泣き笑いの「女子トーク」から、 畜産女子が大切にしている“つながり”の実態が見えてきた!
No.339
つながる
箸荷牧場近くののどかな国道427号線沿いに、直営のジェラート店「wacca(ワッカ)」。2015年5月にオープン以来、搾りたてのミルクを使った本格的なジェラートが話題です。そして、地元みんなの“憩いの場”に留まらず、“活躍の場”にもなっているとか。どんなお店なのでしょうか?
箸荷牧場で搾りたての牛乳を惜しみなく使ったジェラート(S380円)は、濃厚でなめらか。上品なミルク味がトロけていく……。
コクがあるのに後口には残らず、もうひとつ食べたくなる魅惑の美味しさ。
代表の今中さんとwacca店長である奥様が実際にイタリアまで食べ歩き、試行錯誤を重ねて完成させた逸品だ。
地元で採れる旬の果物や野菜などを使い、フレーバーがバラエティ豊かにそろうのも、地産地消の国、本場のイタリアらしいとか。
「素材が新鮮だからこそできる味わいと食感です。手間がかかりますが、少しずつ手作りをしています。本物嗜好の人に、安心・安全な本物のジェラートを届けたい」と、店長の今中さんは熱く語る。
夏になるとこのワンランク上の絶品ジェラートを求めて行列もできたとか。
お土産用のジェラートや飲むヨーグルトなども人気だ。
wacca内にある食堂「くるみや」では奥さまが手作りしているランチも味わえる。
自家製ケーキもぜひ味わいたい。コーヒーや紅茶もしっかりとこだわり、味わい深いのもポイント。
店名の由来は、日本語の“輪っか”――つながりだ。牧場とお客様のつながりはもちろん、地元のつながりも大切にしている。
「『wacca』を作ろうと思ったのは、老若男女問わず、地元の方々がくつろげる場所が欲しかったから。ふだん気軽に足を運んで、お茶やランチができ、子どもが孫を連れて帰ってきた時にも連れて行けるちょっといい店を目指した。」
元3セクの建物を購入し、ご夫婦で改装を行い、床を剥がしたり、ペンキを塗ったり、元々駐車スペースだった場所にアスファルトを剥がし、芝生や木々を植えお庭も手作り。
おシャレながらも、ナチュラル&レトロな雰囲気で気負わせない1960年代の北欧デンマークのビンテージ家具を、まわりを気にせず憩えるようゆったりと配置。
冬には薪ストーブや今中さんのおばあちゃん手編みのひざ掛けが温める。
春夏なら屋外のテラス席もおすすめ。壁で囲まれたちょっとした庭があり、子どもたちが走り回る様子を眺めながら、親はおしゃべりを楽しめる。
子どもの誕生日には街までケーキを買いにいかずとも、ホールのアイスケーキを注文する人も増えているとか。
すっかり地元で愛される店だ。
食べたランチは新鮮な野菜がたっぷりでヘルシー。
素材を生かした味で、ご飯ももっちりふっくらしてとてもおいしかった。
箸荷牧場では関連会社である、㈱箸荷営農組合との耕畜連携で、牛のエサやwaccaで提供している有機栽培のお米や野菜、地元箸荷の奥様達が作る「はせがい紅茶」も手書きポップと一緒に店内で販売している。
「地元には元気な高齢者が、畑があるのに作物を売る場所がなかなかありません。その作物を『wacca』で取り扱い、地元の安心・安全な作物をもっと皆さまに提供したい。waccaはアイヌ語で水という意味もあるそうですが、水の様に、地元で経済を循環し、活性化させていきたいですね。『〇〇じいさんの有機米』みたいに販売し、フェイスブックなどSNSで、一般のお客様にも情報を発信したい。しっかりと地域連携し、『wacca』や箸荷牧場があって良かったと地元の人に言われたいです。ほかにもいろいろと計画していますよ!」
「wacca」は地域みんなを巻き込んで、文字通りさらに大きな“輪っか”に成長中だ。