大山ファミリーが苦労の末に築いた、 「手づくり」の養豚スタイル。 | どっこいしょニッポン

大山ファミリーが苦労の末に築いた、 「手づくり」の養豚スタイル。

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北海道中標津町の「ピックファーム大山」は、チーズ製造の副産物であるホエー粉をはじめ、地域のエコフィードをたっぷり食べさせた「なかしべつミルキーポーク」を生産する養豚家。今や地元の他には、札幌や東京など一部でしか味わえない希少な豚肉です。この独自のおいしさを編み出すまでには、農場を営む大山さん一家の苦労と苦難のストーリーがありました。

乳業メーカーから一念発起し、養豚家に大転身!

インタビューに答えてくれたのは「ピックファーム大山」を立ち上げた大山清春さんと、息子さんの陽介さん。現在は陽介さんが代表を務め、豚の飼養や餌の管理、販路の開拓に奔走しています。

私はもともと乳業メーカーに勤めていました。もう40年近くも前のこと、当時、白坂さんという養豚家が会社にチーズくずやホエー(乳清)をよく集荷しに来ていたんです。こうしたものも豚に食べさせているんだって。そのうちにお礼としてお肉をご馳走してくれるというので食べてみたら…いや、もうビックリ。こんなにおいしい豚肉は味わったことがないと、感動すら覚えました。

「ピックファーム大山」を立ち上げた大山清春さん。

当時、清春さんのお義理母さん(奥様のお母さん)は、庭先で仔豚を少数頭だけ飼っていたのだとか。その小さな養豚を会社勤めのかたわらに手伝うようになり、時には白坂さんも飼養の指導をしてくれたといいます。

その10年後くらいでしょうか。白坂さんが養豚家を引退することになり、あのおいしい豚肉を自分がつくりたいという思いがふくらんだんです。この地域では専業の養豚家がほとんどいませんから、正直なところ家族を食べさせていけるのかという不安もありました。周りからも心配の声が数多く聞こえてきましたね。

清春さんは、改めて農業専門誌や文献を読み漁りましたが、ホエー粉は家畜の餌に向かないという記述ばかりだったとか。けれど、乳業メーカー時代の経験から、人の赤ちゃんのミルクにもホエー粉が入っていることを知っており、豚の飼養にも必ずプラスに働くと信じていました。

ホエー粉は乳糖やタンパク質をはじめ栄養成分がたっぷり。豚に一度にたくさん食べさせると下痢をする可能性はありますが、少しずつ量を増やして慣れさせるという方法をとればおいしい肉を生産できるという信念が自分を突き動かしました。

 

エコフィード&リサイクルで窮地をしのぐ!

昭和61年、清春さんは現在の場所で「ピックファーム大山」を設立。養豚を始める前は豚肉の価格が上り調子だったにも関わらず、営農をスタートすると一気に下落してしまったというのです。いきなり崖っぷちに立たされたと苦笑します。

昔から豚は余り物を与え、いろんなものを食べさせたほうが肉の味が良くなるといわれています。なので、ホエー粉はもちろん、いもの加工場からハネ品を安く譲ってもらったり、ホテルの残飯を煮沸して食べさせたり、米ぬかやふすまを発酵させるなどさまざまな工夫を凝らしたんです。中標津には大手の食品工場も多く、廃棄物がリーズナブルに手に入るという立地に大いに助けられました。家内も仕事を手伝ってくれるだけでなく、苦しい時に前向きな言葉で背中を押してくれたことも有難かったです。

この言葉を継いだのが陽介さん。
しかも、ウチの豚舎は父が古材を使って手づくりしているんです。鮭の孵化場を立て直すというので元の建物を農場に復元したり、企業の倉庫を豚の分娩室に改造したり。父の人柄のおかげでしょうか、周りの友人が『コレは使えるんじゃないか』と次々と手を差し伸べてくれました。今風にいえば餌はエコフィードですし、豚舎はリサイクルですね。

息子さんの陽介さん。今は清春さんからファームの代表を受け継いでいます。

清春さんは「いやいや、そんな格好いいものじゃなくて、単にお金がなかっただけだから(笑)」と照れくさそうにお話しします。とはいえ、自らの工夫と家族の奮闘、そして周囲の温かな手助けによって窮地をしのぐことができたと振り返りました。

清春さんが古材を活用して手づくりした豚舎。

豚の成長を日々感じられ、「おいしい」まで受け取れる仕事。

お父さんが苦労に苦労を重ね、工夫に工夫を重ねて養豚に精を出す姿を見て育った陽介さん。家業を継ぐことに大変そうなイメージはなかったのでしょうか?

う〜ん…小さいころから豚が好きでしたし、あまり不安視したことはありません。中学3年生のころには家業を継ごうと決めたことを今でもハッキリと覚えています。地元の農業高校に進んだ後は茨城の農業大学校に通い、畜産や畑作、水耕栽培まで農業について広く学びました。

陽介さんは農業大学校の卒業後、国際農業者交流協会の実習生派遣に参加し、1年間デンマークの養豚場へ。帰国後には実家に戻り、清春さんの指導を受けながら豚飼いとしてのスキルを磨きました。

父は毎朝の見回りで豚の顔つきや行動から異変に気づくことができます。僕も、そうした勘どころを身につけようと仕事ぶりを盗みました。ちなみに、今は豚の鳴き声が聞こえてきた時も、モノに挟まったんだなとか、水が飲みたいんだなとか、声色から判断することができます。

陽介さんは昨年にファームの代表を受け継ぎ、餌の配合や衛生管理の勉強会にも積極的に出席。お父さんが築いた養豚スタイルを、その時々のエコフィードや一頭一頭の状態に合わせて少しずつ改善しています。餌はホエー粉に加えてチーズのハネ品を食べさせたり、時には小さな運動場に母豚を放って太陽の光を浴びさせたり、「安全」「おいしい」のためなら手間を惜しむことは一切ありません。

ズバリ、その原動力は?

「本当に仕事が好きなだけなんです。自分の子どものようにかわいい豚が日々成長していく姿を見られる上、生産したお肉をおいしいといっていただける…これ以上の喜びはありませんよね。」

小さい頃から豚と共に育ってきたからこそ、豚への愛情は人一倍。ここまで豚を愛する親子が生産する「なかしべつミルキーポーク」はきっと美味しいに違いありません。ぜひ大山さんが感動したホエー粉で育った豚の味をぜひお試しください。

>> なかしべつミルキーポークの購入はこちら <<

なかしべつミルキーポークのピックファーム大山

http://www.milkypork.com

  • 営業時間:
  • TEL:0153-72-4247
  • 定休日:
  • アクセス:海道標津郡中標津町緑ヶ丘8-1

この記事を書いた人有限会社シーズ

北海道札幌市で、取材編集やデザインワークに取り組むプロダクション。

インタビューやルポから、各種誌面・webサイトの企画制作などのオシゴトをアレコレと。近々、酒場にまつわる下世話なハナシをまとめた『サカバナ』という本を出版する予定。お買い求めいただいた方から「なにこれ?」と評されること、必至であります。

有限会社シーズ http://www.cs-sapporo.com/

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