【参加者募集!!】第10回農高アカデミー開催 高校生だけの特別企画「夢に向かって一歩を踏…
No.357
つながる
「畜産を勉強中の全国の高校生がオンラインでつながり、学べる機会を」ということで始まった「つながる農高プロジェクト」の農高アカデミー。第9回目(9月29日開催)は、大阪の百貨店・阪神梅田本店で11月に開催される「牧場北海道」を企画するバイヤーさんと北海道の生産者さんをお迎えしました。
阪神百貨店は大阪の梅田にある百貨店で、1930年代から“食の阪神”として親しまれてきました。今年初の全館リニューアルをすることとなり、10月より1階が「食祭テラス」という食の売り場となり、新たな食の提案やオンラインとオフラインを使った、食の体験をしていただけるスペースとなっています。リニューアルオープン後は毎週週替わりでさまざまな企画をしていき、11月23日からは駒ヶ岳牛乳さんにもご出店いただく「牧場北海道」を行います。(※牧場北海道にはどっこいしょニッポンも参加します!)。柴田さんはいつも熱意を感じますし、長くお付き合いしていきたいパートナーです。
駒ヶ岳牛乳は北海道・森町、駒ヶ岳のふもとにあります。父の牧場を継いだ兄を支える形で会社を立ち上げたのが27年前。健康な牛から搾られた牛乳を皆さんに届けたいという思いで、牛乳の宅配と販売を始めました。その後、函館空港で牛乳を飲んでくれた関東の百貨店さんが声をかけてくださったこと
これは僕の方から柴田さんにリクエストをさせていただきました。今回の「牧場北海道展」は北海道の乳製品に特化した催事なので、この数年チーズの需要が上がり続けていて、コロナ禍で自宅でのチーズの需要が上がっているという背景もあり、クリームチーズ味で、さらに“手に取りたくなるような商品”を開発していただきました。
▲阪神百貨店「牧場北海道」オリジナル「芸術ソフト〜Hokkaidoチーズ〜」(税込550円)
僕たちはお客様や百貨店から「こういう商品を作って欲しい」という宿題をもらって、挑戦する中でたくさんの壁にぶつかります。でもその壁を超えていくのが楽しいし、商品ができた時は幸せなんです。いつも自分たちの商品を全国の消費者の方々に喜んでもらえるのかどうかが第一にあります。自分は美味しいと思っていても好みは人それぞれですから。
だからお客様の「美味しい」という声や表情を見ることはとても大切。その後お話して、他の北海道の牛乳もご紹介するんです。同じ北海道でも牧場が違えば風土も違う、育て方も違う、味もまったく変わってきます。いろんな牛乳があっていいんです。飲んでいただければ味の違いも知っていただけると思います。こうして商品のリクエストをもらうことも、僕たちのやる気につながりますね。
小池バイヤーに、阪神梅田本店さんが出店者さんの選出において重視しているポイントについてお聞きしました。
① 作り手の熱意・こだわり
やはり仕事をする上で、お客様に対する思いや自社商品への愛情は不可欠かなと思っています。そして、こだわりを持ち、その道のプロフェッショナルであるかどうか。それがお客様にとっての新しい発見につながると思っています。
② モノ・ヒト・コト×ストーリー
従来はブランドや価格、希少性のみが重視されてきましたが、これからは、商品は良くて当たり前。それに加えて、その人の背景(どんな人が作っているのか)や作られたプロセス、時代性、オリジナル性などが付加価値として付いてきます。
③ 買い手に対する心遣い
商品は手に取っていただいて、やっとスタートです。ですので、商品が売れるための工夫が作り手側からされているか。今は消費者の方々がSNSなどで発信する時代ですので、映え要素も大切です。食を扱う仕事ですので、衛生面についても重視しています。
①と③については普遍的な部分だと思いますが、②については時代と共に変化するところだと思います。数年先には、さらに進んで「ストーリー×何か」という形になるかもしれませんし、過去に戻って、モノ・ヒト・コトの良いものだけが求められる時代が来るかもしれません。
