九州一大規模な養鶏企業の、圧倒的なひよこの孵卵場に潜入!【後編】 | どっこいしょニッポン

九州一大規模な養鶏企業の、圧倒的なひよこの孵卵場に潜入!【後編】

No.323

はたらく

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こんにちは、たまごソムリエの友加里です。今日は九州一大規模な養鶏企業の工場見学にやって参りました!ここではなんとひよこを卵から孵化(ふか)させる「孵卵場(ふかじょう)」という施設になります。

ここでは卵からヒヨコを孵化させて、そのヒヨコたちを全国の養鶏場へ出荷して、美味しい卵を生む親鶏となります。

そして今回なんと、赤木社長自ら工場案内をしてくださるとのことで非常に楽しみです。

たまごからひよこになるまで、どんなところで管理しているの?
どのくらいでひよこになるの?

工場の説明をしてくれる赤木社長

大澤さんこの工場でひよこが生まれているんですね!
それにしてもたくさん卵がありますね。1日に何羽ほど生まれているのですか?

大澤さん毎日生まれる数は決まっていません。
いただいた注文数と配達日に対して、孵化日をコントロールしてます。
卵は毎日鶏が産んだ数だけ工場に届くんだけれど、
ここから出ていくひよこの数は養鶏場からの注文次第です。
なので、その日届いた卵をそのまま使う日もあれば、最大3週間貯蔵する場合もあります。
大澤さん3週間ももつんですね!年間何羽くらい出荷しているんですか?

大澤さんこの工場のキャパ的には650万羽くらい出荷できるけれども実際は400万羽くらいかな

大澤さんすごい・・・!

いざ、工場の中へ・・・!

サイズ・種類別に機械で整理整頓された卵。孵化用に使えない卵は加工用(液卵など)で使用されます。

卵に汚れやひび割れなどの不具合がないか、人の目でチェックしています。

サイズ・種類別に選別する機械です。このあと貯蔵されます。

大澤さんここは、種卵(ひなをかえすために使う、受精卵)の大きさを分ける所です。
通常サイズとちょっと小さいめのサイズと分けています。
小さい種卵は小さい種卵とまとめて孵化させるとヒヨコの大きさが揃うんです。
そうすることでひよこの飼育がしやすくなります。
大きいひよこと一緒にしてしまうと、大きいひよこばかりが餌を食べてしまって、
小さいひよこに餌が行き渡らないんです。卵の段階で揃えておけば後が楽ですね。

大澤さんなるほど。それにしても、すごい量の卵ですね。
これは、全部孵化するんですか?

大澤さん100%必ず孵化するわけじゃないですね。

大澤さんどのくらい割合で孵化するんですか?

大澤さん鶏が若ければ若いだけ孵化率は上がるし、鶏の健康状況や気温によっても変わります。
おおよそ85〜86%くらいですね。その半分が雌雛(メス)なので出荷されるのは43%くらいになります。

大澤さん気温によっても変わるんですね。季節的にいい時期などはありますか?

大澤さんやっぱり通常、春と秋は孵化率がいいですね。
この工場は孵化率を安定させるために、
一年間気温が変わらないように工夫されています。

圧倒的な数の卵・卵・卵!

大澤さんおぉー!!!すごい!!!

大澤さんこれは貯蔵しているところですね

大澤さんこれ斜めに貯蔵されているのには意味はあるんですか?

大澤さん卵の中に黄身があるでしょ。基本的に、黄身って沈んでいきます。
それで、卵の黄身は、ひよこになるための栄養なので、
最後はお腹の中に入っていくんだけれども、黄身が沈んで卵の殻とくっついてしまうと、
お腹の中に入り切らなくなってしまいます。そうすると、ひよことして生まれることが出来なくなってしまうんです。
だから、黄身が下に沈まないように、卵を常に転がしてあげてるんです。
1時間〜2時間ごとに向きが自動的にかわる仕組みです

大澤さんへぇ!そうなんですね!すごい!
ちゃんといろいろ考えられている機械なんですね!

大澤さんこの機械を使っていなかったときは、10日ぐらいの貯蔵が限界だったんだけれども、これにより貯蔵できる期間も伸びました。(卵の中の)水分を失わないように、温度と湿度の管理もきちんとしています。

大澤さんすごい・・・!

 

海外製のスゴイ機械、
卵の中身がみえちゃいます。

オランダ製のPAS REFORMというメーカーで、孵化する卵の成長過程を表す機械です。経過日数・卵の中の状況・管理温度・湿度がひとめでわかるパネルです。

大澤さんここが今11日目の卵ですね。
このパネルで、今のひよこの状態を見ることができます。

大澤さんおぉぉ!すごい!パネルで確認できるんですね。
これはどういった仕組み何ですか?

