一貫経営で肥育農家の形勢逆転を狙う。「おやま和牛繁殖プロジェクト」を牽引する齋藤農場 | どっこいしょニッポン

一貫経営で肥育農家の形勢逆転を狙う。「おやま和牛繁殖プロジェクト」を牽引する齋藤農場

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栃木県小山市は、市場で購入した子牛を肉牛に育てる「肥育農業」が以前から盛んな土地。

とちぎ和牛やおやま和牛といった最高級品質の肉を出荷しています。しかし、ここ数年で子牛の価格が高騰し、農家さんにとっては厳しい状況が続いています。そんな肥育農家の課題を解消すべく、小山市長の肝入りで今年からスタートした「おやま和牛繁殖プロジェクト」。プロジェクトを進めるにあたって齋藤農場を経営する齋藤雄志さんに白羽の矢が立ちました。

 

孤軍奮闘で一貫経営を開拓した齋藤農場

齋藤農場の風景

齋藤農場の入り口

田園地帯の中に牛舎を構える齋藤農場は、小山市の畜産農家で唯一、繁殖から肥育まで一貫経営を行なっています。お父さんが経営していた頃は肥育のみでしたが、16年前に息子の雄志さんが大学を卒業して就農し、それから繁殖も始めました。最初の頃は苦労や失敗ばかりだったと雄志さんは話します。

齋藤農場の牛舎の様子

「繁殖は当時から周りでやっている人がおらず、誰にも教わることができませんでした。そのため、畜産酪農研究センターという施設に通って基本を学びましたが、いざ実戦となると研修で教わった通りに事が進むわけでありません。例えば、分娩後に生まれたばかりの子牛がおっぱいを飲まない…どうしたらいいの?とか、人工授精してもなかなかタネがつかないとか、経験のある農家にとってはよくあることでも、その度に戸惑ってしまいました。ときにはそうした些細なことで判断を誤り、子牛を数頭続けて死なせてしまうという大損害もありました。」

それでも諦めず、未来を見据えて孤軍奮闘した雄志さん。苦しい時代を超えて16年が経った今、一貫経営のメリットは大きいと語ります。

齋藤農場の牛舎の牛たち

「一貫経営の最大の強みは、牛にとってストレスが少ないということだと思います。牛を市場で買ってくるとなると、移動も発生しますし、管理者も環境もすべてが変わり、そこで生じるストレスは肉質にも大きく影響します。その証拠に、うちは一貫経営にしてから肉の成績が一気に上がりました。」

 

おやま和牛繁殖プロジェクトが肥育農家の新たな一手に

エサをほしがる牛たち

雄志さんを迎え、今年から動き出したばかりのおやま和牛繁殖プロジェクト。
雄志さんのほかにも、学校の先生など、さまざまな分野からプロフェッショナルが集められました。雄志さんは自身の経験を踏まえ、地域をあげて一貫経営を推し進めることで形勢逆転できると考えています。

「このプロジェクトが成功すれば、小山市の畜産は大きく変わると思います。興味を持ってくれる農家さんは多いと思うので、まずは一軒でも一歩前に進めてもらえれば“うちもできるかも。”と他の農家さんも動き出すと思います。」

プロジェクトでは現在、市内の農家にアンケートを取りながら、現状の把握を進めている段階。数年後、小山市は肥育から一貫経営への移行に成功した地域としてモデルケースになっているかもしれません。今後の展開に要注目です。

齋藤農場の齋藤雄志さん

▶齋藤農場のその他の記事はこちらから

 

齋藤農場

  • 営業時間:要問合せ
  • TEL:0285-38-0428
  • 定休日:要問合せ
  • アクセス:〒323-0068 栃木県小山市下初田16-1

事業内容:肉牛一貫 / 飼育頭数:240頭

この記事を書いた人下條信吾

長野県信州安曇野出身・東京立川市在住のフリーライター。カメラマン・ミュージシャン・作詞家など、多方面で活動中。 牧場の匂いを嗅ぐと、祖父が豚と鶏を育てていた頃の、幼い日の記憶が蘇ります。 http://www.karali.info/

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