若いスタッフも活躍中!人と牛の楽園「なんじょう牧場」から垣間見る沖縄の酪農とは? | どっこいしょニッポン

若いスタッフも活躍中!人と牛の楽園「なんじょう牧場」から垣間見る沖縄の酪農とは?

No.234

はたらく

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美しい海に抱かれた沖縄県。
リゾート地としてのイメージが強い沖縄ですが、その中でも酪農が盛んな地域のひとつが、本島の南部にある南城市です。
株式会社なんじょう牧場(以下、なんじょう牧場)は、 南城市の豊かな環境を活かし、沖縄ならではの酪農の価値を創造しています。 

建設業を辞めて酪農業に転身

なんじょう牧場は、社長の中村成則さんが平成16年に前身となる「アーミーファーム」として創業しました。
それまでは25年もの間、自身で立ち上げた建設会社の経営を行っていた中村さん。高齢になったお父様から酪農を引退すると聞き、新規就農するという大きな決断をしました。

「酪農は一度辞めてしまうと再びゼロから始めることが難しい仕事です。かつてはたくさんの牧場があった南城市ですが、ここ数年で急激に減少してしまって。このまま家業を終わらせてはいけないという思いで、酪農を継ぐことを決意しました。」

こうして酪農に関する知識もあまりないまま就農した中村さん。「せっかく経営するなら今までよりも大きくしたい」と、経営を交代してから数年経った頃、親父さまが守ってきた30頭規模の牛舎を改築。70頭規模の牛舎へと拡大しました。改築の工事をしたのは、もちろん自分自身!建設業25年のプロの技で見事に牛舎が生まれ変わったのです。

沖縄は牛にとっても楽園?沖縄の酪農環境とは

日本の酪農地帯と聞いて、多くの人がイメージするのが、やはり北海道でしょう。
そんな北海道とは、気候や風土など、あらゆる環境が異なる沖縄。果たして沖縄は酪農に適した場所なのでしょうか。中村さんに尋ねると、開口一発、意外な言葉が飛び出しました。

中村さん「北海道で酪農をしたことがないので本当のところはわかりませんが、沖縄の方が北海道よりも牛を育てやすいのではないかと思っています。向こうは気候の寒暖差が大きいので、特に生まれたばかりの子牛には配慮が必要だと聞きます。分娩の時は夜中中見ていないといけないとか。沖縄の冬はそれほど寒くないので、防寒対策は必要ありません。逆に夏場はしっかりと暑熱対策をしていれば牛舎の中は快適に保てます。

環境が違えば牛の育て方も違う−−

中村さんの言葉から、沖縄の気候ならではの飼育方法が垣間見えました。

そんな沖縄の酪農では、牛舎にも特徴があるのだそう。最近は各地の牧場で、牛が牛舎内で自由に歩き回れるようにした「フリーストール牛舎」が増えていますが、沖縄では今でも「繋ぎ飼い牛舎」が主流。繋ぎ飼い牛舎にすることで、フリーストール牛舎と比較して、同じ敷地面積でも飼育頭数を1.5倍に増やせます。また、実は繋ぎ飼い牛舎の方が牛のストレスも少ないのだと、とあるエピソードを話してくれました。

中村さん「たまに牛舎の中で、うっかり牛の鎖が外れていることがあるんですけど、牛はずっとその場所を動かず、しばらく気付かないなんてことがあります(笑)。繋ぎ飼い牛舎は、体の重い牛がわざわざ動く必要がないので、ストレスも少なく、質も量も安定してお乳を出すことができるのかもしれません。」

もしかして沖縄は牛にとっても楽園?

しかし、1つ大きな悩みがあります。それは「台風」が多いこと。強風と雨が牛舎に入り込むと、牛を危険にさらします。同時に、台風が過ぎるまでは搾乳もできず、出荷も止まってしまいます。さらに、台風の後も、しばらく搾乳をしていなかった牛が調子を戻し乳量が元に戻るまでには1ヶ月ほどかかってしまうのだそう。

こうした沖縄の酪農にとって最大の脅威から牛を守るべく、なんじょう牧場が取り入れているのが「トンネル換気システム」です。通気性を考慮して壁を取り払った一般的な牛舎とは異なり、なんじょう牧場の牛舎は、屋根も壁もある閉鎖的な空間。しかし、前後に巨大な扇風機をつけ、常に風を流すことで、牛は雨風の影響を受けず、なおかつ常に空気が循環する快適な環境を実現しました。

実際、牛舎内にはほとんどハエが見当たらず、臭いも気になりません。牛たちは衛生的で守られた環境で、すくすくと育っているようです。

働きやすい環境が、酪農の未来を繋ぐ

牛にとって快適な環境を追求しているなんじょう牧場ですが、その優しい眼差しは働くスタッフにも向けられています。

もともとは中村社長とお父様・お母様の家族経営でスタートしましたが、数年前に企業コンサルタントして現副社長の池谷豪貴さんに相談してから、経営方針を変換。社員教育のプログラムを設け、職場環境を改善することで、今では10名規模の企業へと生まれ変わりました。

なんじょう牧場では、大学を卒業してから就職した若い女性スタッフも働いています。
彼女たちに「仕事は楽しいですか?」と聞くと、迷うことなく「楽しいです!」と答えてくれました。
その溢れる笑顔から、酪農の明るい未来を感じました。

▶なんじょう牧場のその他の記事はこちらから

株式会社 なんじょう牧場

http://www.nanjo.farm   

  • 営業時間:ー
  • TEL:ー
  • 定休日:ー
  • アクセス:〒901-0616 沖縄県南城市玉城字前川1138番地

全頭数:150頭

この記事を書いた人下條信吾

長野県信州安曇野出身・東京立川市在住のフリーライター。カメラマン・ミュージシャン・作詞家など、多方面で活動中。 牧場の匂いを嗅ぐと、祖父が豚と鶏を育てていた頃の、幼い日の記憶が蘇ります。 http://www.karali.info/

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