やんばるの森と美ら海の潮風で育つ。沖縄育ちのブランド牛「もとぶ牛」とは? | どっこいしょニッポン

やんばるの森と美ら海の潮風で育つ。沖縄育ちのブランド牛「もとぶ牛」とは?

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豊かな自然を有する沖縄の中で、本島北部の本部半島西部に位置する本部(もとぶ)町。
2002年には「沖縄美ら海水族館」が開園し、観光スポットとして人気ですが、海側から少し離れると、山の合間に見えてくる広大な敷地……ここが「もとぶ牧場」です。

 

もとぶ牛を育む、オリオンビールのビール粕を使った独自の発酵飼料

平成元年に設立し、今年で30周年を迎えるもとぶ牧場。14棟の牛舎で2200頭のブランド和牛「もとぶ牛」を飼育し、繁殖から肥育まで行う大規模な一貫経営を展開しています。
「農業生産法人 株式会社もとぶ牧場」の代表取締役を務めるのが創業者の坂口泰司さん。もともとは沖縄の資源を活かした飼料の製造に着目して事業を立ち上げたそうです。

「当初は沖縄で収穫されるサトウキビの搾りかすを使って家畜用の飼料を作ろうと研究を進めていました。しかし、サトウキビは繊維質が多過ぎて分解されにくいなど、いくつかの壁にぶつかってしまい……。そんな中、他に沖縄で製造される食品などの“副産物”として有効利用できるものはないか考えた結果、行きついたのが『ビール粕』でした。」

沖縄を代表するビールといえば、言わずと知れた「オリオンビール」。坂口さんはオリオンビールのビール工場で毎日のように「廃棄物」として扱われるビール粕を使った飼料の製造を研究。トウモロコシを中心とした配合飼料と混ぜ、10日ほど発酵させることでオリジナルの発酵飼料を完成させました。

ビール粕は繊維質が豊富でありながら消化も良く、肉質を柔らかくしてくれる効果もあるのだそう。この飼料こそが、もとぶ牛の味の重要なカナメとなっているのです。

 

一頭一頭に愛情を注ぐ。徹底した個体管理

もうひとつ、もとぶ牛を語るうえで重要なのが、徹底した個体管理です。全2200頭ほどの牛の肥育を、スタッフ一人当たり200〜300頭を割り降って担当。一頭一頭の健康状態を日々チェックしながら大切に育てています。

出荷する牛はすべてトレーサビリティ(固体識別番号)で管理するなど、一部でテクノロジーも導入する一方、肥育におけるAIやIoTの活用には慎重な姿勢。その理由からも、牧場経営者としての坂口さんの想いが垣間見えました。

「肥育に先端テクノロジーを用いる研究も進めていますが、現時点ではなかなか難しいと感じているのが本音です。うちのスタッフは日々牛と接している中で、顔色を見ればその牛がどういう状態で、何を必要としているかがわかり、適切な世話ができます。牛も人も血の通った生き物だからこそ、対面して触れ合わないと感じ取れないことがある。今のもとぶ牛の品質は、人の力なくして成り立ちません。」

 

牛ふんから堆肥を生産。人と自然に優しい循環型システム

もとぶ牧場の事業は、良質な和牛を出荷して終わり、ではありません。
牛のふんから堆肥を生産し、県内の農家へ還元するという循環型システムを実現しています。

牧場内にある最新の堆肥工場で作られるのは、発酵済みの完熟した有機肥料。牛ふんとおが屑を混ぜ、一週間間隔で天地返しをすることで、良質な堆肥が完成します。

もとぶ牧場で生産された肥料は、土壌改善にも効果的。地域の農業を盛り上げる一助にもなっています。また、家庭菜園や地元の小中学校でも利用され、子どもたちが野菜などを育てる楽しさを知るきっかけにもなっているのです。

牛・人・地域・自然……関わる全てのものに優しい––

もとぶ牧場の取り組みは、持続可能な世界を実現するために大切な畜産業界の役割を示し、畜産の明るい未来をイメージさせてくれます。

▶もとぶ牧場のその他の記事はこちらから

農業生産法人 株式会社もとぶ牧場

http://www.motobu-farm.com/

  • 営業時間:ー
  • TEL:0980-47-5911
  • 定休日:ー
  • アクセス:沖縄県国頭郡本部町字大嘉陽472番地

この記事を書いた人下條信吾

長野県信州安曇野出身・東京立川市在住のフリーライター。カメラマン・ミュージシャン・作詞家など、多方面で活動中。 牧場の匂いを嗅ぐと、祖父が豚と鶏を育てていた頃の、幼い日の記憶が蘇ります。 http://www.karali.info/

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