夢を叶える根底にあるのは、川南町に根付くフロンティアスピリッツ | どっこいしょニッポン

夢を叶える根底にあるのは、川南町に根付くフロンティアスピリッツ

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「情報化社会が進む現代、今こそ農業はイノベーション(革新)を起こさなければいけない」。
熱いまなざしでそう語るのは、宮崎県の川南(かわみなみ)町で鶏卵の加工や販売などを行う『香川ランチグループ』の代表取締役社長・香川憲一さん。祖父である善太郎さんが養鶏場を始めたのは、昭和38年。現在3代目である香川社長は、日々熱い思いとともに“イノベーション”へと取り組んでいます。

 

ミュージシャンから農業の道へ

香川ランチグループの代表取締役社長香川さん

実は香川社長は、はじめから農業に目覚めていたわけではありませんでした。ジョン・レノンや美空ひばりのように、語り継がれる永遠の命に憧れ、若かりし頃はプロのミュージシャンを目指していたのです。

中学生の頃からバンドを始め、上京してブルースロックのバンドを組んで活動する日々。しかし、事務所に属して活動するも、バンドブームで多くのアーティストがいる中、思うように芽が出ませんでした。

「ちょうど25歳の時、夢を諦めて地元へ帰りました。親父に工場で働かせてもらうよう頼むと、『これまで好き放題してたんだから、現場(農場)で仕事しろ』と言われましたね」。

東京ではミュージシャンとして華やかな生活をしていた若者が、ある日を境に鶏のお世話をする日々。当然、面白いわけがありません。しかし、そんな中で香川社長に、青天の霹靂ともいえる出来事が起こったのです。

スーパーの祭事で、販売のマネキンが必要と言われ、渋々卵を販売していた時のことです。一人の女性が来て、こう言ったのです。「香川ランチさんの卵って美味しいよね。おばさんは、香川さんの所の卵しか食べないのよ」。香川社長が、工場の卵に対する感想やお礼を直接言われたのは初めて。こんな嬉しい気持ちがあるとは…そう思い、ずっと頭から離れませんでした。

「それは、過去に経験したことのある気持ちでした。なんだろう?と思ったら、かつてライブが終わった後に、お客さんからお礼を言われたときと同じ気持ちだったのです」。

それまで人に感動を与えることのできるツールは、芸術でしかないと思っていた香川社長。しかし、食を通して人に感動を与えることができる、ということを、肌で感じたのです。

「それなら、おいしいものを作って、食で永遠の命を残せるかもしれない。農業は食に一番近くてカッコよく、素晴らしいものだと思いました」。
それから、香川社長の仕事のスイッチが入ったのです。

 

祖父から受け継いだ開拓の血

一般の方が見学できる通路がある工場

35歳で社長となり、何があっても諦めない精神で新しい業務を開拓してきた香川社長。たとえば現在の工場を建てるときも、困難な壁がいくつもあったといいます。

「絶対に、一般の方が見学できる通路を作りたいと思ってました。設計士や金融機関の方からは『そんなところにコストをかけている場合じゃない』と言われて猛反対。でも、それがない工場だったら建てる気はないと言って、一歩も譲りませんでした」というエピソードも。

また現在では台湾へ卵の輸出を行っていますが、はじめは言葉の壁も多く、実現するまでは大変だったといいます。

「とにかく夢を限定的にすること。“こうしたい”という設定が終わったら、行動する。次に情熱をもって努力する。発信する。そうしていると、必ず大きな壁がありますが、諦めない。これをルーチンで繰り返すだけです」と香川社長は、夢を叶えるための方法を話します。

そのような熱い思い、諦めない思いの根底にあるのは、川南町の風土にもあるといえます。戦後全国各地からの移住者により切り開かれた川南町は、青森県十和田(とわだ)市、福島県矢吹(やぶき)町と並ぶ日本三大開拓地のひとつで、『川南合衆国』とも言われてきました。

そして、ある日偶然近所の人からいただいた祖父の善太郎さんの手記にも、驚くべきことが記されていました。

 

--自分は開拓農業に明け暮れていたがために、社会に対して何ひとつ貢献することができなかった。私に代わって息子たちが、世のため人のためになる人間になることを祈っている。開拓を狭義で解釈すると、文字通り原野を切り開き田畑にすることであるが、私はもっと広義で解釈し、困難を取り除き前に進むことと考えたい。養鶏専業の前途は多難であるが、この開拓者精神に従い、道を切り開いていきたいと思っている--

 

「私には胎児の頃から開拓者の血が流れている。この開拓者の精神こそを家訓として、末永く伝えていきたい」。

香川社長の中に流れているのは紛れもなく、善太郎さんから受け継がれた開拓者の血だったのです。

香川ランチグループのキャラクター

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農事組合法人 香川ランチグループ

http://kagawa-ranchi.com/

  • 営業時間:
  • TEL:0983-27-2005
  • 定休日:
  • アクセス:

事業内容
・農業組合法人 香川ランチ(雛生産・鶏卵加工・鶏卵販売)
・宮崎デリカフーズ(㈱)(鶏卵加工・食品販売)
・有限会社 美国フーズ(食鳥処理・加工・販売)
・香川ランチ物産館 善太郎屋

この記事を書いた人三浦 翠

三浦 翠 みうら みどり “おんせん県”で知られる大分在住の編集者・ライター。 大分をはじめ九州の旅行雑誌、ウェブ等の編集、執筆に携わり約10年。 九州各地の温泉や旅館、グルメ、また人物にスポットを当てたおもしろい情報の発信に、日々取り組んでいます。

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