息子がいたから踏み出せた再出発、被災を乗り越えたオオガキが向かう未来 | どっこいしょニッポン

息子がいたから踏み出せた再出発、被災を乗り越えたオオガキが向かう未来

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東日本大震災によって3年間の営業停止を余儀なくされた、有限会社オオガキ。

養鶏場や家、店を失い、再スタートまでの道は“困難”のひと言では表せないほどだったといいます。

そんな状況を乗り越えて再度養鶏場を始めた理由やこれからの思いについて、有限会社オオガキの大柿純一さんと息子の陽介さんにお伺いしました。

 

忘れられない2011年3月11日。養鶏場も店も家も、すべて失った

震災の被害を受けた養鶏場

▲震災の被害を受けた養鶏場

2011年3月11日、東日本大震災。大柿さんの養鶏場は、福島第一原発の警戒区域に指定されている福島県双葉郡大熊町にありました。

大柿さんの父から引き継いだ養鶏場の経営と、自社ブランド「双葉地養卵(当時の名前)」のアンテナショップ「たまごの郷」の経営が軌道に乗っているとき、あの震災が大柿さんを襲ったのです。

「突然、今までにないくらい大きな地震が来て、一度収まったあとに養鶏場に行ってみると、エサタンクが傾いたりして荒れていました。避難命令が出ましたが、“2~3日くらいで帰れるだろう、また鶏にエサを与えれば立て直せるはず”と思っていましたが…。その後、福島第一原発の事故を知り、今まで積み上げてきたものが一気に手のひらからこぼれ落ちていきました」と大柿さん。

 

2014年ついにオープン、再スタートまでの道

震災の被害を受けた「たまごの郷」

▲震災の被害を受けた「たまごの郷」

その後、茨城県牛久市にアパートを借り、大柿さんは避難生活を始めました。このとき大柿さんは不安でいっぱいだったといいます。

しかし、立ち止まるわけにはいきません。養鶏場を自分の代で終わらせたくないという思いから、関東や東北を中心に全国40カ所ほど、次の養鶏場の候補を見て回ったそうです。

場所選びに奔走した大柿さんでしたが、次の候補先はなかなか見つからなかったとか。そんなとき、取引先だったエサメーカーから、いわき市にあるブロイラーの養鶏場を譲り受ける話が出て、大柿さんは即決しました。

(※ブロイラー:食用の若鶏)

震災後、新しく養鶏場を建築

▲震災後、新しく養鶏場を建築しているときの様子

「以前からの取引先は、ほとんどいわき市にありました。そのため、譲り受けた養鶏場はまさに適地。再スタートが決まってからは大忙しで、順調に進んでいきました。おそらく他の県で再開していたら、ここまで順調にいかなかったと思います」と大柿さん。

 

「息子がいたからもう一度」再スタートを後押ししてくれた後継者の存在

、有限会社オオガキの大柿純一さんと息子の陽介さん

3年間の営業停止期間を経て、2014年に養鶏場とたまごの郷を再スタートできました。大熊町の養鶏場では10万羽いましたが、現在は2万4千羽の鶏を飼っています。

有限会社オオガキの養鶏場

「これでも最初は、夫婦で何百羽か飼えればいいと思っていました。営業停止期間は、そのときを生きるのにとにかく必死だったので。でも、またこうして養鶏場と小売業に力を入れて経営しようと思ったのは、息子がいたからですね。いずれは息子が後を継いでくれるとわかっていたからこそ、再スタートを切れました」と大柿さん。

その言葉に対して、陽介さんは、

「期待に応えていきたいと思います。そのためにも、当面の目標は、売り上げを伸ばして販路を拡大していくことですね」

と、意気込みます。その言葉からは強い意志が感じられました。

 

いわき地養卵でいわき市に元気を!今後の展望

いわき地養卵

震災によるさまざまな困難を乗り越えて、現在、たまごの郷では1日に2万個の卵が売れるようになりました。

「卵が売れるようになって生産量が追いつかなくなっているので、現在鶏舎を建てています。今度は鶏が3万羽になるんです。」と大柿さん。

震災から約7年の月日が経過した今、オオガキは着実に新たな道を進み始めています。

いわき地養卵

原発事故の風評被害についてもほとんどないとのこと。今でも毎月検査はしていて、ND(不検出)の安心安全な卵を提供しています。
大柿さんの目標は「いわき市内にたまごの郷をもう1店舗オープンさせること」。いわき市の方々をメインに、おいしい卵を提供するべくますます尽力されるそうです。

数々の困難を経験しながらも、多くの人に愛されているたまごの郷。

「まずは鶏舎を増築して鶏を増やすところから始めないとですね」

と、明るく話す大柿さん親子には、ますます成長するたまごの郷の未来が見えているようでした。

有限会社オオガキ

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有限会社オオガキ

http://www.tamagonosato.com/shop

  • 営業時間:ー
  • TEL:[いわき事務所] TEL:0246-84-9152
  • 定休日:ー
  • アクセス:[いわき事務所] 福島県いわき市泉町滝尻字南坪30-1

[店舗(たまごの郷)]
福島県いわき市泉町滝尻字南坪27-1
TEL:0246-84-9430

この記事を書いた人柏木愛美

埼玉県さいたま市在住のフリーライター。 おいしい食べ物が大好きで、寝ても覚めても食べ物のことばかり考えています。とろけるチーズはもはや飲み物。 「自分の言葉で誰かの人生を幸せにしたい」、そんな思いで日々パソコンと向き合ってタイピングをしている次第です。

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