私ならどうやって手に取ってもらえるかという、見た目などを重視するかなと思ったのですが、安全安心な衛生環境であるかなど、その背景もすべて見ておられるんだなと知って驚きました。
僕はね、今の話を聞いて、人との信頼関係は何度も重ねることで出来上がるものなのかなと感じました。1回だけドンと行ってもお客様にも百貨店にも信頼されません。食べていただいて、その積み重ねが信頼関係を生んでいくのかなと思います。
【栃木県立那須拓陽高校】 地元の森林ノ牧場、那須塩原市と共に開発した「拓陽キスミル」、牛乳でおなかがゴロゴロする人にもおすすめの「拓陽高牛乳」(通称A2ミルク)を紹介。A2ミルクはニュージーランド発祥で、今世界に広がってきています。
【三重県立明野高校】 先輩の代から続き、伊勢ブランドにも認定された「伊勢あかりのぽーく」。この豚肉を使用した「肉みそ ヤン」、「あかりのソーセージ」、県内の高校3校が連携し、10月に誕生する新商品「高校生が作ったトンでもないカレー」を紹介。
どれも素晴らしいですね! 紹介する時は、消費者の方に伝わる言葉で、さらに商品を開発した背景、例えばコロナ禍で開発を始めたよ、といったことももっと出してもいいのかなと思いました。あとはSNSをされているなら、SNSの紹介を入れると消費者の方により理解してもらえると思います。
どれも素晴らしいです! 僕も頑張ります(笑)。どんな味がするのか、もう少し言葉があれば、もっと食べたくなるね!
…では消費者の立場なら、どんな商品が買いたくなるか考えてみよう。
私は地域が活性化するような取り組みのものは、地元の活性化につながるかなと思うので買いたいなと思います。
パッケージの印象って大きいなと思うんです。見た目を重視することも大事かなと思います。
私も若い世代はインスタで商品のことを判断することも多いと思うので、SNSで見た時にパッケージがインパクトがあると手に取ってみたくなると思います。
…では作る側の立場として、数ある商品の中で、他とどう差をつける?
僕はライバルの同業者の顧客を分析して、より良いものを作ったり、SNSを使ってメディアにも売り込むかなと思います。
自分の家も酪農をしているのですが、売る側として価格がすべてではないと思うので、作るまでの工程など中の部分を見せていくことで伝わるんじゃないかなと思います。
僕は美味しいものをとにかく作ろう、一度きりではなく、何度も食べていただけるものを作ろう、という気持ちで続けてきました。「美味しいよ」「さすが駒ヶ岳牛乳」と言っていただける言葉が一番嬉しいですから。消費者の方々の声は大きいですね。変にカッコつけて背伸びしたことを言わず、嘘をつかずに伝えていけばいいと思います。そしていま何がブームなのか、というアンテナは常に張っています。百貨店さんにも教えていただくし、スタッフも味に貪欲なので、いろんな美味しいものを取り寄せてみんなで食べたりしています。
美味しさは正直好みもあるとは思うのですが、今の時代、美味しいもので溢れています。しかも北海道のものは美味しくて当たり前のイメージがあると思うんです。だからこそ今回の「牧場北海道展」では、体験などを通して、学び要素があって美味しさがある、そして深みにハマる、というのが今の価値なのかなと思っています。
僕個人がいつも食べたいと思うものは、「わぁ美味しい、まだ食べたい」と思うものなんです。インパクトがあって、抜けがいいものは、また食べたくなる。そして「これ、どうやって作られてるの?」となる。そして作っている人たちの顔が見えれば、もっと好きになると思います。でも作るのは難しいよね(笑)
これから人との出会いをより大事にしていただきたいなと思います。商品開発も一人ではできないことだと思います。ですから同じ業種だけでなく、他業種の方ともつながることで、新しい商品ができてくると思います。
本当に君たち高校生なの!? と思うくらい、僕の高校の時とは全然違いますよ。やっていることも考えていることも。夢に向かって頑張っている姿を見られたことが僕はとても嬉しかったです。これから皆さん、無理をせずコツコツやってください。コツコツでいいです。そうすれば次に目標が出てきますから!