マグロの町・青森県大間で、隼人さんは仕事場を「漁船」から「牛舎」に変えた | どっこいしょニッポン

マグロの町・青森県大間で、隼人さんは仕事場を「漁船」から「牛舎」に変えた

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本州の最北端の町、青森県下北半島大間町は、市場の評価も高いマグロの町として知られている。

地元の学校を出た男たちは漁師になる者も多く、「株式会社KANEHO」畜産部 取締役の肩書を持つ南隼人さんも、マグロ漁師の父と兄を持つ。自身も高卒後18歳の時に一年間、マグロはえなわ漁の船に乗っていた。

青森県下北半島大間町のマグロオブジェ

「だけど船酔いがひどくて、自分には漁師は向かないと思いました(笑)」

 

牛飼いを始めたきっかけは家族を養うため。

株式会社KANEHOの牛舎の外観

漁師になることを諦めた隼人さんは、大間町繁殖センターに職を求めて、働きながら牛の飼育を学んだ。そして自らも牛の繁殖を生業にしようと、勤めの傍ら25歳で畜産経営に乗り出した。

ゼロからのスタート。蓄えもないし、資金を貸してくれるところもなかった。背中を押してくれたのは、父親だけだった。ただ、畜産に関する先入観や固定観念がなかったから、良かれと思ったことにはためらわず挑戦できた。

株式会社KANEHOの南隼人さんと牛

 

 

飼っている牛の受胎率の高さがささやかな自慢

KANEHOで飼育中の牛の個体表

今は繁殖を手がけているが、自慢できるのは人工授精の受胎率が100%に近いこと。

受胎率は一般的には8割程度、悪くすれば5割まで落ち込むこともある。

今飼っている35頭のうち、親牛は33頭で、31頭からは年内に子牛が生まれる予定だ。あとの2頭も年明けに生まれると言う。高い受胎率は、飼育技術の高さの証左でもある。

 

 

課題はまだある。それをクリアして事業規模の拡大を目指す

KANEHOの南隼人さんと子牛

課題は、子牛の体重が思うように伸びないこと。

市場に持っていくと、ほかの牛が350kg前後なのに対して、隼人さんの牛は300kg程度で一回り小さい。血統がいいので高い値がつくが、ほかと同じ体重ならまだまだいい値がつく。このあたりは引き続き、繁殖センターの”師匠“に指導を仰がなければいけないと思っている。

2015年2月には今後の設備投資などに備えて個人事業から法人化した。

父親と共同でマグロと畜産を扱う株式会社KANEHOを設立し、隼人さんは畜産部の取締役になった。隼人さんの兄でマグロ漁師歴15年の芳幸さんも、同社漁業部の取締役として経営に参画している。

株式会社KANEHOの牛

「漁業部の方で今年船を新造する計画があります。4.6トンの今の船より、一回り大きい船を建造します。それを果たしたら、来年は畜産部の方で牛舎を拡張しようと思っています。飼育を50頭まで増やし、繁殖から肥育まで一貫して手がけたいと思っています。」と、隼人さんは言う。

 

ゼロからのスタートで牛を飼うようになって8年、今では大間の畜産組合の中では全頭数の半分以上を飼うまでになった。売り上げも組合の中で半分ほどを占めるとか。

やっと安定軌道に乗ってきた。これからは、更に一回り大きな畜産家を目指しているようだ。

笑顔のKANEHOの南隼人さん

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株式会社 KANEHO

〒039-4601青森県下北郡大間町大字大間字大間平38-685

この記事を書いた人加藤隆悦

秋田市在住のフリーライター兼フリーカメラマン。企業探訪からレジャー情報まで、守備範囲は広範。地元の媒体を中心に、東北での取材案件があると全国誌等からも電話一本メール一本で声がかかり、クルマで東奔西走。長く続くフォトコラム、温泉探訪記の連載を持つ。 編集プロダクション studio woofoo by GMO

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