではありません。出産は1年に1度しかないため、より多くの繁殖牛を飼育する必要があるとのこと。

繁殖で生まれた子牛を各農場で肥育するという方法で、一貫体制が一部実現していますが、まだまだ数が足りません。これを今の3倍の規模でできるようになるのが、今の目標です

一貫体制をさらに強化し、将来的に1,5000頭を目指すと大和田さん。
今後、うしちゃんファームはどのように発展していくのでしょうか?最後に、今後の展望について伺いました。

さらなる事業拡大を目指すうしちゃんファーム。今後の展望は?

▲うしちゃんセンター石巻。牛糞と燃料として利用するための設備を持つ

うしちゃんファームが目指すのは、地域ブランドの自社のPBブランドを世界に発信すること。

「東北には“これ”っていう名産があまりありません。特に宮城には少なくて、思い浮かぶのは牛タンくらいですよね。でも今はそれもほとんどが輸入物です。だから、うしちゃんファームでは、東北の名産を生み出し、世界に発信したいという想いを強く持っているんです。純東北ブランドとして、世界中のほうにうしちゃんファームの味を知ってほしいですね」

現在計画中なのは、宮城県亘理町で6000頭規模の牧場の開設。来年には、着工をはじめたいと大和田さん。繁殖の強化と合わせて頭数を増やし、安定した供給体制を築いていきたいとのこと。

また、地域性を押し出すために、粗飼料となる稲わらをすべて地元産にする計画も進行中。さらに、農家さんから稲わらを買い、うしちゃんファームからは農家さんに堆肥を売るなど、耕畜連携による地域活性化にも取り組んでいます。

繁殖の強化による自社一貫体制・東北ブランドのグローバル展開・さらには地域活性化。

止まることなく進化を続けるうしちゃんファームはどこまで進化するのか?
これからの展開が楽しみです。

うしちゃんファーム

http://www.ushichan.jp 

  • 営業時間:
  • TEL:TEL:0225-98-8829   FAX:0225-98-8929
  • 定休日:
  • アクセス:〒987-1221 宮城県石巻市須江字畳石前1-11