恩返しの思いがこもったビーフミルクシチュー | どっこいしょニッポン

恩返しの思いがこもったビーフミルクシチュー

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2011年代の出来事の中でも忘れてはならないのが、東日本大震災。その影響で、福島県の畜産農家は大きなダメージを受けました。
しかし、起こったことの現実に目を背けることなく真摯に受け入れ、自分たちができる活動で復興と恩返しを行った畜産農家の女性でつくる交流組織があります。

その組織の中で生まれたビーフミルクシチュー。畜産農家の女性ならではの感性を生かした恩返しとは。

 

畜産農家のお母ちゃんたちの組織「うつくしま福島畜産mother’sクラブe‐EN」

マザーズクラブに所属してる女性たち

畜産に携わる女性たちが、交流を深めることにより、夢や希望、意欲を持つこと。そして魅力のある畜産にすることを目指し活動する組織“うつくしま福島畜産mother’sクラブe‐EN(イーエン)(以下、マザーズクラブ)”。
彼女たち自身も大きな影響を受け大変な時期ながらも、福島県の畜産業復興のためにビーフミルクシチューを開発。

その思いと制作経緯についてマザーズクラブの皆さんに聞いてみました。

「まず(原発事故によって)草がダメになってしまったんです。牛を飼っている人たちにとって大打撃でした。マザーズクラブで活動している農家では基本的に自給飼料を作っている人が多かったですし、本来食べさせていた餌も5分の1から10分の1の量になってしまったんです。自分の命を繋いでいくだけでも大変と感じながら、このまま牛を飼い続けていけるのかっていう気持ちが皆にありました。餌が解禁になる見通しも見えなかったので、この場所がいつ大丈夫になるのかもわからないっていう先行きに不安しかない状態。それで、やめていく農家さんも多かったんですよ。実際マザーズクラブ内でもやめるしかないと思う人ばかりで。組織として3月25日に年間の計画書を立てる予定だったけど、結局できなかったんです。2、3カ月たってやっと集まれるかなって思って連絡したんですけど、先のことも見えないからマザーズクラブをどうしていくか考えられる状況じゃなかった。だから、それからしばらくお休みしたんです」。

 

厳しい状況の中で、なぜ再度立ち上がる決意が生まれたのか。

「全国の牛を飼っている方や友達から、心配の連絡を多くいただいたんですよ。こんなに応援してくれる人がいる以上は諦めるわけにはいかないと思いました。それに、『1人がやめたら影響されてまたやめる人が出る。この負の連鎖を断ち切ろう』と思って立ち上がりました。マザーズクラブで今一度なにかやりたいと。早速、メンバーに連絡を取ったところ、メンバーにも様々なところから連絡が。それが励みになっていて、どうにかしなきゃと各自が思っていたところだったんです。言葉だけじゃなく義援金も集まっていたり、餌を無償で提供してくれたりなど、実際に助けてもらいました。改めてみんなで集まった時に、その応援してくれた人たちにどうしたら恩返しができるかなという話になったんです」。

マザーズクラブの活動中

「ただ無事を言葉で伝えるだけじゃなくて、形にして何かしらメッセージで発信できたらいいなと思ったんです。酪農と牛肉生産のメンバー全員で恩返しできるもの、それがビーフミルクシチューでした」。

マザーズクラブのビーフミルクシチュー

恩返しとして掲げたシチュー。そこには想像以上のこだわりが詰まっていました。

「ミルクシチューに牛肉を入れるだけでは味がまとまらないんですよ。一般的にシチューには鶏肉を使うことが多い。牛肉にクセがあるし、牛乳も味が強いのでなかなか合わないんです。それでも私たちだからこそ、というものにしたかったので、この二つの要素は外したくなかった。いろいろと試行錯誤した結果、サラサラしたスープに近い状態が食べやすい、そして隠し味に味噌を入れることでまとまりました」。
お皿に盛り付けられたビーフミルクシチュー

「ほんとうに素材の味を美味しいと思ってもらえるような仕上がりになっています。自信をもって美味しいと思うものを自分たちが一生懸命作っているんだよっていうのが伝われば嬉しいですね」。
そしてこの“ビーフミルクシチュー”は発売から5カ月で2,000食を売り上げるほど人気に。
結果、活動の幅がさらに広がったようです。

 

多くの人にもっと食べてほしいから。

マザーズクラブのおもてなしカレー

「シチューを発売してから、牛乳アレルギーがある人や苦手な人もいるので、もう1品作ることになったんです。いろいろと踏まえて老若男女好きな食べものっていったらカレーかなという考えに至りました。実際に要望自体もあったんですよ。ただ競争相手が多い市場なので、みんなで悩みましたね。それでも営利目的でやりたいことではなかったし、何より子供に喜んで食べてもらうのが一番嬉しいっていう意志があったんです。カレーに使用するお肉に関してはマザーズクラブ会員のお肉を使うって決めました。会員の育てた牛のお肉を使うことで自信をもって良いものが案内できますし。ただ、単価がちょっと高めになってしまいます。使っている食材を考えると、実は原価ギリギリ。箱に入れて高級志向にするって話もあったけど値段を上げることになってしまう。
なるべく安く、多くの人に美味しいものを食べてもらい恩返ししたい、その思いにつきるんです。今は直接連絡があれば売っているのですが、新聞などで紹介してもらった経緯もあって、神奈川の方など、定期的に買っていただけるようにもなりました。身近な人たちはもちろんですが、全国各地の人に食べてもらえるよう続けていけたらと思っています」。

美味しそうなおもてなしカレー

恩返しで始まったシチューとカレー。それらを通して笑顔を届け、組織自体を再び立ち上がらせることができたという相乗効果が生まれた素敵な取り組み。
こだわりがいっぱい詰まった2品を食べてみたいという方はぜひ下記に一度連絡してはいかがでしょう。
ネット販売にしてしまうと手数料で価格を高くせざるを得ないため、注文いただいた方には都度発送しています。

栄養価も高いので体にも優しく、きっと気持ちも優しくなれるはずです。

購入先

公益社団法人福島県畜産振興協会

がんばろう!福島の畜産のジャケットを着た女性

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この記事を書いた人松尾 慧

松尾 慧 某ファッション誌の編集、フリーライターを経て、株式会社トソシオに所属。 現在、Do it yourselfの精神を通して、DIYライフクリエーターが未来の暮らしの知恵を発信し共有するプラットフォーム、 DIYer(s)のエディターを担当。 プライベートは専ら日本酒探訪とフットサルに明け暮れる。

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