第8回農高アカデミーレポート! 「“イベント作り”の裏側を覗いてみよう」
No.354
つながる
静岡県富士宮市で「佐野牧場」を営む佐野さんは、「富士の国乳業」社長に就任し、2018年から学校給食への牛乳供給に向けて尽力しています。
富士宮市は、牛乳の生産量が静岡県の半分のシェアを持つにもかかわらず、学校給食用の牛乳は、別の市から仕入れているのが現状。
そこで「地元の富士宮市が生産する牛乳を子どもたちに飲んでほしい」という機運が高まり、地元ブランド牛乳の生産ラインを立ち上げるに至ったというわけです。佐野さん自身も、地元で生産される牛乳のおいしさを子どもたちに知ってもらい、その財産を誇りに思ってほしいと賛同し、旗揚げ役を担いました。
子ども達への食育もあり、「おいしい牛乳」にこだわることがポリシー。供給農家の選定には、農場HACCP認証、またはしずおか農林水産物認証を取得しているか、関東生乳品質改善共励会上位者、牛舎環境が清潔な農場に絞り込む予定だといいます。
また、供給農家を入れ替え制にし、常に競合して切磋琢磨しあい、品質向上かつ酪農業の底上げになればと構想を練っています。
佐野さんは「参加できる供給農家への要求レベルが高いので、日本一の学校給食用牛乳といっても大げさではないと思います」と語ります。
「富士の国乳業」は1日の生産量を7トンとし、富士宮市、富士市の学校給食用として32,000食分を供給する予定。何を置いても最初の目標は安定供給です。1年後にはヨーグルトの生産も決まっており、ゆくゆくは乳製品の開発にも着手したいとか。
このブランド牛乳の立ち上げには各方面から注目を浴び、メディア取材も多数に及んだことから「学校給食以外でも飲める機会が欲しい」という引き合いも多く、地元のスーパーでも買えるように動いています。
「安売り用ではなく、おいしい地元ブランド牛乳としての付加価値を見出して欲しい」という佐野さん。
「実のところ、社長とはいっても役員報酬はないし、持ち出しの部分が多い。なぜやるのかといえば、後継者達のためにです。自分たちだけよければいいじゃなく、地元の酪農家全体で盛り上がっていかなくては。供給農家には有利な配当金をきちんと支払うつもりです。“富士の国乳業”供給農家に憧れてもらいたい、そして地域農家の発奮材料になって、全体の質の底上げにつなげていきたい」
佐野さんは熱をもって語ってくださいました。