牧場で芝居?!劇団「須藤兄弟」が届ける思いとは | どっこいしょニッポン

牧場で芝居?!劇団「須藤兄弟」が届ける思いとは

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消費者が知りたいことを知れて、生産者が伝えたいことを伝えられる世の中を作りたい

そう語るのは、千葉県の館山市にある「㈱須藤牧場」から生まれた劇団「須藤兄弟」を引っ張る須藤健太氏。

須藤牧場で芝居している劇団「須藤兄弟」

東京の養成所で芝居をはじめ、㈱須藤牧場に戻ってきてからどのような思いで劇団「須藤兄弟」としての活動をはじめられたのでしょうか?
今回は㈱須藤牧場にお邪魔し、須藤氏へのインタビューを通して芝居へ懸ける思いを伺ってきました。

 

劇団「須藤兄弟」とは?

須藤牧場の後継者である須藤健太さん

【プロフィール】

須藤健太(スドウケンタ)氏。株式会社須藤牧場の後継者。牛の世話・イベント企画・メディア広報。
劇団「須藤兄弟」の脚本と役者として活躍。

 

劇団「須藤兄弟」についてお聞かせ頂けますか?

――僕と兄(須藤タカノブ氏)とボランティアの方々で構成されている劇団です。兄は現在東京で舞台系の仕事をしているので、劇をやるときは東京から来てもらって一緒に活動を行っています。ボランティアの方々は基本的に有志でして、館山市内のアマチュア劇団員の方に参加していただいたり、大道芸人の方に参加していただいてますね。

活動としては、牧場内の芝居が年に1回(GW)と、牧場以外での芝居を年に5回ほど行っています。㈱須藤牧場では、小学校の団体さんなどの体験学習を受け入れたり、乳搾りやバター作りなどの体験も実施しているので、今後はその中の1つに芝居も取り入れようと考えているところです。

 

劇団「須藤兄弟」としての活動を行うことになったきっかけは?

劇団「須藤兄弟」の人たち

――まず私が演劇に興味をもったきっかけからさかのぼらせてください(笑)。

実は、小さい頃にライオンキングの舞台を見たのがきっかけなんです。ライオンキングの内容は、既に映画を見ていたので知っていたのですが、効果的な演出や表現方法でこんなにも伝わり方って変わるんだと感動しました。ライオンキングを鑑賞して、表現する方法を学びたいと思ったのが演劇に興味をもったきっかけです。

それから演技を学ぶために東京の養成所に1年通い、北海道で農業系の専門学校に通っていました。北海道は演劇が盛んなので、学校に通いながら劇団に参加して経験を積ませていただきました。

須藤牧場に帰ってきたのが、2014年11月の話です。
私の母や父が20年近く子供達に酪農教育を行っている現状を知り、酪農家が教えられることがあるんだなと思ったんですね。そこで、酪農家が伝えたいことを「芝居」にのせて伝えられたらもっと効果的に伝えられるなって。

言葉では表現しきれない酪農の魅力、たとえ牧場で1年仕事をしてもまだまだ知ることのできない酪農の魅力があるということに気がついて、それを芝居にのせて伝えていければと思ったのが劇団「須藤兄弟」立ち上げのきっかけです。

 

言葉では表現しきれない酪農の魅力とは、例えばどのようなものでしょうか?

――それがうまく説明できないんですよ!(笑)
生きるって楽しいってことを説明できないけど、ドラマや映画を見たりすると感じられることってあるじゃないですか。ですから是非!劇を見て知ってもらいたいんです。

例えば、牛乳を生産するにしても酪農家だけの力じゃなくて、先代の方が作ってきた土も大事ですし、作った牛乳を運んでくれる人もいます。牛乳1本にしてもそういった方々の努力があって作られてるんです。

また、酪農家って一日中、牛と関わっているように見えるけども、実際にはどの職業よりも人や地域と関わっている職業で、そのギャップが面白いんですよ。そのギャップをおもしろおかしく表現しようっていうのが劇団「須藤兄弟」の芝居ですね。

 

劇団「須藤兄弟」の活動の中で、苦悩はありましたか?

