酪農を知ってもらいたい。小美玉を背負う保田牧場三代目の想い | どっこいしょニッポン

酪農を知ってもらいたい。小美玉を背負う保田牧場三代目の想い

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茨城県小美玉市で保田牧場を営む保田知紀さんは、美野里酪農業協同組合の青年部のリーダーとして活躍しています。

40代というメンバーの中でも中間の立場にある保田さんは、ベテラン酪農家と若手を繋ぐ重要な存在。

「酪農という仕事を多くの人に知ってほしい」

そんな思いから、小美玉市が立ち上げた、あるプロジェクトにも参加しました。

 

酪農が盛んな土地でさえ、地域の人は酪農家の仕事をあまり知らない

保田牧場

祖父から続く保田牧場を継ぎ、三代目として奮闘する保田さん。

幼い頃から酪農家の息子として小美玉で育った保田さんは、酪農家と地域住民との“距離感”を感じていたそうです。

「酪農が盛んな小美玉でさえ、私たち酪農家がどんな仕事をしているのか、地域の人にはあまり知られていないんですよね。例えば野菜の農業体験は多くの人が経験したことがあると思いますが、酪農体験ってないじゃないですか。そんな中、市役所の若手職員たちがヨーグルトサミットを企画・発案してくれました。自分たちが出荷した生乳で作ったヨーグルトを、市役所の若手職員たちが、全国に誇れる特産品だと考えてくれていたことに、とても感激して、だったら私たち若手酪農家も精一杯お手伝いしなきゃ酪農家の恥だろ!と考えました。」

 

2018年、全国初の「第1回全国ヨーグルトサミットin 小美玉」が小美玉で開催!酪農を伝えるきっかけに

第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉

市役所の職員さんたちが、練りに練った計画が見事!国の補助金を受ける審査を通過して、全国初!第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉が、開催されることになりました。

保田さんは次世代酪農プロジェクトチームのチームリーダーとして、ヨーグルトサミットの開催に向け、準備を始めました。

周りの酪農家も捲き込みながら、半年間に渡って試行錯誤を繰り返し、どのようにしたら一般の人たちに解りやすく酪農の仕事を説明出来るか、牛たちの命の営みを伝えられるだろうか、考えました。

保田牧場の保田さん

「ヨーグルトサミットでは、酪農家が実際にどんな仕事をしていて、どんな生活リズムなのかを一般の人にも知ってもらおうと、リアルな酪農の現場を見られる牧場見学を企画しました。牛に触れてもらったり、私たちが普段仕事で使う畜産用のホイールローダーに乗せてあげたり、牛の育て方について説明したり、かなり濃い内容になったと思います。『酪農のことを知ってもらいたい』と思う反面、『消費者さんは酪農の仕事に興味はなく、ヨーグルトを目当てに集まるだけかも……』と、サミットが始まるまでは不安な気持ちもありました。しかし蓋を開けてみると多くの人が牧場見学や牧場体験に参加してくれたんです。本物の牛を目の前に『大きい!』、『こんなにたくさんフンをするんだ!』『つぶらな瞳が可愛い❤️』『睫毛が長くて女子力高い!!』と感動する姿が印象的でした。それから、『搾乳される乳牛は通常の牛よりも寿命が短くなる。命を削ってお乳を出してくれている』という説明をしたところ、『知らなかった。これからは乳製品もっと大切にいただきます』といった声があがり、それをわかってもらえただけでも開催した意味があったと思いました。」

 

見学

 

減少していく酪農人口。それでも結束力で明るい未来を切り拓く

保田牧場

酪農青年部の頑張りの甲斐もあり、2018年の10月20日・21日の二日間にわたって開催された第1回のヨーグルトサミットは来場者数39,000人という大盛況のうちに幕を閉じました。

日頃、酪農と縁遠い人たちが牛たちに目を輝かせる様子を見て確かな手応えを感じながら、改めてメンバー同士の結束を固めた酪農青年部

小美玉の酪農を背負う立場として、保田さんも気持ちを新たにしたようです。

保田牧場の牛たち

小美玉地域の酪農家は現在24軒ですが、私が就農した13年前は37軒ありました。つまり、1年に1軒か2軒の農家が後継者不足によりやめてしまったということ。残された僕らは今後どのように経営を続けていくか、お互いに意見を出し合い、助け合っていくことが重要です。」

全国的に畜産農家の高齢化・減少が進むなか、小美玉地域も例外ではありません。

しかし、ヨーグルトサミットをやり遂げた保田さんの表情からは、酪農を取り巻く厳しい現実を直視しつつも、これからの小美玉の酪農を背負って立とうとする意気込みと力強さを感じました。

保田牧場の保田さん

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