大澤さん中のひよこが成長するに従い呼吸が活発になり、卵の中の二酸化炭素濃度が上がっていきます。
これによって、大体の成長具合がわかるんです。実は湿度の方が重要で、湿度が低すぎると乾燥して殻の中の水分が外に持っていかれてしまいます。
湿度が低いと乾燥によって卵の中の水分量が減ってしまいます。卵の中の水分は、生まれたヒヨコの水分量になり、水分量が足りないとヒヨコが死んでしまうため、湿度をたもって乾燥させないことがとても大切です。
二酸化炭素をコントロールしている理由は、より自然に孵化する環境に近づけることで、孵化しやすくなるからなのです。昔はそれを手動でやっていたんです。

大澤さんえぇ!すごい大変だったんですね。

大澤さんあとは、ここで光を当てて卵が育っているかどうか確認します。育っているものは中が黒くなり、育っていないものは光が透き通ります。

昔は一個一個手作業で懐中電灯をあてて、やっていたんですよ。
唯一、雄(オス)と雌(メス)の選別は今でも人の手でやっています。

もうすぐカメラを使ってAIで選別する方法と、DNAでも選別できるようになるんですよ。

大澤さんどんどん機械が進化していってますね。
ちなみに、フライングで生まれてしまうことはあるんですか?

大澤さんないですね。せいぜい早いのと遅いので12時間くらいの差しかないですね。

大澤さん人間と一緒なんですね

大澤さんこっちに今日生まれたひよこがいます

友加里 おぉぉぉぉ!!いた!かわいい!!!

大澤さんこれから鑑別します。

 

 

いざ鑑別室へ・・・

大澤さんこれ、どうやって見分けてるんですか?

鑑別師 見分け方は3種類あって、肛門と羽と色ですね。今日は羽をみて見分けます。羽毛鑑別といいます。
ここの部分の羽の長さで見分けるんです。

メスはこの部分の羽毛の長さが違いますが、雄は揃ってるんです。

大澤さんほぉ〜!なるほど!どのくらいの速さで鑑別するんですか?

鑑別師 1時間に3000〜4000羽くらいかな。
1秒間に1羽くらいの速さですね。

大澤さんえぇぇぇ!すごい!
ひよこの種類によって見分け方を変えたりするんですか?

鑑別師 そうですね。種類によってね。
けど今はだいたい羽毛鑑別が多いですね。

羽毛は早いんです。肛門の場合は少し時間がかかるので、1時間に1000〜1200羽くらいしかできないんです。

大澤さんそれでもすごい速さですね・・・。
もうどのくらい、鑑別師をされているんですか?

鑑別師 はじめは5〜10年くらいヨーロッパで修行していました。
資格は日本で取れますが、取ったらヨーロッパに行って修行しないと、仕事がもらえないんです。

昔は肛門鑑別が多くて、難しかったんですよ。だから簡単には資格が取れなかったんです。

大澤さんだからそのままヨーロッパに住んでしまう人もいるんだよね。

大澤さんそうなんですね。鑑別師さんてすごいです!

大澤さんくちばしが尖っていると、餌を食べる時に雑菌が入りやすくて、クチバシを丸くすることで、ひよこにダメージもいかないんです。

ひよこのくちばしを丸くした状態

あとは血液をのんで、そのまま血が固まって窒息してしまう場合もあるんです。

大澤さんなるほど。そういう工夫がされているんですね!

大澤さんひよこって生まれたては、まだお腹の中に黄身があるので、生まれてから48時間は何も食べなくても生きていけるんですよ。こうやってヒヨコが出荷されていくんです。

大澤さんお腹の中にまだ黄身がいるんですね!
こうやってヒヨコが生まれてくるところを見ると、より卵を大切に食べようという気持ちになります。

いろいろ知らなかったことばかりでとても勉強になりました。
貴重な経験をありがとうございました!

 

【 株式会社アミューズプロフィール 】

世界の養鶏産業の流れを見ながら、ニーズにあった卵の種鶏を直接輸入。最先端の情報を常にキャッチし、生産率の高さなどを踏まえたベストチョイスを考えながら、養鶏場に利益率の高い種鶏を提供している。また、自社で検疫所を所有し、種鶏から孵化、飼育、採卵まで完全一貫生産。
採卵鶏数約250万羽(アミューズグループの採卵鶏飼養数は250万羽、1棟あたり4万羽飼養しています。宮崎県全体の飼養羽数は350万羽なので、宮崎の3分の2以上のシェアを誇ります。)
ひよこ出荷数 450万羽(アミューズから出荷、販売されるメスヒナは450万羽で九州全域、西日本で販売されております。西日本でたくさんの鶏が卵を産んでいます。)
たまご出荷数 約7億5000個(アミューズグループ200万羽から出荷される卵の年間総出荷数は個数で表すと7億5,000万個にのぼります。この数は九州でも最大の卵の出荷量でもあります。)九州一大規模な採卵養鶏家。

〒883-0022 宮崎県日向市大字平岩8356
TEL:0982-56-2567 (代) FAX:0982-56-2577
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