――不特定多数の方々が集まるイベントに本物の牛を連れて行ってはいけないという取り決めがなされたことですね。

たとえば、他団体の一員として参加している渋谷NHKホールで食のイベントがあるのですが、その取り決めの影響で本物の牛を連れて行ってはいけなくなってしまって。代わりに模型を持っていったんです。

今まではイベントの中で「乳搾り体験」などができていたのが、模型へと変わったことで行うことができず、来場者の方々のガッカリがとても伝わってきましたね・・・。
これは1つ、大きな苦悩だったと思います。

 

その苦悩はどのようにして乗り越えられましたか?

――「本物の牛と一緒に芝居ができなくなってしまう」と、悩んだ時期もありました。しかしライオンキングの舞台だって本物のライオンを使ってませんよね。
芝居というのは、本物がいなくてもお客様にそれを体験してもらうことができるエンターテインメントであることに改めて気がついたんです。

僕はこれから50年以上酪農家をやります。その年数の中で考えると、僕が酪農を営んでいる内に国内でも口蹄疫など牛に関わる重度の病気がまた発生する可能 性は少なくありません。今はまだ『わくわくモーモースクール』という出張酪農教室があり、小学校へ本物の牛を連れていったりすることができています。しか し今後、どのような活動であろうと牛が連れていけなくなるという取り決めがされてもおかしくありません

その中で、「じゃあ、なおさら芝居は絶対に続けていこう」という風に意識が変わりましたね。当初の「酪農の魅力を伝えていきたい」という思いは、1つ障害を乗り越えられたことで一層大きくなりました。

 

劇団「須藤兄弟」としての活動が地域活性化に繋がっているなと感じることはありますか?

劇団「須藤兄弟」の観客

――館山市は田舎なので、「若い人が地域を盛り上げるために頑張っている」というのは比較的少ないんですよ。30~50代の方々で地域活性化について考えられていた際に、「若いやつで、頑張る人っていないよな」という声があがるほどです。

そんな中で劇団「須藤兄弟」の活動を通して、館山の地域にも「20代前半で地域活性化の為に頑張ってる人がいるんだ」ということを知っていただいているみたいですね。

劇団「須藤兄弟」の活動が今すぐ地域活性化に繋がっているとは言い難いのですが、今後の地域の活性化にご協力はできるかなとは思っています。

 

最後に、劇団「須藤兄弟」の活動を通して伝えたい思いをお聞かせください。

新聞に載った須藤さん

――私達の活動の意図は大きく2つあります。

1つ目は「酪農の魅力を効果的に伝えたい」ということ。先程お話させていただいた、言葉では表現しきれない酪農の魅力を「芝居」を通して伝えていきたいという点ですね。

2つ目は「消費者と農業をやっている方の架け橋になりたい」という点です。
昔と違って、今はインターネットを使って「これってどうなの?」と検索をかけるといろんな答えが返ってきます。様々な情報で溢れかえっている世の中だからこそ、消費者の方が知りたい情報を正確に知れて、生産者が伝えたい情報を正確に伝えられる、そんな当たり前の社会を作りたいです。

ただ、いきなり一般の方々が直接農家に出向いて「これってどうなの?」と聞くことは難しいですよね。だから「芝居」というみんなが楽しめるエンターテインメントを通して架け橋になれればいいなと思っています。

→「須藤牧場」のその他の記事はこちらから劇団「須藤兄弟」の芝居風景

【劇団須藤兄弟】

ホームページ:http://www.sudo-farm.com/gekidannfreem.html
須藤健太氏 Twitter:https://twitter.com/sudoumakiba

 

㈱須藤牧場

http://www.sudo-farm.com/

  • 営業時間:
  • TEL:0470-22-9732
  • 定休日:
  • アクセス:

〒294-0005千葉県館山市安東337

この記事を書いた人米倉道昭

米倉 道昭 よねくら みちあき ライター兼エディター。東京を拠点に、全国様々な場所へ取材を行う。人物インタビューから旅ルポまで、様々なジャンルの執筆をこなす。コーヒーが大好きで1日に5杯以上飲む日も少なくない。知人からはMr.カフェインと呼ばれることも。

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